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思い出と共に

「そんなこともありましたね……うわぁ、今思い出したら無茶苦茶恥ずかしいんですが!!」

「ふふ、その時ちょっとかっこいいなって思ったんですよ、それにシオンさんはあれ以来約束を守ってくれてますしね」

「それは……アンジェリーナさんがちゃんとしたクエストを選んでくれてるからですよ」



 私が思い出話をしているとシオンさんが顔を真っ赤にしている。隣に座る彼は記憶の時よりも、背も伸びてずっと男らしくなっていた。そしておそらく、彼を意識したのはこの時だったんだろうなって思う。

 確かに二人とも積極的に食事などに誘うタイプではなかったけれどでも、彼と二人になるのを避けていたのは、これ以上感情移入して、仲良くなるのをさけていたのかもしれない。でも、彼はまだ生きてくれている。彼はまだ約束を守ってくれているのだ。だから私も一歩進んでもいいかもしれない。進むべきなのかもしれない。



「あらあらシオンも女の子を口説くようになったのね。あの時は本当に焦ったわ……」

「べ……別に口説いてませんよ!! でもジェシカさんが無事で本当によかったです」

「そりゃあね、私もアンジェに約束をしたからね。でもあんたもかっこいいことを約束したわね」

「いや、それは……」


 ジェシカさんの言葉にシオンさんが顔を真っ赤にした。その姿が可愛かったので私も追撃をすることにした。



「えー、そうなんですか? 私を食事に誘ってくれた時はデートかなって期待したんですよ」

「アンジェリーナさん絶対酔ってますよね!? ジェシカさんからも何とか言ってくださいよ」

「いや、やっぱり、あんたは全然進歩してないのね……ちなみに12回ね」

「ジェシカさーん、まじでやめてください!! ああ、アンジェリーナさんが俺をゴミをみるような目でみている!!」

「シオンさんのエッチ……」

「うおおおおお、だって本能なんですよ!? つい見ちゃいうんですって」

「あ、13回。はい、飲みなさいな」



 そういうと彼女は片手で器用にお酒を注いでくれた。結局彼女はあの事件がきっかけで、片腕を失い冒険者をやめることになったのだ。そして怪我の治療などもあり、実家に帰って、資金をためて、時間はかかったもののこうしてバーを経営している。彼女が店を開いたという手紙をみたのとセイロンとの会話で、久々に三人で飲みたいなと思い、今日は予定を変更してもらったのだ。



「でも、こうして久々に集まるのもいいですね、昔に戻ったみたいです。ここ何かカップル専用みたいで中々入りにくかったんですよね……」

「まあ、せっかくだからね、私の趣味に特化させようと思って。でもアンジェは時々来てるわよね」

「女子会に使えますし、ここだと変なナンパもありませんから一人で飲みに来やすいんですよ。お客さんがあんまり来ない日はジェシカさんも構ってくれますから」

「え、待ってくださいよ、なんで俺だけ仲間外れになってるんですか? 誘ってくださいよ」

「まあまあ、それよりさ……あれってシオンの関係者? さっきからあんたらのことを睨んでる怖い子がいるんだけど……」

「「えっ?」」



 私たちがジェシカさんの指さす方を見てみると、頭を抱えているカサンドラさんと、酒に酔って顔を真っ赤にしているカストロさんに、こちらをすごい目で見ているポルクスさんがいた。うわぁ……待って、私たちの会話を聞かれていたのか……



「あれ、みんなもここに来ていたんだ。偶然だなぁ。でもカサンドラもポルクスたちと飲みに行くくらい仲良くなってたんだ。よかった」



 シオンさんがあほなことを言う。絶対偶然じゃないと思うんだけど……それにカサンドラさんが、目をそらしながら答える。



「ええ……そう、偶然入ったら二人がいたけど邪魔するのも悪いかなって思って……」

「そんなことどうでもいいんですよ!! なんで二人は一緒にいるんですか? シオンさん、やはり胸ですか? そんなの脂肪の塊ですよ!!」

「ポルクスぅぅぅ!! これ以上酒を飲まないでくれ。スキルのせいで僕にまで酔いが……気持ちわるい……」


 なんか騒がしくなってしまった。私とシオンさんは二人で目を合わせて苦笑する。こうなってはみんなで騒いだ方がいいだろう。



「ジェシカさん、みんなで食べれるものを用意してもらっていいですか? オークを狩った報奨金があるから今日はおごってやるよ!!」

「みんなで打ち上げ……すごい、夢みたい……」

「わーい、じゃあ、私はシオンさんの隣に座りますね」

「頼むぅぅぅぅぅ……ポルクス……もう、お酒飲まないで……」



 騒がしくなった店内で私は思う。彼ら冒険者の力になりたいなと。これからもがんばろうと。でも最後に一言だけ言っておこうと思う。私はシオンさんの腕をとって耳元でささやく。



「ちょっ、アンジェリーナさん? その胸が……」

「今度はちゃんと、二人でデートをしましょうね、シオン」

「えっ? 今俺のことをなんて……?」



 私は彼の問いに答えずにみんなのところに進むのだった。冒険者たちの輪へと進むのであった。

更新3回目です。これでアンジェリーナさん編は終了です。

いかがでしたか? 次から本編が始まります。感想いただけると嬉しいです。



続きが気になるなって思ったらブクマや評価、感想いただけると嬉しいです。


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― 新着の感想 ―
[気になる点] 隻腕でバー開くってのもなかなか茨の道だなぁ。
[一言] よい。とても良いです
[一言] しゃいこぉー…しゅきぃ… 更新お疲れ様です。次回も楽しみにしています。頑張ってください。
感想一覧
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