相棒と幼少期 2
自分の部屋に戻り、一番薄かったという理由で選ばれた、持ち出した本を本棚の隙間に差し込む。
床に落ちている図鑑はどうしようか。ケインに引かせて手にする。そのままでは三つの僕ではとても持上げられるサイズではないんだ。本棚を見上げ考えたがいい案はない。取り敢えず一旦置こう!
「バキッ」(!?)
床が割れるような音がして慌ててまた持上げる。
(ケイン!ちょっとどうなってんの?)
『クリスが持ってないと質量がそのまま掛かるよ。床抜けちゃうよ』
(それは大問題ですよ!困ったなぁ)
顔歪ませ考えるが答えはない。何か、いい方法ないかなぁ?そう、考えた時手元にブァンと何かが現れた。(なんじゃこれ?)黒い穴?どうにも恐ろしいので手にある大きな図鑑で触れてみる。凡そ怖がっている人間の行動ではないが、クリスはいつだって好奇心の先走りを止めることはない。図鑑は何に触れるでもなく、通り抜ける。焦って、引っこめる。図鑑を見たが何ともなってないようだ。もう一度半分入れて横から見てみる。
無い。
横からは何もないようで図鑑も存在していない。
(これ異空間魔法なのでは?)図鑑を全部入れてみる。ヒョイ!投げ入れたら見えなくなった。(手を入れるのは怖いぞこれは~)図鑑を取り出したいと思ったら勝手にぽとっと現れた。
(おっ取り出すときは別の穴が現れるのか!)
よしっ!気合いを入れてケインを穴へ放った。
(ケイン!ごめん!)合掌。
よし出すぞ!手を前に出し掌を上に向けこの上に落ちてくるよう空間に穴をと思うと、手の中にはケインが!
『お見事!やってくれたね』
赤紫の光を走らせご立腹のようだ。
(ごめんごめん。で、中はどうなってんの?)
『分からないよ。出されるまで時間が留まっているようだね』凄いぞやったぞ。これは使える!
ケインをポイっと(じゃあ、おやすみ~)投げたら、穴は消えた。