表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

180/203

52.ゴブリンと呪いの武具

ゴブリン視点です。

「あの人間達を逃してしまったが大丈夫だろうか? 無理にでも追撃をするべきじゃなかったか?」



 俺は自分の手にある剣に問う。この剣はいつでも、俺達をより良い方向へと導いてくれるのだ。あの人間達は手強かった。戦闘力が高い事もあったが、何よりも特殊な力が厄介だった。

 待ち伏せをしてトラップをしかけていたのに、奴らは我々しか知らない隠し通路の正体をどうにか知って、忍び込んできたのだ。そのせいで、我々が人間どもの街へと侵攻を考えていることがばれてしまっただろう。。

 やはりあの時無理にでも追撃をするべきではなかっただろうか? そんな俺の不安に剣は答えてくれる。



『心配はいらんよ、お前らは強くなった。人間達になんか負けはしないさ。こっちの戦力は十分だ。正面から戦っても負けはしない。それにいざとなったら私がいるだろう?』

「ああ、そうだな、お前のおかげで俺達は狩られる側から狩る側になれたんだ」



 剣の言葉に俺は自分の不安が解消されていくを感じる。俺にとってこの剣を手に入れたことは運命の転機だった。俺達ゴブリンは魔物の中でもあまり強くないが、個体数が多いのが強みの種族だ。だが、協調性はなくそれぞれの群れが好き勝手にやっているだけだった。

 そして、その結果、俺達ゴブリンはここら一帯にバラバラに住んでいて、同じゴブリン同士で獲物を取り合ったり、あるいは時々くるトロルなどの強力な魔物や、人間達に蹂躙される毎日だった。

 まあ、人間達に関しては弱い個体も時々こちらに来るので、狩らせてもらっているからどっちもどっちという感じだが……

 だけど、俺はいつしかこの現状を何とかしたいと思っていた。絶対的な強者になりたかったのだ。目の前の剣『プロメテウス』に出会ったのはそんな風に強い連中に蹂躙されるのにうんざりとしていた日々の中での出来事だった。

 近くのダンジョンに住むオークたちが弱まり、獲物を狩りやすくなったおかげで仲間が増えたので、住居を広げようと穴を掘っていた時だった。俺を呼ぶ不思議な声が聞こえて、そこを掘り進めると、ぽっかりと穴があいており、そこにこいつが眠っていたのだった。そのさきにも通路があったが何か嫌な予感がしたので、俺はそれは無視することにした。それに……その剣は俺が持っているさびついている剣よりもはるかに美しく思わず手にしたのだ。



『喜ぶがいい。お前は私に選ばれたのだ。私の言う事にしたがえばお前は……いや、お前らゴブリンは強力な力を手に入れることが出来るだろう。叡智という名の力をな』



 正直最初はこいつが何を言っているのか全然意味がわからなかった。だけど、こいつを装備して様々なものを見るとドンドン知識が入ってくるのだった。

 例えば人間達がもっている防具の有用さだったり、火の起こし方、戦い方や、戦闘技術などだ。そして、それを理解したのは俺だけではなかった。プロメテウスを見たゴブリンは俺と同様の知識を手に入れたのだった。

 そして、プロメテウスの強さはそれだけではなかった。所持した俺に不死に近い再生力を与え、一度受けた技をどんなものか知識として理解する力を与えてくれたのだ。

 それから俺達は変わったそれまで脅威だった、トロルやオーク、そして人間などにも勝てる様になったのだ。さらにプロメテウスは色々な事を教えてくれた。

 今この世界でもっとも発展しているのは人間らしい。だが、人間達は身体能力自体は大したことがないらしい。それでもこれだけ発展しているのは知識を手に入れたからだそうだ。そして、より優れた身体能力を持つゴブリンが同様の知識を得たら……勝つのはどっちかなんて決まっている。

 だから俺は近くの同属たちの巣にも訪れて同盟を組むことにしたのだ。最初はしぶっていたやつらもプロメテウスを見せると不気味なくらい言う事を聞いてくれた。



「これで俺達が地上の支配者になれるのだな。プロメテウスよ」

『ああ、まかせておけ、我らが主であるイアペトス様は魔族に媚をうった人間を見限った。次の支配者はおまえらゴブリンである』


 俺はその言葉に満足そうにうなづいた。そう俺は王となったのだ。そうして、俺は明日の勝利を確信しながら準備をすすめるのだった。


この作品『追放された俺が外れギフト『翻訳』で最強パーティー無双!~魔物や魔族と話せる能力を駆使して成り上がる~』の二巻が発売中です。


ゴルゴーンの里でのお話になっております。書き下ろしでシオンとアスの過去編もありますのでよんでくださると嬉しいです。


二巻の表紙は活動報告にアップしているので見ていただけると嬉しいです。


最初の一週間で、続刊が決まるので、もし、購入を考えている方がいらしたら早めに購入していただけると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ