18.魔王の墓にあるもの
シュバインの武器がすさまじい勢いで鎧のスケルトンへとぶち当たり轟音と共にスケルトンごと椅子を破砕した。そりゃあ、あれ無茶苦茶重いもんな。あんなん喰らったら壊れるわ。
「さすがね、シュバイン。先を越されちゃったわね」
『ふん、こういうのは早いもん勝ちだからな。あの骨なんか強そうだったが、はったりだったのか?』
シュバインが得意気に言うと、カサンドラが刀を構えながら悔しそうに答える。
「カサンドラもやるつもりだったの!?」
「当たり前でしょ、そっちのが早いじゃない」
やべえ、うちの前衛が脳筋しかいないんだけど……とりあえず、シュバインが武器を回収しようとしたのだろう部屋へと入ると同時に、カタカタと部屋中から変な音が鳴り響く。
「カサンドラ、シュバインをサポートしてくれ!! ヘルメスはそのまま部屋には入らないで!! ライムはヘルメスを守ってくれ」
「へぇー、やっぱりあいつのギフトはまだ発動しているんだねぇ、彼女がまだ無事だといいんだけどなぁ……」
ヘルメスが何かをつぶやいていたが構っている暇はなかった。なぜなら壁にかかっていた武器や、鎧が一斉に動き出していたからだ。
おそらく、呪いの武具である。遺跡などによくいる魔物で、古い武器や、魔力を持った武具に生命が宿ったものと言われている。まあ、実際のところはわからないんだけど。ランクとしてはCからAランクであり、元になった武器が強力な程厄介魔物になるのだ。
「神の祝福よ!! これで攻撃が効くはずだ」
「ありがとう、シオン」
『助かった!!』
俺達は向かい合っている魔物を倒す。剣が宙を浮かんだかと思うと、そのまま俺達を刺し殺そうと斬りかかってきた。俺は聖なる光を帯びた剣ではじく。ミスリルの剣は魔術だけではなく法術の通りも良くするのである。そして、聖なる光をあびた魔物は力を失うはずだった。だが、なぜだろう。少し動きが鈍くなる程度だった。俺の法術が弱すぎるのか? それともなぜか法術が聞きにくいのか?
「くっそ、俺の法術じゃダメなのか?」
「だったら……」
『こうすればいいんだろ?」
カサンドラの炎が武器を焼いて溶かして、シュバインの一撃で鎧がひしゃげて動かなくなる。うおおおおお、すげえな。法術いらないじゃん。
この二人はやはり規格外だなと思う。しかし、アンデット系と呪いの武器系の魔物は似ているようで違うのだ。この奥にいるのはなんなのだろう? 俺が疑問に思っているとカサンドラの声が聞こえた。
「シオン!! そのままでいて」
『シオン!! 横に飛んで!!』
「うおおおおおおお!!」
俺はとっさに横に飛ぶ。すると鉄の塊が飛んできたがった。鉄の塊は壁にぶちあたって轟音を鳴らす。これはさっきシュバインが投げた武器じゃん。俺はおそるおそるそちらを見ると、ゆらりと人影が立ち上がるのがみえた。
スケルトンの骨はボロボロでところどころ砕けそうであったがそれと反比例するかのように鎧は無傷だった。その姿はまるでスケルトンが鎧に寄生されているように見える。
そして、そのスケルトンが剣を掲げると共に、魔物たちが集合した。
「カサンドラ助かった。それにしても……」
「あいつ親玉みたいね」
『俺の一撃を受けてもぴんぴんしてるじゃねーかよ。おもしれーじゃねーか』
俺達は改めて魔物と向かい合う。あのスケルトンがどんな能力をもっているかはわからないが、俺達ならばいけるはずだ。
そう思って俺達が武器を構えた時だった。
『……を……助けてくれ……』
え、今喋ったのはあのスケルトンか?
いよいよ第一巻発売日7月10日が近くになってきました!
続刊などはやはり発売最初の1週間が肝となるらしいのでぜひとも宣伝させて頂きたく思います。
そんなわけで昨日から2週間、毎日更新させていただきます
一気に話が進みますのでお楽しみ頂けるとありがたいです!
作品名で検索するとアマゾンなどのページが出てきますのでよろしくお願いいたします。
また、一巻にはカサンドラがシオンと会う前の話が5万字ほど書き下ろされているので興味があったら手に取ってくださると嬉しいです。