表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

55/177

リードの行き先 2

──リード視点──


グエンは馬車を取りに行った。

街の外で待ち合わせている。護衛なんて経験が無いので、矢だけ買い足しておいた。

「お待たせしました。どうぞ、乗ってください。」

「あぁ、ありがとう。俺は後ろから見ていた方がいいのか?」

荷台は幌が付いていて馬車の中から、弓は使え無い。

「そうですねぇ、馭者の隣に座りますか?」

「うん、そうするよ」

グエンの隣に座る。

「なぁ、馬の扱いを教えてくれないか?」

こんなことでも、覚えていればクリス様の役に立てることもあるかもしれない。

「えぇ、いいですよ。握って下さい」

グエンは手綱を渡す。

南へ繋ぐこの街道は粗直線で馬は勝手に進む。

練習になっているとは到底思えなかった。

馭者台は日差しはあるが風が常にある為ここまで歩いた道のりとは比べ物にならない。

「ロエに何しに行くんだ?」

興味が有るわけではないが、何人にも声を掛ける程熱心だ。ロエに何があるのか。

「それはですね。小国で作られる。吸水が少ないという布があるのです。」

小国とは、国と付いているが国ではない。土地の東西を山脈に隔てられており、土地としては陸の孤島。にも関わらず、独自の技術が発展していて個々の生活水準も高いと聞く。彼等は、少数民族扱いされるが、一つ一つ家族で親類である。研究から開発、製造、販売全てを完結させることの出来る商会となってもいる。大抵、頭のいいもの達が産まれその研究を受け継いでいるらしい。どの民族も同じ様に優秀でそれぞれの立場や領地を犯すなど、効率的だと考えられ無いことはしないとされている。頭の悪い俺だと奪った方が効率的だと思える。きっと俺は未熟で馬鹿なんだろう。

「そんな布どうするんだ?」

「スズンは変わるのですよ」

「そうなのか?」

わからない、が水龍のせいか?まぁ、いいか。


それから度々馬の為の休憩を取り、暑さで馬がバテないよう急がず走った。夜は見張りをして朝荷台で少し寝た。この三日間、魔獣も魔蟲も少ないように思う。スズン山だけではないのか?

四日目の昼休憩後。太陽は頭上粗真上。眩しさに目を細めていた。

何か居る。

木の上の方の枝を揺らす何かが見えたが逆光に遮られ分からなかった。

付いて来ている。

「何かに追われている」

「えぇ!」

グエンは取り乱す。

「このまま止まらず、走り続けるんだ」

「ハイ」

指示をすればグエンは直ぐ落ち着きを取り戻した。

俺は弓を握り、森を睨み探す。あれか?猿?

木と木を伝い猿のような獣が追って来ているようだ。牽制の為の矢を放つ。手応えはない。無いがこちらが逃げるだけではないと示した。

追って来なくなり、徐々にスピードを落とす。

「危なかったですか?」

「いや、大丈夫だ」

猿を追っ払いホッとしていた。

馬が元の速度まで戻したとこで左右の木々から三十頭程の猿の魔獣に囲まれた。前方には更に十頭程やってくる。

(しまった、囲まれた。)

「ど、します」

グエンの頼みの綱は俺だが、この数をどうすればいいのか検討もつかない。取り敢えず、前方に矢を放って進むか?俺もそんなことくらいしか思い付かなかった。

「ヒューン バシ」「ドン」「ドン」「ドン」

「ヒューン」「ヒューン」

不意に森から矢と石の礫が。前方の猿達を確実に捉える攻撃が降って来た。

猿達のヘイトがその攻撃の方へ向く。今だ。

横を向いて隙のあるものに矢を撃った。続けてもう一本。打って変わって、こちらに牙を剥く。その隙を今度は援護の者がつく。槍を横から刺し、小剣を使い切る。混戦となる前に矢を放ち、猿達が彼等を囲まないよう、遊撃していく。彼等は強かった。皆大きな背負いをしていたが、動きは速い。確実に数が減っていく。

男の一人が最後の一頭を槍で貫く。

「やぁ、助かりました」

俺の声に抱えていた頭を解放するグエン。

「死ぬかと思った」

腰が抜けているようだ。

「いや、無事で何より。ところでコイツらを貰ってもいいかな?」

猿を指して言う。

「どうぞどうぞ」

グエンは頷く。俺も馭者台に深く腰を下ろす。

(疲れた)

彼等は尻尾を切り落としていた。何してんだ?

「尻尾をどうするんだ?」

「ん?これで討伐報酬を貰うんだよ」

男の一人が答えた。

なんだ、それは。

「あの、これからロエに向かうのですが一緒に来て頂けませんか?」

グエンは彼等を雇うつもりらしい。

「我々はこれからジーンマニに帰るぞ。ロエとは何処だ?」

「ジーンマニの半島の反対側です。」

「まぁ危なかったしな。報酬が貰えるならいいぞ」

「ありがとうございます!」

こうして護衛が増えた。



ロエまでには何度か、猿に襲われた。多いと思ったが、コイツらは本来もっと多いらしい。最悪だ。出会いたくない。

ロエでグエンと別れ、俺もジーンマニに向かうまで一緒に行きたいとお願いした。

「技術はそこそこあるが飛距離が短いな」

弓を使うバートに言われた。ショックだ。


早く、クリス様を見て癒されたい。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ