上陸
僕等の乗った船が港に着く。
甲板で僕は乾燥させたワカメを袋に詰めていた。
港を覗くと
(うわぁ!すごい人だ)
大勢の人が手を振り船を歓迎しているのがわかる。それに子供が多いなぁ。
ここはバールアカイト公国の南部、ア·ルーヤと言う港街。こんなに人が犇めき合っているのは前世以来初めてだった。
「ここはスゲーだろう?今は、バールアカイトの人口三百五十万人の内の二百万の人がラインより南に住んでる。その中でも、穀物類が流れて来やすいア·ルーヤに集中してんだ」
喧騒に負けないよう、声を張り上げているのはロッシさんだ。
これから向かうスタン村に一緒に行くメンバーになった。スタン村はロッシさんの故郷らしく今の様子を見に行きたいんだと頼まれた。
乗組員では、テスさん、マルさん、ロッシさんがスタン村に向かう。
船を渡る橋を掛けている間に僕は収納している小麦を二十袋出して置いた。収納して来たのは六十を超えているので、たぶん大丈夫。
「いいのか?クリス?」
リードは不安なようだ。
「うん、たぶんね!」
「あ~陸だ!早く降りよう!」
ルーは船酔いをずっと魔法で回復していたけどあまりに頻繁に使っていた為、魔力が足りず僕やトッドに助けを求めていた。船の中も大きいルーには窮屈でずっと屈んでいた。
「待って下さい。ガオンさんに先に行っていいか訊きましょう」
トッドはガオンと何か話しているが、騒がしく少し離れると聞こえない。
「先に降りた方がいいそうです。行きましょう」
「はーい。皆、行こう!」
スタン村に出発した。
橋を渡るが人が道を開けてくれない。
ルーは僕をヒョイと肩車した。
「迷子になったら大変だからな!」
「あ、ぁ、そんな事が」
リードは何故か慌てふためく。
「おかえりー」「お帰りなさい」
後ろの三人の顔見知りなのか、声を掛けられている。
ルーの上は高くて面白い。しかし、見られてるなぁ。
「かわいい」「お姫様だ」「お人形だよ」
う~早く男の子に戻りたい。
ようやく人混みを抜けたが、雑多として道があるのかないのか、素人では通りの判別がつかなかった。
「こっちです」
マルさんが案内してくれるようだ。助かります。
(道が覚えられる気がしなあなぁもう、何回曲がった?)ケインを取り出す。
『僕が覚えてもいいけど、ちゃんと周りを見てくれないと無理だからね』
(ラジャー。お世話になります~。やっぱり賢者の石だね~)
『違うったら。僕が分かるのはクリスの記憶に在るものと集めてきた情報に在るものだけだって。う~ん、これ久しぶりだなぁ』
(そうだね)
ルーの肩の上でケインと脳内でじゃれていた。




