32.合流
『はははは、戦だぁぁぁ!!』
『仲間をさがせぇぇぇ!!』
叫び声と共に、ペルセウスが囮になって入り口の警備が手薄になった隙にやってきたシュバインとトロルド達がゴルゴーン達を圧倒する。本来は魔眼を警戒しなければいけないため、視線をあわせることができないので苦戦するはずだがアスの薬によって一時的に無効化状態に入っているので躊躇なく斬りかかっている。こうなっては身体能力が勝るシュバインやトロルたちの敵ではない。てかさ、このままじゃ殺しちゃうんだけど……何とか彼らをとめるため声を張り上げた。
「待て、シュバイン、トロルド、殺すな!! 彼女達は交渉のために必要なんだ」
『なんでだ、これは戦だろう? ああ、そうか。こいつらを人質にして、有利に戦うつもりだな。さすがはシオン、卑怯だな』
『人間……頭がいいけどずるい……でも仲間大事……従う』
言うことを聞いてくれるのは嬉しいけどすごい卑怯者みたいに思われてない? 特にトロルドとか俺に従わなきゃ、仲間を助けないみたいな感じで言ってるけどそんなことないよ。
「お前ら俺を何だと思ってるの!?」
『シオンは信用されてるねぇ』
「うっせえー!!」
俺は釈然としない思いを抱きながらもみんなが従ってくれたことに感謝をする。でもさ、ここで殺しあったら、メデューサが悲しむし、なによりゴルゴーンとの和解は難しくなると思うんだよね。彼女達からすれば俺達は侵入者で、それを撃退しているだけだし、悪いのはステンノだからね。
さいわいゴルゴーン達も不利を悟ったのか、接近戦をあまり仕掛けてこない。遠距離から矢が飛んでくるくらいだ。中には勇猛果敢に接近戦を挑んでくるゴルゴーンもいるが、シュバインが器用に致命傷にならないようにゴルゴーンをなぎ倒していき、トロルド達も致命傷にならないように手加減をしてくれている。他のトロルたちもトロルドの言葉に従っているようだ。
『こいつら……強いわ……いったん引きましょう。ステンノ様はどこにいるの?』
『あの方さえいれば……まあいいわ。食糧庫に立て篭もりましょう。そしていざとなればあれを使うのよ』
そういうと、彼女達は撤退の準備を始めた。そしてリーダーらしきゴルゴーンは大きく息を吸って……
『------------------------!!!』
奇声をあげた。その声を合図に他のゴルゴーン達も撤退していく。しかし、あれって気になるな。まだ、何らかの秘密兵器があるようだ。
「シュバイン、何か隠し玉があるようだ。警戒しといてくれ」
『ああ、わかった。ゴブリンも追い詰めれば、オークを噛むというしな』
『へぇ、シュバインもことわざ知ってるんだねぇ』
『ああ、カサンドラに教わったんだ』
本当にカサンドラとシュバイン仲良くなってるな。ちなみに、このことわざ聞いたことないんだけど、カサンドラの造語じゃないよね?
「じゃあ、俺は行くよ。みんなはゴルゴーン達を引きつけておいてくれ。ライム指揮は頼むね」
『任せてよ! 生かさず殺さず、暴れて相手を引きつけておけばいいんだね。シオンは可愛い子達をいじめるタイプなんだね、そんなんじゃモテないよ』
「構ってほしくて、つい、いじわるしてるみたいに言うなよ! 作戦だ。とにかく、シュバインとトロルドも頼む。戦えなくて不満かも知れないが、必要な事なんだ」
俺の言葉に二人が頷くのを確認してから、兜をかぶって身を隠す。
『姿が消えた……? やはり、人間は卑怯なことをさせたら一番……』
『シオンは色々できるな』
『あの兜いいなぁ、僕にはサイズ合わなくてかぶれないんだよね』
「まあ、俺の実力じゃないんだけどね、ペルセウスのギフトだよ」
そうしてみんなに場を任せて、俺はメデューサが捕まっている工房へと向かうのだった。
あとがきに書くネタがない……
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