32.脱出
『ふふふ、寝ている女の子と触手って興奮するよね』
「ライム余計な事をするなよ? ばれたら俺たちマジでやばいんだけど……」
メデューサの友人のゴルゴーンが去って少ししてからライムが鍵を回収してきた。見張りのゴルゴーンは本当に昼寝をしていたようだ。もちろん、牢屋には格子があるがそんなものはゼリー状のスライムには無意味になものだった。
俺達は牢屋の鍵を開け外に出る。ペルセウスは目の前に放置されていたハルぺーを拾って感覚を確かめるかの様に何回か振った。外へ出ると、警備のゴルゴーンが椅子に座ってテーブルに突っ伏して眠っていた。目の前には飲みかけの飲み物がある。あのゴルゴーンが薬を盛ってくれたのかもしれない。念のため俺は証拠を隠滅しておく。
まずは武器と防具を探さなければいけないだろう。俺達は足音を立てないように進んで扉を開けるとぎぃぃぃーと大きな音がしてしまった。どうやら特定の開け方をしないと大きな音がする仕掛けだったようだ。
「貴様りゃ、何をしている!!」
あわてて後ろを見ると、先ほどの音で、目を覚ましたゴルゴーンが俺たちに向けて武器を構えている。寝起きのためかちょっと噛んでてにやりとしたが、それどころではない。俺達はとっさに目を逸らしながらも戦闘態勢に入る。
「きゃあ」
視線を合せれないのはやはり厄介だな……と思っていると背後から忍び寄っていたライムの触手によって、ゴルゴーンががんじがらめにされていた。相変わらずぐろい……いや、ゴブリンの時と違ってなんかちょっとエッチだね。さすがに言ったりはしないけど……
『ふ、美女に触手攻め。一つ夢がかなったね』
「おお、なんとも官能的だな!!」
お前ら言葉通じていないはずだよね? 二人が嬉しそうに声を上げる。確かにちょっとエッチだけど今はそんな場合じゃないんだよ。いや、マジで。
「く、殺せ!! どうせ私にエッチなことをするつもりだろう!! このオークにも劣るけだもの共めぇぇ……もごご……」
ゴルゴーンは何やら女騎士みたいな事を言っていたが、ライムの触手を口に突っ込まれて途中で意識を無くして眠りについた。まって、こいつの触手睡眠効果もあるの?
「え、お前何したの?」
『アスに睡眠効果のある薬草をもらってね、その成分を使ったんだ』
「ふふ、シオンの仲間はエロイムだな。類は友を呼ぶという事か」
「俺はまともだ!!」
俺の視線にライムは得意げに答える。なんかライムもパワーアップしているね。てかペルセウスはこのエロイムと俺を一緒にしないでほしい。見張りのゴルゴーンを椅子に寝かせて、とりあえず俺達はもらった地図に記された武器が保管されている部屋へと向かった。
そこには、俺たちが使っていた武器のほかに、他の捕えられた冒険者や魔物が身に着けていたであろう武器や防具が乱雑に置かれている。
「む……私の兜が一つ足りないな」
「ああ、ひょっとしたらあのゴルゴーンがもっていったのかもしれないな」
俺はいろいろと教えてくれたゴルゴーンを思い出す。彼女は俺たちの話を聞いてステンノに疑いを持ってくれていた。ならばステンノが正しいかを確認するために行動をしてくれているのかもしれない。ゴルゴーンの側に仲間ができるのは心強い事である。俺は自分の愛用のミスリルの剣とカサンドラからもらったダガーに、あとは誰かが使っていたであろう杖を拾う。
なんとなく、目に止まったものだったが、杖からは強力な魔力を感じる。もしかしたら業物なのかもしれない。ゴルゴーンは基本的に魔術は使えないので価値もわからず置かれていたのだろう。今度、武器屋の店主にみてもらおう。同じく装備を回収しているペルセウスに声をかける。
「装備品は全部あったか? そういえばペルセウスは何でそんなハルペーを作ったんだ? 今回はゴルゴーンが敵だから助かるけど、こんなことになるなんて思わなかっただろ」
「ああ、相棒に必要になるから作ってくれと言われてな。まあ、作ったのは我が歌姫に会う前だし、村の近くにはゴルゴーンの里があるから、必要になるとは思っていたんだ」
「ああ、女癖が悪い相棒か……」
ペルセウスが答える。彼の相棒はどんなやつなのだろう? 結構マイペースな彼と冒険できるのはすごいよねと思う。
「とりあえずこの兜はシオンがかぶっておいてくれ。私にはこのハルペーと鏡の盾にもう一つアイテムがあるんでな。広い場所なら遅れはとらないはずだ」
「確かにペルセウスの方が強いもんな。ありがとう」
そう言うと彼は自分の靴を指さしにやりと笑う。まだ特殊なアイテムがあるのか……俺は兜を持って部屋を出る。そして見張りをしてくれていたライムとも合流して外へと向かう。さて、反撃の始まりだ。まずはメデューサを助けるか、シュバイン達と合流するか決めないと。
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