29.牢獄
シオン視点に戻ります。
わかりにくいので解説しますが時系列は
シオン視点は同日のお昼でアス視点同日の夜となります。
穴倉の中にある牢獄で俺たちは捕えられていた。武器と兜は回収されてたが、服などは着たたままなのが幸いである。ちなみにペルセウスのハルペーはゴルゴーン達が触りたがらなかったため、牢屋の外に乱暴に投げ捨てられている。
「完全にやられた……まさか、ゴルゴーンのリーダーが裏切者だとは……」
「そんなことはどうでもいい……我が歌姫は大丈夫だろうか? 私を痛めつけるのはいい、むしろ望むところだが、彼女を傷つけるのだけはやめてほしいものだ……」
いや、全然よくないんだけどとは思うが、ペルセウスはメデューサは心配でたまらないのだろう。メデューサは俺達とは違い、牢屋ではなく別のところに連れらて行ってしまった。もしかしたら薬の材料にされているのかもしれない。
いつも余裕があるペルセウスが動揺をしているのを見て俺も嫌な予感がよぎる。そういえば、ステンノが裏切者だったということは彼女が行商人だったということだ。ならば、彼女の会話から何とか、村にいる共犯者を突き詰めてなければいけない。
幸いにもまだ命は無事だ。外に情報を伝える術はいくつかある。だから俺は彼女との会話思い出す。彼女は何と言っていた?
『魔を魅せるって言っていたけど何も感じないわね』
ペルセウス達には俺のギフトは正直に魔物と会話ができることであると言ってあるし、お店のおばちゃんにはギフトの効果はぼかしてある。嘘の情報を伝えたのは村長だ。つまり、ステンノの仲間は村長だということになる。え、これアスやカサンドラもやばくない? 俺たちの行動バレバレだよ。
「ペルセウスまずい……共犯者は村長だ。俺は偽りのギフトをあの人にしか伝えていない」
ブラフを伝えたのはほんの気まぐれだった。アスが彼の娘であるアンドロメダの様子がおかしいと言っていたから、何かあると思って言ったきまぐれ。それがいま生きた。
「そんなまさか……あの人は誠実な人だぞ!! 私たちを騙したりするようなことは……いや、アンドロメダか!!」
俺の言葉を否定していたペルセウスだが、はっとした顔で叫んだ。村長はアンドロメダさんが毒に侵されて、絶望したのだろう。そんな中に行商人が薬をもってやってきたら……
相手がゴルゴーンだとわかっていても協力をするしかないだろう。協力しないと娘が助からないのだから。アスは言っていた。あの薬は完治させるものではないと、あくまでも症状を軽くするだけだと。つまり村長はステンノに利用されているのだ。
「ライム!!」
『シオンの話を聞いててだいたい流れはわかったよ』
「ふぇっ」
俺の言葉でライムが俺の服の間から出てきた。甲冑を脱がされた時点で服の下にライムを隠していたため、肌を直接這われる感覚に俺は思わず、変な声をあげてしまった。
『シオンはきもいなぁ……どうせなら可愛い女の子にそういう声をあげてほしいんだけど』
「うっせぇ!! お前なら格子も関係ないだろう。シュバイン達に声をかけてくれないか?」
『わかった!! 僕にまかせてよ。そうして村を救った僕は英雄スライムとしてハーレムを作るのさ』
「ハーレムって言ってもあの村若い娘はアンドロメダさんくらいしかいないけどね」
「シオン!! 誰か来たぞ」
ライムが格子の間から出ようとしたタイミングで扉が開いてゴルゴーン達がやってきた。髪が蛇とかしているので敵意があるのだろう。俺はあわててライムの上に乗って彼を隠す。ライムが『どうせのられるなら女の子がいいなぁ』と言っているが無視である。
『この二人が侵入してきた人間よ』
『こいつらがメデューサをそそのかしたのね……絶対許さない』
二匹のゴルゴーンは物騒なことを言い始めた。そのうちの一匹はまさしく悪鬼のような顔で俺たちを睨みつけていた。
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