15.村長の話
アンドロメダと言う少女に案内された俺たちは来客用らしき大きなテーブルのある部屋に案内された。る。こちら側に座ったメンバーは俺とカサンドラ、アス。向かいには、村長らしき年配の老人と、俺たちを案内したペルセウスが座った。アンドロメダさんは俺たちのお茶を出すとお辞儀をして席を外した。
「これはこれは、こんな辺鄙なところまでご苦労様です。ケペウスと申します。皆様はBランクの冒険者と聞いておりますが、私たちの現状もある程度ご存じでしょうか?」
「はい、Bランクの冒険者で『群団』のシオンと申します。私達は彼女の依頼で、この村に寄ったんです。彼女の名前はアスクレピオス、そしてパーティーメンバーのカサンドラ、そしてこいつがライムです」
俺の合図と共にライムが俺の甲冑から這い出てくる。それにあわせてカサンドラもフードをとって綺麗な赤い髪が美しく舞う。それをみて驚愕する村長。こうしておけばシュバインの事も話しやすくなるだろうと思って早々に俺のギフトを説明しようという打ち合わせをしていたのだ。でも……カサンドラのアンドロメダさんへの反応をみた俺はとっさにアドリブを加えることにした。
「な、魔物ですか!? それに彼女は……」
「ええ、まあ、俺のギフトで、魔を持つものに愛されるんですよ」
『僕はシオンよりかわいい女の子を愛してるんだけどな』
「私は別にギフトで、シオンの事を信頼したわけじゃないんだけど……」
「私は……魔じゃないけどシオンを信頼してる……」
俺の言葉に三人が異口同音に不満を漏らす。てか、せっかくブラフやってるんだから、余計な口を挟まないでくれないかな? 咄嗟にアドリブを入れた俺が悪いんだけど……
「まあ、こういうギフトを持っているんですよ、それで、ゴルゴーンと揉めていると聞いたのですが……俺達ならお力になれると思います。詳しく聞かせていただけないでしょうか?」
「なるほど……魔物を仲間にすることができるのですね、さすがはBランクの冒険者です。それならぜひともお話を聞いていただきたい。もちろん謝礼も払います。近いうちにギルドにも依頼をする予定だったんです」
そういって村長は村の現状を語り始めた。村長の話によると、メデューサから聞いた話と途中までは同じで、ゴルゴーン達とは相互不干渉で一部の住人だけが少し物々交換をしていたらしい、だがある日数人の村人がゴルゴーンによって襲われたらしい。その数人の村人はゴルゴーンの髪の蛇に噛まれ毒によって生死をさまよっていたそうだ。
「ゴルゴーンの毒は強力……放っておけば二日で死ぬ……」
「はい、おっしゃる通りです。噛まれた村人達は呻きながら苦しそうにしておりました……」
「その割にはあまり急いでいないようですが……もう街の方に薬を手配とかされているのですか? アスの話では相当やばい毒なんじゃ……」
俺たちの疑問に村長が答える。
「それはですな、ちょうど皆が苦しんでいる時に行商人の方がやってきて薬を売ってくださったのです。おかげでみんな元気になったんですよ」
「それは幸運でしたね」
「はい、行商人の方々には大変感謝しております」
俺の言葉に村長は満面の笑みでうなずいた。でもさ、怪しくない? そんなピンポイントでゴルゴーンの毒への特効薬なんて持ってるものかな?
「それであなたがたにはゴルゴーン達が私たちの村に近づかないようにしてほしいのです。今、村の資金を集めて、冒険者を他にも雇うつもりです。それまで時間を稼いでくだされば……」
「なるほど……さすがにこの人数でゴルゴーンの集落への襲撃は難しいですからね。わかりました」
「ありがとうございます。あと、ゴルゴーンを近くで見つけたら追い払ってくだされば結構です。深追いはしなくて大丈夫ですので」
メデューサの事はばれていないのだろうか? と思うとペルセウスはにやけた笑みを浮かべながら人差し指を口元で立てた。それですべてを察する。
そして、話を終えた俺たちは村長に挨拶をして部屋を出ることにした。
「なあ、さっきの話どう思う?」
「ゴルゴーンの特効薬なんて……簡単に手に入らない……」
「やっぱり行商人が怪しいわよね……」
俺たちが話し合いながら歩いていると、慌てて村長の部屋からペルセウスが出てきた。彼は俺たちに手で少し待つように指示をする。
「やっぱり貴公らもそう思うよなぁ。だからさ、その被害者の様子と薬をみてくれないか? アスクレピオスさんなら症状がわかるんだろう?」
「でも被害者にそう簡単に会えるのか?」
「アンドロメダ……彼女も被害者……」
「正解、さすがだなぁ」
「あの子……体の様子がおかしかった……」
「彼女の部屋に案内しよう。幼馴染なんでな、アポなしでも問題はないのだ」
そうして俺たちはアンドロメダさんに話を聞くことになったのだ。
キャラの名前はギリシャ神話からとってますが、役割は違うのでご安心を
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