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召喚されたら自称悪い魔女に下僕にされた話 【連載版】  作者: 日暮キルハ


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悪い魔女は引っ越す

ネット小説大賞、一次通ってました。あと、100pt超えてました。

普段から呼んでくださっている皆さんのおかげです。感謝の気持ちとして急遽書かせていただきました。

正直ここまで来れると思ってなかったのでびっくりです。

本当にいつもありがとうございます。これからもよろしくお願いします。

「しかし、まぁ、酷いなこれは。……あのビッチめ、治療なんてしてやるんじゃなかった」


「でも、家が消し飛んだ原因の半分は魔女さんにありますよ。だから、オセロを勧めたのに」


「…………そもそも、君があのビッチにヘラヘラしてなかったらこうはならなかった」


「えぇ、自分のせいですか? ……実際に壊したのは魔女さんとシエルさんなのに。自分の制止も無視して」


「つまり、全てはあのビッチのせい。そういうことだね?」


「話聞いてました?」


 死にかけのシエルさんを魔女さんに頼み込んで治療してもらい、揉める前にプリンを持たせて帰って貰った。

 そして、半壊した家を前にして今に至る。


「ボクの家なんだからボクが壊す分には何も問題ないよね? つまり、ボクは悪くない」


「一見正しそうなこと言うのやめてください」


「……ま、いいよ。どうせあのビッチにここを知られた以上は引っ越さないとダメだったからね」


「……? 引っ越しですか?」


「当たり前だろ? あんなビッチでも聖騎士だ。ボクのことを知ったからには次はもっと大勢引き連れて来るだろうね」


「……けど、シエルさん、ここのことは黙っておくって言ってましたよ?」


「あんなの嘘に決まってるだろ? ま、聖騎士ごときどれだけ来ようがボクの敵じゃないけど、いちいち突っかかってこられるのも鬱陶しいからね」


「……そういうものですか」


「そういうものさ」


「……でも、ちょっと残念です。せっかくプリンを愛する同志に出会えたと思ったのに。……引っ越したら招待しようかな」


「なんのための引っ越しか分かってる? 大体なにさ、プリンを愛する同志って。ボクも全然プリンは嫌いじゃないよ? むしろ大好きさ。ほら、これでボクもプリンを愛する同志だ。問題ないだろ?」


「殺しますよ?」


「…………」


「あ、すみません。つい」


「……君ってほんとプリン絡むと人格変わるよね。気づいたら新しい宗教とか作ってそうで怖いよ。それもとびきりカルトな奴」


「宗教……。面白そうですね。プリン教」


「ネーミングセンス」


「唯一神プリーンを崇めましょう」


「唯一神プリーン」


「あとは……そうですね。異教徒は皆殺しで」


「とんだ邪教だった」


「カラメルを苦い汁とか言う奴は一族郎党根絶やしにしてやりましょう」


「分かった。あれはボクが悪かったから許して。そもそも、ボク以外すでに一族郎党皆殺しにされてるし」


「中身はおいおい詰めていくとして、こんな辺鄙な場所ではまともに布教もできませんね。せっかくですし引っ越すなら王都とかどうですか?」


「ボク指名手配犯なんだけど」


「当面の目標は国教にすることですね」


「話聞いて? というか唯一神プリーンを崇める国なんかにボク住みたくないよ」


「そんな。じゃあプリリーンとか」


「弾力増しただけだよね」


「むむ。文句が多いですね。一体何プリンだったら満足なんですか」


「どうしてボクが聞き分けないみたいな言い方をされてるのか。そもそもボク達引っ越しについて話してたはずだよね? ……君、どこか行きたいところはある? 先に言っておくけど、王都とか人目の多い場所は無理だからね」


「と、言われましても。自分はまともにこの世界のことを知らないですからね。魔女さんにお任せしますよ。……あ、でも買い物に行くのが今より楽になるとありがたいかもしれません」


「なるほど……。なんならボクの転移魔法で送ってあげてもいいんだけどね」


「それもっと早くに言ってほしかったですね」


「だって、君が結構楽しそうに買い物に行くからさ。歩く楽しみを奪うのはどうかと思ったし、どのみち帰りは魔法具でも使わない限り歩いてもらうことになるからね」


「別に嫌ではありませんでしたけど。でも、楽ができるならそれに越したことはないですよ。やっぱり」


「ふむ……。まぁ、それじゃあ次からは転移魔法で送るよ。それなら引っ越す場所の候補もかなり多くなるからね。帰りはちょっと面倒だけど魔法具を使ってもらえば良いわけだし」


「そういうことでしたらせっかくですし人が全然来ないような景色のいい場所に引っ越したいですね」


「それはいい考えだね。あ、ちなみに結構複雑な魔法だから寝ぼけてると首だけ転移させたりしちゃうかもしれないんだけど、まぁ治すからいいよね」


「すみません。やっぱり近場でお願いします。景色とかは別にいいです」


「誤解があるかも知れないけど、別に首だけ転移したからと言ってすぐに死んでしまうわけではないからね? ボクが転移魔法を発動したままにしている状態なら転移魔法を介して君の首と体は繋がっているんだよ。もちろんボクが転移魔法で歪めた空間を閉じたらギロチンみたいに首が飛ぶんだけどさ。……まぁ、そういうわけだから安心してよ」


「何を安心すれば? 安心して死ねってことですか? 死にたくないのでできれば自分の足で歩いて買い物に行ける所に引っ越したいです」


「まぁ、君がそう言うならボクは別に構わないけどさ。そうなると……うん。あそこなら魔物避けと人避けの結界を張って、土地を浄化すれば問題ないかな」


「明らかに問題ありそうですけど」


「けど、あそこまで行くとなると結構遠いな。転移魔法で跳ぶか」


「歩いて行きましょう。転移魔法よりはましです」


「さすがにそれは無茶だよ。……分かったよ。そんな目で見ないで。転移魔法は使わないから。……けど、そうなると、あとはホウキかな」


「ホウキ、ですか」


「うん。乗るには免許が必要だけど結構な速度が出るからね。魔法で空を飛ぶにしても君を抱えながらじゃ速度も落ちるだろうし、ホウキの方が速くていいよ」


「……ちなみに免許は?」


「失礼だな。持ってるよ」


「そうですか。安心しました」


「まぁ、五年前に取ってから一度も乗ってないけど」


「それたぶん免許切れてますよ」


「なに、心配はいらないよ。ボクのドライブテクで昇天させてあげよう」


「それたぶん死んでますよ」

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