47.決戦 キマイラ
気合も新たに俺達は再び地下への扉を開ける。今度は読まれると思ったのか蛇による奇襲はなかった。それともキマイラは俺達をもはや脅威と思っていないのか? 部屋の奥にいたキマイラは返り血と肉片に口元を汚して物足りなさそうな顔をして何かを噛んでいた。そして咀嚼し終えると俺達を睨んで一言。
『アア、マダタリナイ……オレサマオマエマルカジリ』
すさまじい速さでキマイラが迫ってくる。ああ、違う。こいつは食事が一息ついて休憩をしていただけなのだ。獅子の頭が突進してくると同時に尾の蛇が同時に襲ってくる。狭い室内で炎を吐かない程度の知恵はあるようだ。
「シオン、尻尾に気をつけて!!」
「うおお!?」
キマイラの突進は避けた上に、尻尾の蛇に襲われた俺はかろうじではじく。初見はどうにもできなかったが来るとわかってればなんとかなる。連続は無理だけど……
カサンドラはと言うとかわすついでとばかりに反撃にキマイラの身体に刃を立てていた。すげえなと思うが、固い毛にはじかれあまりダメージは与えれていないようだ。てか、身体能力を法術であげてこれってやばくない? カサンドラの予言が無かった俺は死んでいただろう。さすがはAランクの魔物ということだろう。
「カサンドラ、こいつの相手を頼む。できるだけ時間を稼いでくれ。可能なら獅子の口を傷つけてくれると助かる。俺は薬を探す」
「わかったわ、任せて!! でも……時間を稼ぐだけじゃなくてこいつを倒しちゃってもいいのよね」
「頼もしいね、カサンドラ。火よ!!」
そういって彼女は強気にキマイラに斬りかかる。そんな彼女に俺はせめてもの援護をする。俺の手から火の玉が現れて、カサンドラの刀に絡みつくようにまとわりつく。
「ありがとう相棒。助かるわ。これでギフトが使える!!」
『コシャクナ、サッサトクワレロ!!』
カサンドラは予言を使っているときは火が使えないからね、せめてものサポートである。硬い毛も火で燃やせばなんとかならないかと思ったのだ。
でもさ、彼女はああいってくれたけど、Aランクの魔物とソロは難しいだろう。俺たちも早くできることをやらねば……
「ライム、急ぐぞ! ラベルに『狂化薬』て書いてあるはずだ。ついでに『麻痺薬』もあったら渡してくれ」
『もちろん、任せてよ!! これで活躍したらライムとゴルゴーンのハーレム生活が待ってるからね!!』
そういって俺達は散らばっている棚や床に落ちている薬瓶を探す。てか、ライムが触手を何本も出していて瓶をひろっているから、すごい早いけどはたからみるとすっごいきもいな。
俺はようやく割れていない瓶を見つけたが『惚れ薬』と『麻痺毒』だった。狂化薬が全然見つからないんだけど。
カサンドラはどうかとみてみると彼女がキマイラの喉を貫くも、尻尾の一撃で吹き飛ばされているところだった。カサンドラも、キマイラも、お互い傷を負ったが、キマイラはまだ倒れる気配はない。それに対してカサンドラは吹き飛ばされた時にどこか痛めたのか、険しい顔をしている。
それにしても、ギフトを使用して動きを先読みしているカサンドラでも勝てないとは……やはりキマイラは強すぎる……でもさ、ステンノはこの強力な魔物を捕えたんだよね……俺は考えていた作戦を実行する事にする。失敗するかもしれないがやるしかない。そもそも今回の戦いは俺が、ゴルゴーン達を助けたいと言って始まったことなのだから……
すいません、ちょっとお昼バタバタしていて投稿が出来ませんでした。




