相棒と幼少期 7
お昼ごはんのポテトとソーセージの炒め物をモシャモシャやっていると(パサパサのポテトとソーセージを一緒に咀嚼すると、ソーセージの油が溢れて口の中でポテトが少しずつトロってしてくんの好きなんだよな~)人が訪ねて来た。
「クリス様こんにちは。ごはん美味しいかい?コニーさんごきげんよう。食料品の配達に来たよ。」
「こんにちはクジ殿、配達は明日かと思ってましたわ」
クジという四十五~五十歳かと思われるこの男はいつも野菜や肉を届けてくれる。大体、昼過ぎにやって来るのでゆっくり食べていると鉢合わせることになる。だから、僕が好きな食べ物を長く咀嚼していることを知られているのだ。
「こんにちは、おじさん。お母さんのご飯は全部美味しいんだよ」
子供として、これ以上ない満点の受け答えではないだろうか?家事をやってもらう立場としてはこれくらいいつも言わねば、お母さんは突然爆発することがあると、前世の生活で学んだ。そうすれば、少しのお手伝いで許して貰える。
「そうか、そうか」
クリスの子供らしい?可愛らしい返答にクジは皺を深くする。
クジは、コニーに向き直り
「今、外でルーにも話したのだがね、」と始めた。
「リードのやつが森で蜂の魔物に出会したと言っておって、注意喚起に来たんだ。」「まぁ」
お母さんは声を上げたが、声音に危機感がない。「戸締まりをしっかりしていればなんて事ないですがね。一応お知らせだけでも」
反対にクジは、安心させる言葉と裏腹に顔が堅い。
(う~蜂は怖いなぁ、魔物だとやっぱ三メートルとかあるんじゃ)
クリスは、前世で見たアニメやマンガの中の魔物を思い浮かべていた。
夜、おやすみをしてから暫く待って部屋を出る。昨日と同じ様にダイニングから抜け出して生垣を潜って庭の外まで来た。河原まで散歩に行く時以外で、屋敷の囲いの外に脚を運んだことがない。しかも、一人だ。ちょっと心細いな。
(いきなり蜂が襲って来たらどうしよ)
クリスに防具や武器はない、無謀だったのでは?と後悔が過る。
河原の反対側へ歩を進める。そちらに森が存在しているのだ。あまり屋敷から離れるのも嫌だったので早速始めようと、ケインを取り出した。
(始めるよケイン!)
『いきなりだなぁ、まぁやるか』
今夜のケインはダルそうだ。
(じゃあ森の魔物を集めて!同時に僕が水を出すからそれも一緒に集めてくれ)
『オケ、生きている魔物と水を回収!』
異次元へ収納されている大量の水の一部をケインの近くに出現させると、同時にケインは水球となる。その水球に森から飛んでくる何かが埋っていく。直径三メートル程だった水球は見る見るうちに倍程に膨れあがった。中の魔物とやらは大概が蟲型で通常の虫の姿に大きい牙と爪を具えている程度で大きく形状が変わっているわけではなさそうだ。大きさも通常よりは確かに大きいが五センチメートルほどで大きいものでも三十センチ位か。水没して踠き苦しんでいる魔物たちを見ている最中であったが。身体の異変を感じ取って、そちらはあまり気にならなかった。
(ケイン!レベルアップしたくさいよ、まだ全然生きてそうだけど?)
『集める途中で木や何かに激突して死んでしまったみたいだね。そっちは速度が速くて即死だから。生きている物だけ集めてたから途中で途切れたのが今の倍より多いよ』
(ふぇ~そんなに?この森結構危険なんだね)
『いやいや、この森結構大きいよ?森を指定されたからかなりの広範囲になったんだよね』
(えっ?ごめーん知らなくて、昼に森に魔物が出たってゆうからさぁ、森って指示出しちゃったよ)
雑談めいた報告をし合いながら魔物の死を待っていた。集めていたのは、生きている物だけな為、滅された物は水に漂っている。(う~グロっ)
あまり見ていたいものではなかったので、レベルが上がったらしい自分の身体の確信がしたくなった。(身体能力とかが上がったはずだよね?)
その場で思いきりジャンプしてみる。「ヒュン」
と風を起こし飛び上がると、現在直径六メートル程のケインが下にいた。(うおっ高いしぬる~)
声を上げそうなのを必死に我慢して無事の着地を思考する。(ダメ、わかんない)地面になす術なく叩きつけられ、なかった。地面がふわふわなクッションの様だった。(あれ?)落ち着くと、大地は普通に戻った。
『終わったみたいだよ』
ケインが呼び覚ましてくれたお陰で呆けていた意識が戻る。
(ケイン、お疲れ!何か色々居るね!後で種類とか教えてよ)そのまま丸ごと異次元へ収納して初のレベル上げを終えた。




