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16.魔王の墓

「カサンドラ準備は大丈夫か?」

「もちろんよ」

「ライムは聖水は飲んでるよな?」

『もちろんさ、今の僕って神々しくない?』

「シュバインは新しい武器はどうだ?」

『おう、ちょっと振り回してみたが中々しっくりくるな』

「ふふ、何言ってるかわからないけどシオン君をみんなが信用しているのがわからるよぉ。心強いねぇ」



 ヘルメスと共に俺達は魔王の墓にいた。これまでの道中で聖水を大量に含んだライムと新しい武器を使っているシュバインの戦力もわかった。ライムは触れただけでアンデット系の敵にダメージを与え、シュバインは武器屋のおっさんが作ったいくつもの金属を混ぜ合わせた重いが固い金属のこん棒の使い方をマスターしたようだ。たまたまおっさんが作ったらしいが、重すぎて人では持てないためどうしようか悩んでいたのをこん棒に加工してもらったのだ。ゾンビやスケルトンをフッ飛ばしていく姿は爽快だった。



「じゃあいくねぇ。魔王の残滓よ、その力を指し示せ!!」



 俺がヘルメス守るように横に控えていると彼は黒い棒状のものを掲げると不気味な光を放ちチリと化した。しかし、何もおきない。えっ、ちょっと待って。なんか意味ありげだったのにこれだけなの? てか、魔王の残滓って何なんだ?


 

「シオン、ヘルメス、気を付けて、敵がくるわ」



 カサンドラの忠告が聞こえる。声が二重には聞こえなかったので、近い未来を視たのだろう。俺はカサンドラの言葉と同時に、ヘルメスを庇うようにして剣を構える。すると墓の一部が開くと同時に矢が飛んできた。あっぶねぇぇ!! どんどん武装したゾンビやスケルトンが出てくるのであった。




大量に現れたアンデット達は墓の外のアンデットと比べれば強力だったが、それでもBランク上位である俺達の敵ではなかった。



『はは!! 手ごたえがねえなぁ!!』

「全くね、未知のダンジョンだから期待していたのにがっかりね」



 うちの戦闘狂達がゾンビを相手に暴れている。シュバインは新しいおもちゃをもらった子供の様に武器を振り回しそのたびに、ゾンビやスケルトンが押しつぶされていく。



「いやぁ、頼りになるねぇ……やっぱり魔物を仲間にするのは便利だねぇ。少し懐かしいな……」



 その光景を見ながらヘルメスは何が楽しいのか軽薄な笑みを浮かべながら眺めている。それにしてもなんなのだろう。彼はシュバインをみてなぜか懐かしいものをみるように見ているのだ。それに……



「魔王の残滓って何なんだ? さっきの黒い棒は?」

「ん? ああ、あれは魔王の骨の一部だよ。彼の体の一部をささげてようやくこの遺跡は開くんだ。人間では到達できないレベルの技術さ……魔族が使う、魔力によってこの世の法則を作り替える魔法って言うやつさ」

「は……ヘルメス……君は何を知っているんだ」

「言ったじゃないか、僕は昔の事を調べてるって。それだけさ。さぁ行こう。ダンジョンは奥に入れば入るほど強敵がいるからねぇ。油断はしないほうがいいんじゃないかなぁ」

「ああ、そうだね、ライム。ヘルメス念のためだ。ライムを肩に乗せておいてくれ。彼が君を守る」

「ふふ、ぷにぷにしてて気持ちいいねぇ。ああ、懐かしいなぁ昔もスライムに触らせてもらったことがあったんだよ」



 俺は満足そうにライムを撫でているヘルメスに視線を送る。そして、ライムと目があうと可愛らしく無害っぽさをアピールしながら彼の肩でプルプルとしている。そして一言。



『わかったよ、シオン。彼を警戒しておくね』



 俺のスキルの対象外であるヘルメスにはライムの言葉は通じない。後はライムを経由してシュバインたちにも警戒してもらうようにしよう。どう考えてもこの男は胡散臭すぎる。



『おーい、ぶっ倒したぞぉ』

「この先楽しみね。ねえ、シオンここっていいわね、なぜか体が軽いのよ」

「そうか? むしろなんか空気が重い気がするんだけど……」



 カサンドラの言葉にそう返しながら俺達は奥へと向かうのであった。

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