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リードの行き先

──リード視点──


「これからはどうする?ここで働いても構わんが」

侯爵様は、俺たちなんかにそう提案してくれている。優しい方だ。だか、あのクリス様には似ても似つかない。王太子妃も似ていなかったが。

「いえ、私共は」

父は、何処で何をするつもりなんだろうか?

「そうか?」

父と母だけでもお世話になればいいのだが。居場所がはっきりしていた方が助かるし。

「俺は、クリス様達を追いかけたい」

俺は、どうするか決まっている。最初からそのつもりだ。あんな可愛いらしく美しい生き物が、光の元を避けて歩かねばならないなんて。俺何かでは、あの方を照らす存在になどなれるはずもない。それでも影にはなれるんじゃないだろうか。

「なに?ホント欲丸出しの息子だよ。恥ずかしい」

母は頭を抱えている。父は笑っている。

「悪かったな、何て言われても俺は行くからな」

「あんたが行ったって何の役にも立たないかもしれないよ」

母は容赦無い。何せ俺の力量をはっきりと把握している。

「あぁ、何か出来ることを見つける。」

「お前は、馬鹿だからな」

父は、小馬鹿にして言った。

「あの三人よりお前の顔は広くない。連絡係り位にはなるだろう。出来れば、ちょくちょく連絡くれよ」

父は、馬鹿にしておいて送り出してくれる。

「あぁ、行って来る」

オレが頭を下げ礼をすると侯爵様も一つ頷いて。

「金は有るのか?」

と訊ねた。カッコつけて出て行こうとしたが先立つ物はない。罰悪く「ありません」頭を掻いた。

「ほら!」と母が手持ちを差し出す。それを受け取り「助かる」と礼を言って出た。


南へ向かう。




道中は獲物を弓で得て食事を済ませ、ほとんど休み無く歩いた。街道を逸れずに寄れるような街はスズンだけだ。スズンに辿り着いた時にはヘトヘトで安い宿を取りひたすら眠った。

目が覚めると翌々日の昼前だった。

「喉渇いた。...腹へった」

魔法で水を出し飲む。何か食べないとな。

外に出ると、世話しなく行き交う人達は商人や旅行客といった風貌の者に混じり大工職人のような者がちらほら見受けられる。

「何か大掛かりなもんでも建ててんのか?」

それより、食事処を探そう。

お金を無駄遣い出来ないので入る前に値段を訊いた。どこも其なりに高い。スズンは観光地だったか。忘れていた。地元の者が通うような店はないかと見かけた精肉店で声を掛けると、安い店を教えて貰えた。

店に入るなり注文してから席についた。後は待つだけだ。待っている所に、声を掛けて来る男がいた。

「なぁ、あんた狩人だろ?」

俺の背の矢と弓を指さし言っている。

「あぁ、そうだが?」

腹が減っているので後にして欲しい。

「私はロエに向かいたいんだ、護衛を頼めないか?」

俺もクリス様達が、ロエに向かったかジーンマニに向かったか分かってない。行って、直接確認するしかない。

「行くのはいいが、帰って来ないぞ」

「あぁ、それでもいい、帰りはあちらのハンターを雇うよ。私はグエンだ」

男が手を差し出したタイミングで

「ハイ、おまちどっ。ごゆっくり~」

店員が料理を持って来た。

「まぁ食べてくれ、ここも私が払おう。」

男は差し出した手を引っ込めた。

俺はもう食べ始めていたがそれを聞いて、

「野菜炒めをたのむ!」「あいよ!」

追加注文した。

「俺はリードだ。よろしく」

行儀は悪いが食べながら話す。名乗らない方が善くない気がした。

「あぁ、よろしく。助かるよリード。仕事を受けてくれて。最初に声をかけた二人に断わられて何人か声を掛けたが皆断わられてなぁ」

「ほう、何でだ?」

「先日、スズン山に水龍が現れて、それから魔物の一切が消えたんだ。凄いだろ?見た者が大勢居てな。山の調査依頼が出されたんだが、依頼主が領主様ときた。皆腕に自信が有る無し関係無くそっちに行っちまったのさ」

「凄い話しだな」

話しを聞きながらも一気に食べ終わった。

「あい、野菜炒めね、パンお代わり出来るよ」

「たのむ!」

再び食べ始める。

「ずっとここで暮らしてるが、こんな事は初めて聞くな。そういや、最初に声を掛けた二人はスズン山で魔物を倒した最後の狩人になるかもな」

「知り合いなんだろ?相当腕が立つんだな」

俺は少し友達を褒めてやるような、おべっかのつもりでそう言った。

「いや、知り合いではないよ。旅の人だった。小さな女の子を連れて山に入るんだから相当腕は確かだろうけどね。まぁ、それで声掛けたんだがね」

男は薄く笑う。俺も笑ってしまった。クリス様だ。

「その旅人は断ったんだな?」

「ん?あぁ、取り付く島のない感じだったな、どっか行く予定が有りそうだったな、あれは」

つまり、それはロエに行ってないと言うことだ。

「直ぐ、出発出来るのか?」

「あぁ、こっちこそ頼むよ。早めに行きたい」

俺は残りを掻き込んだ。

「行くぞ」











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