港街へ向かう道中 2
街道でバトゥサピーの群れを見た日から寝床に困った。街道を逸れて森に入るが鬱蒼とし、木も雑草も多過ぎだ。
魔蟲を退治しても、普通の虫が多くテントを使うしかなかった。
(ケイン半径五メートルの雑草を集めて~)
『ハイハイ、回収!』
ケインが周辺の雑草をブチブチ引っ張り抜くとそこに隠れていた虫達が散っていく。草団子になったケインを一旦丸ごと異空間に放り込むと、まだ草にくっついていたであろう小さな虫達が
その場の残されていた。
(生きている者は収納出来ないんだね?)
掌にケインを出し直す。
『僕は生き物じゃないよ』
僕の脳内を覗き見たのかケインが答えた。
(こんなにいい奴なのにね)
『ハイハイ、そりゃどうも』
次は木を退かそうとケインを木にくっつける。
「これ、クルミの木ですね」
トッドは僕の作業中の木を見ながら言った。
「へー確かに何か緑色のボールみたいなのが成ってるね」
「収穫にはまだまだのようですがね」
トッドはお酒を嗜むようなのでナッツも好きなのかな?前の生でのお酒の印象だが。何処かに落ち着いたならお庭に植えてあげようかな?そんな未来を想像してクルミの大木を収納した。
お風呂にケインを浸し大気の熱を回収すると涼しくなるのが僅かな時間の癒しである。二人も気温が下がるし汗を掻いた体がさっぱりするのでバスタブを持って来たことを喜んでいるのだ。
バスタブの残り湯で洗濯もする。乾かすのは魔法ですぐ終わる。全部さっぱりして食べるご飯は最高だ。まだお母さんのご飯がいっぱいあるので取り出すだけだ。「いただきます」
三人分のお風呂はそれぞれ入れ替えるので気温が急激に下がったこの辺りは暫く生き物が寄って来ない。その間にご飯を食べる。
「あっ」「どうしたクリス」
ルーは大して気にした様子もなく食べながら訊いてみる。
口の中の硬い物を取り出す。乳歯が抜けた。
「おめでとう」「おめでとうございます」
「ありがとう」笑顔で答える。ぐらぐらが無くなって食べ易くなった。
テントを出しケインに魔力を有りったけ注げば、簡単に眠れる。オヤスミ
朝起きるとルーとトッドが警戒している。僕はルーに担がれて運ばれていた。トッドの持っているテントを預かり収納して何が起こっているのか訊ねる。
「猿がテント付近に現れたので囲まれる前に逃げ出しました」
「あれはバンジアッフェだな。魔物だぞ。百から二百程の群れを作るんだ。数が多くて厄介だ」
なる程、それに追われているのか。木の上の方に気配が沢山感じられる。こちらを追い詰めるのを楽しんでいるのか、鳴き声をギャーギャー上げて騒ぎ倒している。なんか、腹立つなぁ。
「僕を下ろして!」
地面に足がついた所で頭上を確認して幹の間を跳ぶ。前より高い。ケインを取り出し
(半径五キロの魔物バンジアッフェを回収して)『ハイハイ、五キロね~回収!』
ケインに魔物が集まる前に手放す。放れても僕等は繋がっている。四方から飛んで来るバンジアッフェを踏みつけながら地上を目指す。踏まれギャッと声を上げている。最後は体を魔法で守ると願い枝から身を守りながら、くるくるっと着地した。ケインも落ちて来るのでその場を離れる。二人が駆け寄り僕の無事を確認している。
「危ないぞあんな跳ぶ何てきいてねー」
「クリス様お怪我は?」
「うん、ごめんなさい。じゃあ留めをよろしく」
ケインも大きな音を立てて落ちて来る。
二人が僕を連れて逃げてくれなかったら危なかった。二人のレベルも上げたい。
(そういや僕のレベル上がってるなぁ~今いくつかなぁ?)
『今、レベル44だね~』
(二人のレベルは分からない?)
『分からないね』(やっぱり~?ダメか~)
ルーとトッドはでっかい魔物団子を前にとんでもない仕事を任されたと必死で留めを刺していた。




