5.朝ごはん
今日はいよいよカサンドラとのデートの日である。昨晩はしっかり寝たし、体調も悪くはない。俺はぬくもりの残ったベットの上で気合を入れる。
「シオン……おはよう……ごはん出来てるよ……」
「ああ、ありがとう。アス」
俺はアスに返事をする。当たり前のように俺の部屋で料理をしている彼女にはもう慣れた。一応隣の部屋をとってるんだけど壁に穴空いてるから出入りは自由なのだ。ちなみに一回埋めたらすごい哀しそうな顔をされたので、それ以来空けるようにしてある。まあ元々家族みたいなものだしね。俺はそう思いながら彼女の作った食事を見るとパンの上に薄切りのお肉が乗っているのと、何かの出汁でとったスープが美味しそうだ。
「お、美味しい。しかし、朝から肉とは豪勢だね」
「うん……いい肉が入ったんだ……『魔王』の墓で大量のゾンビが討伐されたらしくて……その肉をもらった……」
「ぶふぁ」
アスの言葉に俺は思わず中のものを吹き出してしまった。待って、待って、これってゾンビの肉なの? もう食べたんだけど。アスは何を考えてんの? 普通に考えてこれって毒じゃない?
「シオン……汚い……」
「いやいや、ゾンビ肉って……あれ食べれるの? いや、アスが料理したんだから大丈夫なんだろうけどさ!!」
「安心して……私も人タイプのゾンビは選んでないから……それは牛ゾンビだよ……」
いや、そういう意味じゃないんだけど、いや、それも人型のゾンビよりはましなのか……? あ、でも、そう言われると牛肉と同じような味な気がする。確かに普通に美味いんだよね。
「ちなみに……ゾンビの再生力を人の再生力に適応させてみた……今日のシオンは傷がなおりやすくなるよ」
なんかそういわれると代謝が良くなってきた気がする。アスの料理は材料こそおかしいけど変な事にはならないんだよな。それに彼女が俺の事を想ってつくってくれているのがわかるから嬉しい。
「ありがとう、でも、別に今日はクエストに行くわけじゃないんだけど……」
「じゃあ……いつも休みは昼まで寝てるシオンが……こんな早くにどこにいくのかな……? もしかして誰かとデートとか?」
「ひぇ」
アスが感情の無い目で俺を見つめてくる。ちょっと待ってムチャクチャこわいんだけど……確かに予定があるとは言ったけど、何があるとは言ってなかったな。てか、みんなにはアスには言うなって言われてるんだよね。どうしよう。
「ちょっと、まとまったお金が入ったし色々買おうかなって思って」
「ふーん……一人で何て……珍しいね……」
俺の言葉になぜかアスは納得をしていないかのように頬を膨らませる。俺が何かを言わねば思ったが、その前に彼女が口を開く。
「まあ、いいや……私は今日はクエストがあるんだよね……シオン今度私とショッピングに行こ」
「いいよー、何買うんだ?」
「ふふ……少し大きくなった……シオン嬉しい……?」
「ぶふぁ」
そういうと彼女はにやりと笑って自分の胸を指さす。俺はいきなりの行動にまた吹き出す。ちょっと、待って。そんなにサイズ変わるものなの? てか下着買うの手伝わされるの? そういうのって同性同士で行くものでは……? 俺がアスの胸元を思わず見てしまうと彼女は満足そうにうなづいた。
「シオンのえっち……」
「いや、意識するでしょ、これは!!」
そんな風にさわぎながらも俺はご飯を食べ終わるのであった。そういえばスープには何かの骨が入っていたんだけどなんだったんだろう? 昨日カサンドラはスケルトンも大量に狩っていたよな……俺は考えるのがこわくなったので忘れることにした。
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