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38.冒険者の話

「さっきのゴブリンは一体何だったんだ? 頭が無茶苦茶良いし、何というか行動がおかしかったんだけど……しかも、本人だけじゃない。あんなに組織だったゴブリンなんて初めて見たよ」

「それだけじゃないわ、あいつを確かに斬ったのにすぐに再生したし、モルモーンの影をまるで知っているかのようだったわ。あれは何なのかしら?」



 俺とカサンドラはお互いに気になった点を上げてモルモーンに問う。あれも、魔王の墓で見た呪いの武具の一種なのだろうか? それともそういうギフトを持ったゴブリンの力なのか……

 俺達の言葉に彼女も何やら眉をひそめて難しい顔をしている。なにかひっかかるものがあるようだ。



「多分……あれはギフトじゃなくて、あのゴブリンがもっていた剣が関係しているんだと思う。もう少しじっくり見れば思い出せそうなんだけどねぇ」

『だったら行くしかねえだろ。なんで魔物が防具をしているかも気になるしな』



 同じ魔物が防具をしていた事に驚きを隠せないのか、シュバインが興奮気味に言う。まあ、確かに気になるよね。でも、その前にだ。俺は冒険者を治療しているライムに声をかける。



「どう? 回復はそろそろ終わりそうか?」

『大丈夫だよ、傷口は塞いだし、そろそろ話せると思うよ。じゃあ、後はシオンに任せるね。僕は口直しをしなきゃ……カサン……』

「なら、私の前にきたまえ、たっぷり癒してあげよう」



 そう言って飛び上がってカサンドラの方へと向かったライムをモルモーンがキャッチして、抱きしめる。彼女の谷間に挟まれて、くっそ羨ましいんだけどなんであいつは渋い顔をしてるんだよ……

 それはともかくだ。俺は冒険者のおっさんに声をかける。



「大丈夫か? あんた確かCランクの冒険者だろ? それがゴブリンにやられるなんて……いったい何があったんだ?」

「ああ、助かったよ、流石群団のシオンだな。あいつらをあっという間に倒すなんて……俺達の仲間はみんなやられちまったよ……」



 そういうと彼は寂しそうに仲間が倒されたであろう方向を見つめる。彼には彼の冒険者としての物語があったのだろう。だが、今は同情している時間はない。あのゴブリンは明らかにおかしい。放っておけば大変なことになるだろう。



「気にしないでくれ、冒険者たちは助け合いだからね。それで……お前らはいったいどうしてここに来たんだ? 確かここの依頼は俺達が受けたはずなんだけど……」

「その……俺達は変わったゴブリンが珍しい剣をもっているって聞いて、様子を見に来たんだ。そうしたら……」



 予想外の反撃にあったという事だろう。まあ、実際ゴブリンを相手にこんなに苦戦するとは思わなかっただろう。確かにあの武器は珍しい。ゴブリン相手なら奪ってしまおうと考えて返り討ちにされたってところだろう。



「あんたらの仇は俺が取るよ。一人で戻れるか? 一応アンジェリーナさんに詳しいいきさつを話しといてくれ」

「ああ、これでも冒険者だからな……報告しておくよ。あんたらも気をつけろよ」



 そうして俺は冒険者と別れ先へむかうのだった。

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