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5.強襲

 そしてライムを肩にのせて俺はダンジョンを進む。いつものように、洞窟に巣食っている蝙蝠こうもりに魔物がいないか聞いたり、魔物の強襲を警戒しながら進む。こういう索敵はパーティーにいたころから担当していたので馴れている。



『いやあ、高い視点っていいよねぇ。ほら、あんなところにスライムがいるよ。フハハハ、下民共がって感じがするね』

「お前、仮にも同族なんだろ……なんでそんなひどいことが言えるの?」

『僕は群れを抜けたスライムだからね、群れる事しかできない彼らとは違うのさ』

「それはぼっちのやつがよく言ういいわけじゃん」



 ライムに突っ込みをいれてから、俺も今はソロなんだよなぁってことに気づいて、ちょっとテンションが下がる。いや、今はライムとパーティーを組んでるしな。俺がへこんだことを察したのかライムが触手を伸ばして俺の頬に触れる。それはひんやりとしていて気持ちよくて、まるで慰めてくれているかのようだった。



『大丈夫、今のシオンには僕がついているよ』

「……ありがとう。お前は良いスライムだな」

『うん、最初に会った時も言ったでしょ、僕は悪いスライムじゃないよってさ』

「そうだな、口は悪いけどな」

『大丈夫! 君は口も目つきも悪いよ』

「俺の良いところはないのかよ! あと、目つきは気にしてるからやめて!』



 ライムと軽口をたたきながら進んで、しばらくすると蝙蝠から合図がきた。前に何かがいるようだ。



「ライム気を付けろ、なんかいるぞ」

『わかった。美少女が魔物に襲われていて、さっそうと助けたりとかしたいよね』

「ああ、いいなぁ……まるで英雄譚じゃん。それで美少女の命を助けた俺たちは感謝されて恋に落ちるんだよな」

『そうそう、それで実はお姫様だったりするんだよね、『あなたがスライムでも構いません、私と婚約してください』って言われたらどうしよう。身分違いの恋っていいよね』

「おまえと美少女のフラグが立つのかよ!! てか種族も違うじゃん!! 俺だって恋に落ちたいんだが……まあ、絶対ありえないから安心しろ。そんなのは物語の中の話だけだ。てか、こんなところに美少女がいたら逆に怖いわ。ダンジョンだぞ。絶対魔物か冒険者だろ」



 俺たちが身を隠していると、通路の奥から三匹のゴブリンがやってきた。やつらは俺に気づいていないのか、やる気のなさそうに歩いている。先手必勝だな。ちなみにゴブリンはDクラスである。スライムと同ランクだ。



『よかったね、ゴブリンのうちの一匹は雌だよ。恋に落ちれば?』

「できれば人間がいいなぁ!! あいつらを狩るが、いいよな」

『大丈夫、違和感があるのは最初だけだよ。おんなじ二足歩行じゃん。もちろん、あいつらゴブリンって、僕をみかけると襲ってくるから嫌いなんだよね』



 ライムの言う通り、魔物の同士でも戦闘はあるのだ。人が勝手に魔物とひとくくりにしているだけで、仲間でも何でもないのだろう。というか同じ種族同士以外で行動をしているのはなかなか見ないもんな。

 俺はゴブリンのうちの一匹に意識を集中して魔術を放つ。



「風よ!!」



 俺の手から風の刃が現れ一匹のゴブリンを切り裂く。腐ってもBクラスで戦っていたのだ、こんな雑魚にやられる俺ではない。そして驚いているゴブリンを剣で一閃。ゴブリンは喉から血をまき散らして息絶えた。もう一匹はというと、ライムが体を触手のように伸ばして、ゴブリンの首をしめていた。結構えぐい攻撃方法だな。夢に見そうである。



『フフ、やるね、シオン。腕をあげたじゃないか』

「お前もな、って……お前と一緒に戦うのは、今日がはじめてだよな!!」



 俺たちはお互いの健闘を称えあう。そしてゴブリンの耳を短剣で切り裂いて持って帰る、これをギルドに持っていくと換金してもらえるのだ。



『それよりさ……シオン……』

「ああ、わかっているよ。さっきお願いしたことをたのむ」



 さっきまでの軽い雰囲気から一転、真剣に警告をしてくるライムに俺はうなずく。ああ、わかっているさ。蝙蝠も教えてくれていたしな。それに赤毛の少女のおかげで、この可能性に気づけた。

 そうして、俺たちはわざわざ、ダンジョンの広まったスペースがある所へ向かった。そしてちょうど真ん中まで進んだところで、背後から飛んできた矢が俺の足元に刺さった。

 俺は立ち止まり、ライムは俺の肩から降りると、そのまま奥の通路へと這っていった。ようやくか。俺が振り向くと、何人かの冒険者がにやにやといやらしい笑みを浮かべて立っていた。馬車で一緒だった四人組の他にもう四人、その中には酒場で俺に絡んできた奴らもいる。でも、おかしいな? 蝙蝠からの情報では、もう一人いたはずなんだが……



「これはなんのつもりだ? 俺はあんたらに恨まれるようなことをした覚えはないんだが?」

「はっ! お前のところのリーダーには散々バカにされたからな。その仕返しってわけだ。元パーティーとはいえ、お前が捕まっているといえば、イアソンも少しくらいなら金も払うだろうさ。それにあいつの悔しがる顔も見たいしな」



 まったく、イアソンのせいか……追放されたというのに、また名前を聞くことになるとは……よく見れば集まっているのは、ベテランだがCランクどまりの連中ばかりである。あいつはよく低ランクで満足していたベテラン連中を、馬鹿にしていたからな。イアソンは口が悪い。あれはあいつなりの鼓舞なのだが、それをわかる人間は俺を含めた幼馴染連中くらいだろう。

 それにしても、イアソンに馬鹿にされた腹いせにイアソンではなく、ソロでいたぶりやすい俺を狙うっていうのはどうかと思うよな……相手の数は八人。二パーティーが協力していると考えるのが正しいだろう。さすがに真正面から戦っては面倒だ。

 そう……だから俺は真正面からは戦わない。彼らには俺よりもっとふさわしい相手がいるのだから。俺は、にやりとライムが進んでいった道を見て笑みを浮かべた。


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