第二章 秋の訪れ
━━━第二章━━━
夏の暑さを懐かしくさせる程、肌寒い。雲り空から光の射す隙などない。まだ、秋のさわりだとは思えぬ午後。王都は、冬雪が積もる程に寒い地域であり寒さには慣れている国民ばかりだ。
コンコン「陛下。宜しいでしょうか。」
「入れ」
「失礼いたします。こちら、サインを頂きたく」
「あい、待つか、後で取り来い。」
「はっ、待たせて頂きます」
「あぁ、寒いからな」
王城の廊下は広く長く寒い日に歩くのは誰しも億劫でしかない。しかし、城の廊下を外套を着て歩く程の季節でもない。こういった、中途半端に季節の変わり目を寒さが襲うと一番堪えるものだ。
「うん、免税の申し出。今年はそれ程不作だったのか?あまり、その様な話聞かんがな」
ルカトル領、此処王都の眼下に広かった広大な農地を有する。王都民の食を支える為、ルカトル領には税を小麦のまま換金せず納めさせている。その為に不作時の免税は規約に組み込まれており、これは許可する他にない。昨今は魔蟲の影響で毎年、免税の量が増えている。今年は更に多い。
「あぁ、おい、これでいかほど麦の不足になるか分かってるか?」
「はっ、およそ四千から五千トンであります。」
「なっ!南や中部でかき集めていくら集まる?」
「そうですね、恐らく二千トンには及びません」
「そうか、それでいい、手を回してくれ」
サインをした書類を渡しながら指示もだす。
「バタン」文官は部屋を出た。
「はぁ」 嘆息も出た。
これから、大いに金も出ていくだろう。
この国は、元より金を多く所有しておらず、土地ばかり広い。その分、他の国々より農地が多く食べる分には困る者など居ない。食べるのに困らず金は持たない者ばかりだと、争いもない、皆温厚なのだ。国民は自由に畑を設けて構わないとした為に、王都に人は集まらず適度に分散され、飢えることを知らない国民性である。それが、我が国もバールアカイトのようになってしまうのか?
ロルディア国国王は祈る いつものように
「あぁ、我が女神、我が国もあなた様の物です
どうか御慈悲を民に」




