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旅は道連れ

「待ってくれ」

リードは、走る皆を止めた。

誰か走っている。女の人だ。

「オーバーローデントに追われているな」

オーバーローデント、ウサギ形の魔物だ。何で追われているのか。皆、慌ててはなかった。オーバーローデントは大きくない。アンダーラインを越え入って来るのは通常なのだろう。

「助けて」

あちらも僕等に気づいたようだ。助けを求めてこちらに向かっている。

「行くぞ!」

テスは走りだす。テスの武器はロングソード。ロッシも先程まで走っていたとは思えない程速い。前を行くテスを追い抜き女性を庇う状態で短剣を両手に一本ずつ構える。オーバーローデントは群れだった。十五匹くらい居る。テスは迷わず振り下ろし、オーバーローデントの進行を止める。

周り込んだマルと挟み打ちにした。マルの持っているのは槍だ。凪払うよう振るとそれを避けて跳んだところをテスが切る。それを見て逃げる周りのオーバーローデントをロッシが素早く二匹切った。女性は悲鳴を上げている。僕等は女性を保護する。

「大丈夫ですか?」

「はい、ありがとう」

三人は五匹程取り逃がしたと言って集まって来た。

「何で、追われてたんだ?」

「それが、住む所がなくて、穴があったから中で休めるかと入ったの」

テスの質問に女性は罰が悪そうに答えた。

「それは何処だ近いのか?案内出来るか?」

「いいえ、わからない。ごめんなさい」

ロッシは呆れている。

「あんた、公都から来たのか?」

「ええ」

「なぜペンツェから出た?」

ペンツェはブ·ペンツェという街。公都のゴ·ラッハと鉄道で繋がっている。

「お金が無くて」

「家族は居ないのか?」

「親は知らない」

孤児だったのか。大人になって住めなくなったのかなぁ?

「すまん、この人をスタンまで連れてっていいか?」

ロッシは何か宛でも有るんだろう。故郷だしね。

「いんじゃないですか?よかったですね」

「ありがと ございます」

涙を流しロッシに頻りに頭を下げている。

ロッシは気にすんなと彼女の肩を叩いた。

「嬢ちゃん、コイツら頼む」

テスに頼まれオーバーローデントを収納した。

ここからは、女性に合わせゆっくり進んだ。


歩みが遅い分、話をした。

オーバーローデントは群れで暮らし縄張りに入った者を同種であろうと排除する。

穴に魔物が住んでいることは多々有る為、普通は誰も見つけた穴に入るような愚行犯さない。

あまりに何も知らないとロッシは彼女に懇々と言っている。お父さんみたいだ。

「こっからは山だこの辺で一度昼を摂ろう」

リードと三人は先程の獲物を解体し捌いている。

「その前歯どうするの?」

三人は歯を抜く。

「嬢ちゃん、これは討伐証明だ。ジーンマニでは尻尾しか報酬が出なかったが、こっちでは登録のある魔物なら証明部位を持って行きゃ報酬が貰えるぞ」

お~ちゃんとしたハンターギルドだ!これだよ!

椅子がまた足りなくなったので、ロッシがもう一つ編んでくれた。何度見ても凄い器用だ。

「おいひーですぅぅぅ」

彼女は口いっぱい入れながら泣きながら嬉しそうに食べている。お腹空いてたんだなぁ。確かにこの鍋で焼いたパンが美味しい。表面がカリッとして香ばしい。お肉によく合う。お肉はトマト煮にリードが作った。トマトはスズンでおまけに貰ったやつだ。いっぱいあるが、いつか無くなる。種は取っておいてもらった。

「あたし、チクルです」

彼女は食べて元気になり名前を名のって無いことに気づいた。皆、自己紹介して歩く。

「皆さん強いんですね」

目の前での戦闘に怯えていたが今はそうでもないようだ。食べたからかな?

「あーオーバーローデントは強い魔物ではないからな。ただ機動力が高いから当てるのが大変なんだよ、だから仲間と協力する」

テスがチクルの横で仲間を自慢するように手を広げた。大袈裟で芝居の様な仕草をロッシが笑った。それを見てチクルも笑っている。打ち解けたみたいだ。


ゆっくり歩いたが最初にマラソンしたのでそこそこ進んだのでは?と思う。山に入ったのでテントの張れる場所まで歩き今日はここで進むのを止めておいた。

チクルはお風呂に入ってごはんを食べたら直ぐに寝てしまった。相当疲れていたらしい。寝ている間に僕は魔物を駆除することにした。小さな魔物なら居るみたいだし、今日からは魔蟲だけではなく魔物も駆除していく。山とは言っても木が枯れ岩や土の目立つ禿げ山だ。それでもケインを上に投げて五十キロ圏内の魔物を駆除した。

『今日は終わり?』

(ちょっとだけやりたいことがあるんだよ~)

『ハイハイ』

(ありがと、このでっかい岩を回収して)

思考の読めるケインとのやり取りは僕の為だ。僕からはケインの中の情報を読むことは出来ない。

『ハイハイ、回収!』

「よし、軽くなった」

魔法で土を退かし掘りおこして収納した。大穴になっている。その穴に使用済みの水を出し、魔蟲を取り出し入れた。

(よし、ケイン、山の土を表面から五ミリ半径五メートルから集めて)

『ハイハイ、回収』

集めた土で穴を塞いだ。その上に更に雑草を出した。種類は適当だ。そこに魔法を掛ける。ただ大きくなるだけではなく繁殖するように。土にはしっかり根がはるように。魔力の半分程も持っていかれた感覚。僕の前方を雑草が一気に伸び、広がって行った。

「クリス様、これでは歩くのが大変ですよ」

「あ、」

トッドが護衛で付いていた。僕の浅はかな行動を見て笑いを堪えて泣いている。

笑い過ぎだよ。



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