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33.決戦

「大丈夫か、イアソン、メディア」



 ライムの案内でオークたちが開けた穴から戦場へと出た俺たちは、ぎりぎりで間に合ったようだ。イアソンは俺を見ると何か言いたそうだったが、口を開くことなく意識を失った。瀕死のイアソンと彼を呆然と見ているメディアをみた俺は近くにいた冒険者に声をかけて救助を頼む。

 カサンドラとシュバインがあの大きいオークの相手をしている間に俺は状況を確認する。



『俺はお前とずっと戦いたかったんだよ!! リーダー!!』

『ニンゲンコロス!! オマエモコロス』

「オークロードね。相手に不足はないわね」



 シュバインとカサンドラがオークロードとすさまじい戦闘を繰り広げている。シュバインに指揮をするオークが誰か聞きたかったのだがあいにく無理なようだ。だから俺は耳を澄まして、オークたちの声を聞く。



『あの人間と、シュバインを背後から矢で射ろ。奴ごと射抜いても構わない!!』

『ヤツラヲコロス!!』

「メディア杖を借りるぞ!! 風よ!!」



 他のオークたちに命令をしている小柄なオークめがけて魔術を放つ。メディアの持つ杖によって、強化された風はすさまじい勢いで小柄オークに迫る。それをみた小柄なオークは驚愕の顔をしながら悲鳴をあげる。



『なんで俺を……まもれぇぇぇ!!』



 小柄なオークの号令で近くのオークがかばうように小柄なオークと魔術の間に入ってきた。盾となったオークたちによって魔術は止められてしまったが、小柄なオークも無傷では済まなかったようだ。片腕から血を流しながらこちらを睨みつけている。



「オークのリーダーはそいつだ。手があいているやつは俺と一緒に倒すのを手伝ってくれ!!」

「リーダーはオークロードじゃ……」

「信じてくれ!! 俺はオークから聞いたんだ。『翻訳者』のギフトでな!!」



 俺の言葉に冒険者たちの間に困惑が広がる。ああくそ、説明をしている時間が惜しい。早くしないとリーダーが逃げてしまう。少し、カサンドラの気持ちが分かった気がする。俺がどうしようかと悩んでいると、一人の狩人が逃げようとしていたオークのリーダーに弓を打った。



「俺はシオンを信じるよ、こいつは魔物と話せるからな。その力に助けられたとがある」

「この前稼がせてもらったし、信じてやるか!!」



 狩人の言葉によって、流れが変わった。オークのリーダーへと手が空いている冒険者たちが迫る。賢いが体が弱いオークのリーダーはこうなると弱かった。仲間を集めさせて、自分の身を守ろうとするがそれはもう作戦とは言えなかった。そして乱戦になって、一人の冒険者が大声を上げる!!



「リーダーを打ち取ったぞ」




 小柄なオークの首を掲げた冒険者の言葉が、洞窟に響き渡る。そこからはもう、冒険者たちの有利なように戦況は進んだ。指揮系統を失ったあげく、ギフトが解けたオークたちは突然正気に戻ったものの状況がわからず、混乱していた。そこに冒険者たちの猛攻が迫る。あるものは呆然としたまま命を失い、あるものは逃亡を始めた。



「オークロードを打ち取ったわ!!」

『よっしゃぁぁぁぁぁ!!』

「せめろーーー」

「く、殺せーー!!」

「仲間の仇だ!! やるぞ!!」



 さらにオークたちに追い打ちをかけるようにカサンドラ達の勝利宣言が洞窟内に響いたのだった。そして戦闘は終局へと向かうのであった。

 だけど、俺は違和感を覚えた。たしかに冒険者が首を掲げたオークは小柄だけれど知性を感じられなかったのだ。


一章も終盤になります。いかがだったでしょうか?

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にしてもらえるとむちゃくちゃ嬉しいです。

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― 新着の感想 ―
[一言] カクヨム読み終えたからこちらへ リーダー替え玉? それかリーダーも操られていたのか。
[一言] おい、なぜくっころさんがわいたwww
[良い点] 自分が特別だと思っている存在ってのは、どんどん不遜になっていくものなんですよね。認めたくない現状は両ざまぁとなる展開でした。 それにしても、シオンのギフトは様々な所で有用ですよね。 情報戦…
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