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25.訪問者

アス視点です。

 私とカサンドラは村の警備を終えて、一息ついてお茶を飲んでいた。シオン達は今潜入していると思うが大丈夫だろうか? 夜になっても何の連絡も来ていないが、今頃ゴルゴーン達に歓迎でもされているといいのだけど……シオンと再会したばかりなせいか、半日強離れ離れになっただけなのに寂しいと思っている自分に少し驚く。カサンドラと雑談をしていると突如ノックの音がする。



「こんな夜分に誰かしらね?」

「わからない……とりあえず開けてみる……」



 私たちは警戒しながらも、扉をあける。背後を見るといつでもカサンドラが刀を抜けるように構えている。これなら大丈夫だろう。私が扉を開けるとアンドロメダさんがいた。彼女は走ってきたのか、肩で息をしながら口を開いた。

 


「失礼します。こんな夜分に申し訳ありません。ですが、お伝えした方がいいと思いまして……」

「問題ない……これを飲むと落ち着く……」



 私は体力回復の効果のあるお茶を渡す。シオンが帰宅した時用に準備をしていたのだが役に立て良かったと思う。

 


「ありがとうございます。その……行商人の方が今夜いきなりいらっしゃって、父と何やら話していたんです。ペルセウスから行商人には気をつけろと言われていたので皆さんにはお伝えした方がよいと思いまして」

「こんな夜中にわざわざ訪問するなんて怪しいわね……なにかを焦っているのかしら」

「しかも……二日後に来るって言っていた……おかしい……」



 私とカサンドラは顔を見合わせてうなずいた。予定では二日後にくると言っていたのに、わざわざ日程を早めた上に、夜中に来ると言った理由はなんなのだろうか? 行商人の方でもイレギュラーがあったのかもしれない。行商人の正体がゴルゴーンだということはすでにシオンから聞いている。ゴルゴーンの里に行ったシオン達に何かがあったのではないか。私の胸に焦りの感情が生まれる。



「すいません、この村とゴルゴーン達に何が起きているのでしょうか? 私たちが話していたゴルゴーンは……エウリュアレさんは優しい人だったんです。それなのにいきなりいなくなるし、ゴルゴーンは襲ってくるし、ペルセウスもどこか行ってるし、なにがおきているんですか?」



 アンドロメダさんの悲痛な叫びが部屋に響く。おそらく、行商人が怪しいと聞かされていたので最初にペルセウスの家に報告に行ったのだろう。でも彼がいなかったので私達に頼りにきたのだ。涙目の彼女をカサンドラが元気づけるように手をにぎって慰める。



「私達も今はまだ何がおきているかわからないわ。だからシオン達が調べてくれてるのよ、彼って普段はへたれだけどこういう時はすごいんだから安心して」

「そう……シオンはすごい……」



 信頼に満ちた目のカサンドラにちょっと胸がモヤっとしながらも私も同調する。私たちの言葉に安心したわけではないだろうがアンドロメダも少しはおちついてきたようだ。



「すいません、取り乱してしまって……ペルセウスも大丈夫ですよね? 彼はバカでMですけど、いいやつなんです。村の警護の仕事だって、本当は街に行けばもっといい仕事があるのに、前まで警護をしていたおじいちゃんが腰をやったからってここで働いてくれているんですよ」



 そう言ってペルセウスの事を語る彼女をみて私はピンと来た。心なしか自慢げで……まるで自分の事のように語る彼女をみて私はピンと来たのだ。



「もしかして……アンドロメダさんは……ペルセウスの事が?」

「ええ、まあ……その……言わないでくださいね。その失礼ですが……アスクレピオスさんは……」

「大丈夫……幼馴染は負けヒロインじゃない」

「はい、ぽっと出の新しい女の子になんて負けたくありません!!」

「あなたたちは何の話をしているの?」



 私たちが握手をしているとカサンドラがあきれた声を上げる。しかし、こんなところに仲間がいたなんて……

 そうして行商人の情報を聞いた私たちはアンドロメダを帰して、行商人がいる村長の家へと向かうことにした。外へ出すために装備を準備をしていると、カサンドラがいきなり頭を抱えてうずくまった。



「カサンドラ……大丈夫……?」

「ええ、大丈夫よ、私達ならば何の問題もなく行商人を追い詰めることができるわ」



 そういう彼女は不思議と辛そうな……何かもどかしい顔をしていた。その顔は何かを伝えたいけれど伝えられないもどかしさに苦しんでいるようだった。



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[一言] 怪しいアンドロメダ メドゥーサのこと気付いてるのか
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