モンス基地
もう少し話しをしようと、モンス基地に向かう。ハンター達は連絡もせず長い時間油を売ってはいられないらしい。
このパーティのリーダーはランスさんだ。他のメンバー三人は女性である。
ランスさんの腰には長剣が提げられている。
「剣を使うのにランスなんて変だろ?」
そう言ってゲラゲラ笑う彼女はハイドラさんだ。彼女の得物は分銅の様な変わった武器である。魔物の革を紐状にして先にイッチーブルという牛型の魔物の平角を加工した物が繋いである。この平角を加工した武器はよく使われるが、ハイドラのような仕様は特殊らしい。
ミーナさんは槍使いだ。彼女の槍はアイゼバインの脚の骨を使って作られた物だ。弓士のマリナさんの矢も骨を加工した物が使われる。魔物の素材ばかりだが、手に入り易く代えがきくことが何よりも重要だと話してくれた。ランスさんのように普通の剣を使うにはお金がかかることだろう。
僕ら、四人も自己紹介したが、ルーの大剣を見て相当金が有ると思われている。
「なー、麦は分かるが何で雑草なんて生やしてたんだ?」
ランスさんの素朴な疑問。
雑草にこれといった意味はない。何と返したものか。趣味?実験?何となく?う~ん、始めは魔蟲が養分になるかの実験のつもりだったが、僕の魔力が多いために、よくわからない結果になった。
「緑が多い方がいいなぁと思って」
要はそういう事だ。
「違いないね」
ハイドラさんは同意してくれた。皆、様々頷いている。
「ここがモンス基地です」
ミーナさんが槍で基地の方を指して教えてくれる。スタンから三~四キロといったところにある。大きな建物が有るだけだったが、石造りの堅固な造りであろうと思われた。
「我々の宿舎でもあるので、結構大きんです。中も広いですよ」
ミーナさんは基地を気に入っている様子だ。
そしてスタンから西へ歩き、ここまで左手側にアンダーラインの柵がずっと見えていた。壊された部分を直したのか、ガタガタの見た目で竹、骨、革の切れ端、岩、素材もバラバラだった。
基地の中に入ると、大きな広い空間となっていた。直ぐとなりがキッチンとダイニング、反対隣に会議室がある。大きな空間ではあるが、端には魔物の素材が積んである。雑多な雰囲気はなかったが、玄関という雰囲気でもなかった。
「戻りましたよ~」
マリナさんはのんびり還りを知らせる。
「おい、遅かったな、見つかったのか?」
会議室の方から丸いメガネの男が現れた。
「ああ、帰りにスタンに置いてきた」
「そうか、ご苦労様。それで?そちらは?ハンター候補か?」
男は、食い気味でトッドとルーに真っ直ぐ向かってくる。
「大剣に長剣、ここいらでは、珍しい得物です。採用するので是非、メインアタッカーやって下さい。ああ、それと教会の者と会っても話しを聞かないように!」
教会?何のことを言ってるんだ?
僕等は四人教会についてその辺は聞いたことがなかった。
「教会はね、強そうなハンターに近づいてデージヴァに引き抜いて連れていっちゃうのよ」
マリナさんが僕等の疑問を察して教えてくれる。
「あいつらきたねーからな」
ハイドラさんは、必要以上に憤っている。何か過去にあったんだろうね。
「それで、メインの殺傷能力高めなハンターはどんどん減ってて、パーティにメインが居ないとよく逃げられちゃうのよ」
ミーナさんの槍で相手が大物だと、傷も小さ過ぎて致命傷には程遠い。
「それとあなたは弓がメインですか?」
リードは、短剣も使うがこのメンバーで居る時に使っているのを見せたことはない。
「ああ、弓を使っている。短剣は一人の時、止めを刺すのに使う」
「成る程。で、お嬢さんは?」
僕だよね?
「攻撃魔法を使います」
男のメガネがずれる。
「何ですか、そんな魔法があるんですか?」
男はランスさん達を見た。ランスは首を振る。魔法は麦が伸びるのを見ただけだった。
「それ、見たいんだけど!」
ハイドラさんの方がノリノリである。トッドも密かにノリノリであった。最近やってなかったもんね。
「じゃあ、ちょっと外でやりますか?」
その辺一帯に目標物がないので、岩を取り出し置くと、それにしっかり驚いてくれた。
トッドが自慢気である。
「じゃあ、やりますね~」
僕は皆に手を上げて合図する。
「サンドディスク」
僕はサービスで三発同時に放った。
「何だ、あれ、飛ばしたのか?魔法を?」
実は飛ばしたがそれは風で、砂と水を混ぜ質量を風に加えないとコントロールと威力は確保出来ない。まるっきり魔法だとは言えない。
「魔法にあんな使い方があるなんて」
マリナさんはやれるならやりたいと思っているだろう。これはトッドもやってみたが全く出来なかった。なので、誰にも出来ますよ~とは言えない。魔法農業とは違うのだ。
「兎に角、一旦会議室に入ろう」
ランスの言葉に皆、後ろ髪引かれる思いで中に入った。




