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スズン 5

まず仲介署に行ってみることにする。簡単にお金になりそうな仕事を見つけたい。

通りの裏手にひっそりと存在したが、仲介署の入口からは人の出入りが見られ、そこそこ盛況のようだ。

クリスはルーと手を繋いでいる。女の子が一人だと思われないほうがよい。

中に入ると八畳程の部屋が在るだけでガイドの女性が一人立っている。

左右両壁一面に貼り紙があり、仕事内容とその対価、場所と期間などが書かれており、雇い主の名前と住所が裏に書かれている。

「こちらは、初めてですか?こちらが定期雇用の募集そしてこちらは日雇いや討伐や納品、人探しや物探しといった雑用に近い仕事です。字は読めますか?」

恐らくガイドは字が読めない人の為に要るのだろう。

「読めますよ、ありがとう」

トッドが余所行きスマイルだった。きっと、貴族間の作法ならつけ離す類いのものに違いない。しかしそんな教育の中で育った教養がなければただの眼の毒。

「嫁?!?!」(ほらね~)彼女は目をハートにしていた。

ほっといて日雇い募集の方の壁の貼り紙を物色する。討伐依頼がやりたいの気持ちが強い!掃除や草刈りという簡単な雑用に不要ななった家具を買い取る、馬車を買い取るなど様々だ。その中にあった、討伐依頼だ。


スズン山中腹の魔物イッチーブルを討伐

個体数不明 希望は全討伐 一頭でも可

一頭につき金貨一百枚


ケインを手の中にこっそり取り出す、

(ケイン、イッチーブルってどんな魔物か分かる?)

『額に平たい刃物の様な角が生えており、頭の角を武器に突進、突き上げ攻撃をしてくる牛の魔物。角は成長過程で生えてくる。生えてくる際に酷い痒みを伴うらしく、額を樹木などに激しく擦りつける為、生息地の木々が折れていたりと荒地になる傾向にある』

(うーん?強いのかな?)『わかんないけど?』

(そーですか)

まぁ、でもやるよね!

「これにしよーよ!」ルーに向い一押しを訴える。

「これクリスやってみない?」ルーも押してく

る。

「ルー、クリスに働かせる気か?」

(え?やる気ですよ?)

トッドは自分だけでやるつもりだったようだ。

「効率よく協力しよう!」

ルーが薦めた仕事は

山桃の収穫

麓に生えている山桃

籠いっぱいで大銀貨一枚

ジャムにするので潰れても構わない


おー確かに僕に打ってつけだ。よし!両方受けよう!二枚の貼り紙をトッドとルーがそれぞれ取ってくれる。裏の依頼人にまず会いに行くらしい。



山桃の依頼人は籠を渡してきた。僕がすっぽり入る程、大きな籠だ。山桃は野生の木で誰かの所有するものではないので早い者勝ちだと言う。しかし、山では近頃イッチーブルが増えたと聞き危ないので依頼したいとのことだった。


討伐依頼の内容は、地元の住民が魔物に襲われた。観光客が襲われる前に討伐を急いでして欲しい。対価は一頭金貨一百枚で、討伐魔物の死体と交換。


この国の討伐依頼の人気が無い理由はここにある。異世界の討伐依頼だと討伐部位を冒険者ギルドで鑑定して貰えるイメージだ。だからこそ気軽に討伐を仕事として受けられるのだろう。しかし、この国に冒険者ギルドと重なるものはない。よって討伐確認は現物を依頼者が確認する。魔物に詳しいわけでもない人が一部を見て判る筈もなく、結果、全部を持って行かなくてはならない。この度のイッチーブルは牛だ。大きいに違いない。山から運ぶことを考えると何人も必要になるだろう。それを考えるとそんなに儲かる話でもない。疲れるし危険な仕事をやりたがる人も少ないだろうし、何より人を集めるのが難しいのではないか?貼り紙だけでは横の繋がりは生まれ難いだろう。日雇い同士が繋がれるシステムが必要だ。しかし、僕には必要無い。一人で運び放題だ。ギルドの登録が出来ない年齢なので仕事を受けることは出来ないが。二人のお手伝いなら出来る。ギルドの登録は九つかららしいが僕はまだまだ四歳だ。身体が大きいので鯖を読んで早く登録してもいいが、さすがに後数年は先の話しだ。



山は中腹辺りなら六時間あれば行って帰って来られるそうだ。昼食を食べて直ぐスズン山へと出発した。







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