ようこそ、我が家へ
ロッシの荷を預かり、ロッシは家族の皆とラインに沿ってスタンまで歩くらしい。僕等は南内側をギサギサと進行し夕方頃に合流して一週間進んだ。
スタンにつくと、村の中はこの前より乱雑に其処ら中散らかし放題である。
(スゴイ事になっちゃってるなぁ)
ロッシの家に荷物を置きに行き、チクルに会った。リンゴの酵母を受け取った。
「村の人達もリンゴの酵母が欲しいと言っていました。村では野菜を使っているそうです」
「じゃあ村にも木を植えおこうかな?」
「リンゴ!食べたいな!有るの?あなたがチクルね!」
ロッシには姉がいた。押しが強めでダナさんに似ている。チクルもタジタジになっているがこれから大丈夫だろうか?
僕はロッシの家の外でリンゴの種に魔法を掛ける。リンゴの木は大きくなり花を咲かせた。受粉作業は面倒くさいので風を魔法で起こすだけ。それから実るよう魔法を掛ければリンゴが幾つかなった。あまり受粉出来ていなかったようだ。
「あのこ達戻って来たんだろ?」
ダナさんが寄って来て訊ねる。リンゴの木が出現していることより、ダナさんにとって大ニュースなんだ。精神鋼のイメージのダナさんとは違う一面は誰が見たって微笑ましかった。それなのに、
「あんた達、帰ってきたなら、手伝いな!やることが山程あるよ!」
おもいっきりドアを開けると同時に大声で言い放つ。まぁ、これはこれで微笑ましかった。
小麦も受け取り、また麦畑を一面作って預けておいた。少しずつ、順調に増えている。スタンで小麦を買えると宣伝して貰ったのでその内誰か買いに来るだろうと伝えておいた。
さぁ、今日も駆除活動だ!働き過ぎ?ほぼ走っているだけなので、実はトレーニング感覚なのである。
モールさんとドノさん、ロッシも今日から付いて来る。
仮のラインを警邏しているランスさん達に会った。
「おう。おはよう!やってんな!」
ランスさんは手を上げ挨拶してくれた。
「おはようございます。ランスさん達が端を担当しているんですね。」
トッドは挨拶を返す。
「まぁな、端は山が有って逃げられると厄介ではあるんだよ。マリナみたいな弓士なんて特にな。でも、メインアタッカーの居ないパーティーに任せるとそれこそ逃げられっちまうからよ」
端は逃げられ易いようだ。
「頑張って下さい」
「あぁ、そっちもガンガンいけよ!それと、エイムが」
ランスさんは、トッドに寄って耳打ちする。
「クリスの事を他のパーティーやギルドに知らせてないからな。だとよ」
「ありがとうございます」
トッドは笑顔で応えた。ランスも頷き、手を振る。
「じゃあな!こっちも後から北上するからな」
僕等も手を振って先ず北へ。ライン確保組達は三十キロずつ一週間で北上する。僕等は五十キロずつ。これで春迄にアンダーラインを大体五百キロ上げられる。僕等が駆除するのはその倍の距離で安全面でかなり猶予がある。春になれば、住人が戻って来られるだろうという計画である。
「じゃっ、ケイン集めて!」
『ハイハイ、回収!』
ケインはお馴染み魔物ボール状態だが、モールさんとドノさんは魚や昆布意外で見るのは初めてだった。
「お嬢......何だよこれ」
「こんなに居るんだな、やっぱ」
二人は驚愕している。既に慣れたロッシは苦笑いしている。自分も驚いていた筈が今はこんなに慣れてしまった事に。
いつもは水責めをしていたが、幼虫と卵も今は回収している為、見えている魔獣は皆に止めを刺して貰い収納し、後は燃やす。魔法で炎を出すが熱が逃げてしまうと時間をくうので
(ケイン熱も集めてね~)
『ハイハイ、炎の熱回収!』
蒸し焼きにされた。蟲達は生き絶えるとケインの球からポロポロと零れていく。
灰になる前に死ぬようだ。
蝶々の魔蟲も数多い。実は種類が多く全て名前は魔蝶と飛ばれているそうだ。魔蝶は統一して普通の蝶々より脚が長く眼が大きい。そして害虫扱いは蝶と成る前の幼虫の時が主なのだ。ケインに教えて貰った。回収していたのは幼虫と成虫らしいが卵は集めていなかった。生まれて即害虫!卵も集め始めた理由だ。
さぁ、マラソンだよ!
僕等は走り続けた。回収して殲滅。繰り返しの日々で皆、レベルが上がり走る速度も速くなっていく。そして極少数ではあるが、村が幾つか戻った。無人だった村を見つけては、近くにリンゴ、柿、栗を植樹しておいた。特に栗は木材としてもいいらしいので沢山植えた。その為に、栗を実らせたんだけど、結構食べた。美味しいし、しょうがないよね~。その内のどれかが帰ってきてくれたのかな?
そして、春を迎えた。僕は、五歳になっている。
アンダーラインは六百キロ上げられた。僕はそこにアンダーラインの残骸を見つけたので、それと、添う様に岩を並べた。沢山収納しておいたのだ。
僕等はこのアンダーラインより更に百五十キロ北で暮らし、時々殲滅活動をする。
そうやって、西側のエリアから、依頼が来るのを待っている。
この家、一から皆で建てた。平屋だが、広い。部屋も沢山有って、皆、一人一部屋。
「やっと、会えたな。嬢ちゃん」
「この家建てたんですか?」
テスとマルがやってきた。冬の間、公都に行っていた。スタンに行って、居場所の情報が来るまで村を手伝っていたらしい。
「いらっしゃい、ようこそ!」




