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24.ゴルゴーンの里3

「姉さま……違うんだ。人間にもいいやつはいるんだよ。彼は信頼できるんだ」

「エウリュアレも人間は信頼できるって言って、物々交換をしていたのに、誘拐されたのよ。信頼できるはずないでしょう」

「う……」



 恐ろしい雰囲気を醸し出す姉に、気丈にも言い返すメデューサだったが、ステンノに正論で言われて言葉に詰まる。俺が兜を取って援護をしようと思ったが何者かに阻止された。姿は見えないがペルセウスか? 彼女に任せろという事なのだろう。顔は見えないが、優しく見守っているのだろう。

 メデューサはしばらく、何かを悩んでいたが、ステンノの目をまっすぐとみて口を開いた。



「確かに人間には信頼できないやつはいるかもしれない……でも彼は違うんだ。彼は自分の命だって危ないのに、僕を助けてくれたんだ……それに、綺麗だって言ってくれたんだ。僕の蛇の姿をみても、彼は綺麗にって言ってくれたんだ。どんなにひどいことを言っても、僕の事を好きだっていい続けてくれたんだ。だから僕は彼を信じるって決めたんだ」

「そこまで信用するなんて、まるで恋する乙女ね……まあ、いいわ。話だけは聞いてあげましょう。それで、人間たちは何て言っていたのかしら?」



 メデューサの言葉にステンノは深いため息をついて答えた。だが、ステンノは話を聞く気になってくれたようだ。てか、俺とペルセウスも聞いてるんだけどいいのかな? てんぱって本音が漏れてしまったのかもしれない。まあ、結果的にはいい方向に進んだからいいとしよう。でもさ、ペルセウスのやつ絶対、にやにやしてるよなぁ……



「なるほど……裏切者のゴルゴーンが行商人のふりをして薬を売っているか……」

「そうなんだ、多分、そいつが、エウリュアレ姉さまをさらって薬を作っているんだよ。だからその裏切者を捕まえて、エウリュアレ姉さまを助けて、みんなに話して、誤解を解いて、村の人と仲直りをすれば僕たちはまた元の日常に戻れるはずなんだ。僕の話は聞いてくれないかもしれないけれど……ステンノ姉さまの話ならみんな聞いてくれると思う。だから力を貸してほしいんだ」



 メデューサの言葉にステンノはなにやら考え込んでいる。確かに信用できない話だろう。彼女はゴルゴーンの里のリーダーだ。軽率な判断はできないはず……だからここでもう一つきっかけを与えるべきだろう。今なら問答無用で襲われたりはしないはず。俺が兜を脱ごうとするとステンノが口を開いた。



「ちなみにあなたの協力者の人間たちはどこにいるのかしら? できればその人たちの話も聞きたいのだけれど……」

「ここにいるよ。ふたりともお願い」



 メデューサの言葉を合図に、俺たちは兜を取って姿を現した。ステンノはびっくりしたように目を見開いた。



「へぇー、本当に姿を消せるのね」

「お初にお目にかかる、私の名はペルセウス、我が歌姫の騎士だ。先ほどの告白心震えたぞ。式はいつあげようか?」

「何を言っているんだ。さっきのは姉さまを説得させるための方便だよ、別に君の事なんて好きじゃないんだからね!!」

「俺はシオンと言います。人間とゴルゴーンの誤解を解く為にやってきました。俺たちの話を聞いてもらえますか? 信頼できないっていうならば武器も置きます。俺達は本当にゴルゴーンと敵対する気はないんです」



 二人が夫婦漫才をはじめたので俺はさっさと話をすすめることにした。キリがないからね。しかし俺の言葉にステンノは答えずにじっと見つめてくる。何だろう、まさか俺に恋をしたとか?



「魔を魅せるって言っていたけど何も感じないわね……まあ、武器はそのままでいいわよ。持っていてもらわないと困るもの」

「え……?」



 俺はステンノの言葉の意味が分からず思わず聞き返した。しかし彼女は返事をせずに大きく息を吸ったかと思うと



『----------------------------!!!』



 うおおおお、突然の奇声に俺のメデューサは耳をふさぐ。 一体何だっていうんだ?



「二人共どうしたのだ?」

「なんだ今の音は……?」

「姉さま、何で!? 今のは緊急時の……」


 ペルセウスには聞こえなかったのか、俺とメデューサはあまりの高音に苦悶の表情を浮かべながら耳をふさいだ。



「うふふ、情報通りね、姿を隠して人間が紛れ込んでくるって言われた時は半信半疑だったけど……あなたたちの動きは村にいる内通者によって筒抜けだったのよ。だから言ったでしょう? 人間を信頼してはいけないって」



 ステンノがいやらしい笑みを浮かべて答える。これは一体……俺が突然の出来事に混乱している間にも、遠くからこちらへと駆け寄ってくる足音が響く。



「エウリュアレだけじゃあ、心もとなかったのよね。メデューサ、あなたも薬の材料になってもらうわ」

「姉さま!? なんで……」

「我が歌姫よ、落ち着け。彼女は敵だ。」

「まったく、薬を使うゴルゴーンなんて私だけでしょうに……なんでそんなことにも気づかないのかしらね。そんな馬鹿な所もみんなに可愛い可愛いって言われて調子に乗っているのかしら」



 ステンノに駆け寄ろうとするメデューサをペルセウスが止める。その光景を見てステンノはなぜか不愉快そうに眉をひそめた。

 そして扉が乱暴に開けられて何体ものゴルゴーンが部屋へとやってきた。



「大丈夫ですか? ステンノ様。先ほどの声は……」

「メデューサが裏切ったわ、この人間たちと協力して私を捕えようとしたのよ」



 狭い部屋で、何体ものゴルゴーンに囲まれた俺たちは抵抗することすらできずにとらえられるのであった。



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― 新着の感想 ―
[良い点] 何となくフラグ立ってるなぁと思い、数話大人しくドキドキしながら読んでおりましたが、やはりお姉さん・・・ 真意のほどがいかなものか、またドキドキしながらお待ちしております。
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