逃亡の道中 2
雨が止まず、雨の中の野宿は大変だった。
ケインに半径五メートルの降り注ぐ雨を集めて貰う。すると雨はまるで止んでいるかのようだが地面はぬかるんでいる。泥濘を避けても水は流れて来る。ぐるっと周りに溝を魔法で造り出して、ベッドが湿気そうで今日は初テントで寝た。
いつもより寝心地が悪く、ケインに魔力を充填して無い為か熟睡出来ず、珍しく早く起きた。
テントを出るとケインが水球に成っていた。
(ケインおはよう、ご苦労様)
『うん、夜中止んだからね』
(じゃあ水球ついでにやりますか?前方三十キロの魔蟲を回収して!)
『ハイハイ、回収!』
水に埋まって、魔蟲が踠く姿は久しぶりだ。う~ん、よろしくない。
いつのまにやら二人が後ろに立っていた。
「これは...」
「うじゃうじゃが見えるのはキツいな」
そう、炎でやると見えないうちに灰になるが水だと丸見え。僕も二人と苦笑いした。
「朝ごはんはちょっと後に食べましょうか?」
「そうだね」
ドン引きだった。
暫く、歩くと泥濘に車輪をとられたフォロ馬車が立ち往生しているのが見えた。(がんばれ~)
それを避けて通る。近く付くにつれ馬車から鳴き声と羽音が世話しなくしている。中は鶏のようだ。(この世界に鶏いるんだ!いいなぁ卵)
「すまない、少し押してくれないだろうか?」
車輪の下に小石を噛ませていたのか、泥だらけの男が顔を出し頼んできた。まぁ、こんな場面で断る方が印象的過ぎるからと手伝うことにした。
男が馭者台に座ったの確認してトッドとルーが押してやる。馬車はゆっくり前に進みだす。
「ありがとう、助かりました。」
「いえ、よかったです。ではこれで」
トッドの言葉で去ろうとしたところ、呼びとめられる。
「この先のスズンの街へ行くのですか?」
最終的な行き先は決めていないが、通りの近くに小さいが街があるらしく、立ち寄るつもりだ。
それがスズンだ。
「あぁ、その予定だが?」ルーが引き留められて不機嫌だ。
「温泉が止まってから廃れてしまって、私は街を出るところです」
それで、家畜を連れて移動しているのか?大変だね。
「そうですか、まぁ立ち寄るだけですから。あたなも道中、気を付けて」
トッドはもう一度別れを告げた。
暫くして朝食と昼食を一緒に採る。勿論テーブルでいただく。
はぁ、お腹空いた。ルーも腹ペコだったようでモリモリ食べている。それでも、一番食べる姿がキレイなのはルーなのだ。侯爵家の教育は凄いよなぁ。食べながらスズンについて訊いた。
スズンはこの国には珍しく山があり、その山の麓までがスズン領。なんと山の名前も土地の名前も街の名前もそこ納める子爵の名前もスズンらしい。覚え易い。山の近くの街では温泉が出ていて最近までスズンは活火山ではないかと言われていたが、温泉の温度が下がりただの山であると言われるようになり、観光客が減ったらしい。肖った商品展開をしていたのかもしれないな。それでも、街を歩いて回るのは始めてだ。シトイット侯爵の所へは到着が夜中だったし、ルーの背中で寝ていたので全く堪能していない。
さあ、スズン楽しみだなぁ。




