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屋敷跡に

焼け落ちた屋敷の前に降りたった女性。長いベールで以て顔を見せないようにしている。

屋敷の敷地に並べられた6体の遺体。真っ黒に焦げ、最後の表情も伺い知ることもない。

「あぁ、そんな、こんなこと、なぜっうっうっ」

女性は一番小さな遺体の前で崩れた。小さな声と咽び泣く苦しそうな息遣いで、この世は地獄であると訴える。

周りに居た者達五人の男女が、庭であったであろう場所に穴を掘り全ての遺体を一つ一つ埋めた。小さな遺体に女性は、自ら土を盛り花を供える。膝を付いて掌のキスを土の上へ重ね最後の別れをする。再び、涙が溢れる。一人の男が女性の肩を抱き立ち上がらせ

「一度、家へ帰ろう、落ち着かなくては」

「えぇ、お父様」

支えられ馬車に乗り込んだ。屋敷までの懐かしい道はずっと霞んでいた。



「お帰りなさいませ、旦那様、お嬢様」

見知った執事が声を掛けるが、他に誰も居ない。お忍びでやって来た王太子妃は屋敷の者であっても無暗に人目に付きたくはなかった。

「執務室に行くぞ」「ハイ」

父に執務室に呼ばれると言うことは何か話しが有るのだ。まだ、事の本末を何も聞かされていない。

執務室に入ると

「下がってよい。茶も要らん。そんなものは後だ」

「失礼致します」

綺麗に腰を折った執事は出て行った。

父は引き出しから手紙を取り出し。

「座りなさい。」ソファに腰を下ろすと、手に有る手紙をテーブルに乗せ押しやる。

「読みなさい」

何の手紙か分からないが今回の事に何か関係しているのだろう。手紙を取りゆっくり開いた。



「っふぁー クリストファーは生きている」

涙がまた流れるが、瞼を閉じないよう。もう一度もう一度短い手紙だか、成長を感じる我が子の文字を目で繰り返し追った。

「セイユースにそっくりであったぞ」

「会ったのですか?」「あぁ」「ずるいです」

瞼を張らし泣き濡れて頬を膨らませている顔は王太子妃とは言い難い。誰にも見せられるものではなかった。

「私し宛の手紙は無いのですか?」

父は気まずい表情で「ないな」と答えた。

「そうですか」

酷いと感じたがこの手紙に有るようこの日までクリストファーは自分に他の家族が居ることを知らなかったのだ。母が他に居て自分の事を思っているなど想像もしていないことだろう。


生きているならそれでいいわ。



「うん、ここからはマリアーナ、お前の話しだ。クリストファーを狙った後で、こっそり王太子妃が城を出たんだ、後を追って来たに決まっている。そして先程のお前の態度を見てクリストファーが亡くなったと思っているだろう。」

「それで私しに教えなかったのね」

また頬を膨らませる。王太子妃としての威厳など素を見せられる父の前では必要ないのだ。

「うん、すまん。それでだ。これからまたルアンダはお前を狙うことになるだろう。」

「いいわ、そんなものは慣れっこよ。それに私がターゲットである内は、あの子は見つかっていないということだわ。最近、私に飽きたのかと思っていたらクリストファーに狙いを変えていたなんて」

今度は怒りが込み上げてきた。

「大変!セイラが危ないわ!帰らなくちゃ!」

マリアーナには一歳半となった姫が居る。

「何故連れて来なかった?会えると思っておったのに」

父は大きな顔で拗ねて見せる。

「自分だけクリストファーに会ったくせにそんな事をゆうのねっ」

拗ね返してやる

「では急いで帰るわね。ありがとう。」

共に立ち上がる。

「あぁ、気をつけてな」

父はゆっくりと諭す声音で言った。

「勿論。いつかクリストファーに会いたいわ。それまで死ねない。」


目標と誓いを胸にトンボ帰りで城を目指した。









墓を造り屋敷へ戻り侯爵様と王太子妃とは別れ、離れに帰った。一息ついていると、離れまで侯爵様がやって来た。

「これからはどうする?ここで働いても構わんが」

「いえ、私共は」

「そうか?」

「俺は、クリス様達を追いかけたい」

息子が突然そんなことを言い出した。







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