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第01話 姿を見せないそんな相手



「Meiちゃんの夢ってなんだっけ?」

「はい!ハタチまでに結婚することです!」

「相手はいるのかなぁ?」

「現在探しているところですねぇ」


テレビから聞こえるこの声は、今絶賛人気アイドルのMeiちゃんらしい。可愛いらしいけれど、大人の魅力も感じられるような18歳の女の子。


でも、本当に羨ましい。だって、結婚したいだの探しているんだの、簡単にできちゃうような、そんな感じで語っちゃっているのだから。




僕はもう35歳。

とうとう四捨五入であらふぉーの仲間入りしちゃうような年齢=彼女なしというまあ情けない男である。

告白すれば、キモいだの楽しくないだの友達までだの結局は断られるしか能がない男である。


このまま結婚できずに人生終わるのかなあと少し諦め気味になってしまっている。でも、やっぱり、人生ひとりではなくふたり、子供も含めてさんにんよにんと温かい家庭が欲しいものである。


ああ・・・Meiちゃんのせいで嫌なことを考えてしまったよ…




ある日、ふとスマホを見ているときに、あるサイトを見つけてしまう。いわゆる結婚相手を見つけるために相手を探すお見合いのようなそういうサイトだ。今まで使ったことがなかったが、もう、こういうのに頼らないと僕は結婚、いや、彼女さえ出来ないのかなあとさえ思えてしまい、おもわず、そのサイトに登録してしまった。


実際、可愛い人や綺麗な人が多く、実際、サクラか?とか思ってしまうけれど…。しかし、条件なんか見ていると、年収うん千万、外見よし、職業〇〇なんて僕には当てはまらないことだらけ。見ていてため息しか出てこない、こんなところでも僕はやっぱり駄目なのかとすごくすごく落ち込んでしまいそう。


そんな中、僕が見つけた相手、気になった相手だけれど


条件

写真や外見は「当分見せることは出来ません。」

こちらの外見「見せなくても結構です。」

年収、職業等「条件なし」

その他「当分会うことは出来ませんのでご了承いただける方」


という、なんか、詐欺か?と言わせるようなそんな条件の相手だった。


けれど、僕は、

僕自身外見なんて駄目駄目だということ、

そんな僕なんだから外見なんてどうでも良かったということ、

お互い外見がわからないということは、本当の僕、彼女を見る、見せることができると思うこと


そんなことを思わせてくれるこの相手にとても興味が湧いてしまった。


ただ、ひっかかったのが、相手が18歳ということ…


とても若く僕のようなおじさんでは相手してもらえないかなあと不安があった。

あとは、詐欺。まあ、どうせ詐欺でも、もう、僕に失うものなんて別にないしという諦めも持っていたしいいかと…


まあ、駄目で元々という部分は最初から持っていたというのも追い風となり、緊張しながらも早速、相手を登録した。




このサイトのシステムは男から登録し、女性が承認、交際を始めるというシステムになっている。相手を登録して数日、なんとか相手からの登録承認が降りたようだ。


実際、当分はメッセージのやり取りだけになるだろうけど、楽しく会話できる、素敵な人であればいいなあと、わずかながらも期待している僕がいた。


「はじめまして、○○です。35歳、会社員です。こういうサイトを使うのは初めてでなれていないと思いますが、って慣れてないほうがいいのか(笑)、どうぞよろしくおねがいします。」


まずは、挨拶と自己紹介をメッセージに乗せて相手に送る。どうやら、相手は仕事がとても忙しいらしく、返信に時間がかかる旨、書かれていたので、まあ、まったりと待つことにした。どうせ、慌てても仕方がないのだから。



それから二日後、相手からメッセージが届く。



「こちらこそ、はじめまして、みどり(HN)です。18歳で、今年、高校卒業して、現在働いてます。趣味は歌ですね。あと、サイトにも書きましたけど、仕事が忙しく、返信が遅くなると思いますが宜しくおねがいします。」


きちんと返信が来たとほっと胸をなでおろす。挨拶と自己紹介でスルーされたら僕終わっちゃうよと思ってたから・・・少し心に余裕が持てた。


さて、返信をしようと思ったけれど、即返信していいものか悩む。あまりにもがっついてんじゃないの?なんて思われそうで・・・


まあ、いいか、遅くなるよりもと思い、メッセージを綴り、みどりさんへ送る。


その後、何通かメッセージをやり取りした。


年が離れているけれども、会話はそれなりに上手くいってるようだ。相手の返信が遅いのは、当初からわかっていたことであり、別に気にしないようになっていった。


ただ、みどりさんが


「外見をみせない、会えないというのに不安とか無いですか?」


ととても気にしていたようで、よく、僕に尋ねてくる。


僕は、


「多分僕の外見を見せればみどりさんに嫌われる気がしてしまう、おじさんだし。僕でさえそんな気がしてるんだから。それに、外見なくとも、いや、外見がないほうが、本当のみどりさんを知れるようなそんな気がしてるから。もし、不安だったり、事情があったりで隠してても、全然気にしてないよ。」


僕は思っていることを素直に伝える。


みどりさんとのやり取りでは、何も隠さないことにした。言葉での心のやり取りしか出来ないわけなのだから、思っていることを素直に伝えようとそんな気持ちでいたからだ。




みどりさんとのやり取りをして次第に感じてきたこと。それは、今はこうやって会話できているけれど、もし、僕の外見を知ったら、離れないだろうかと。年も離れていて、みかけはよくもなく、どちらかというと振られ続けていたのだから、悪い方の部類になる気がする。だから、楽しい会話も、次第に怖さを僕に与えてくるようになった。


それとともに、みどりさんに惹かれているんだと自覚することも出来てしまった。




だから、僕は、行動を起こすことにした。


みどりさんへのメッセージ送信時に画像ファイルをつけてメッセージを送ってみた。画像の内容はもちろん、僕の画像だ。


「後で外見で嫌われるのは怖いから、画像を先に送らせてもらいます。急に送られて、迷惑かもしれませんが、問題なければ、また、メッセージのやり取りをしましょう。」と。




普段みどりさんから待つ返信の待ち時間がとても長く感じた。いや、もう来ないかもしれないと恐怖の不安も感じた。それでも、深みにはまったときよりも落ち込む度合いが違うだろうと自分に言い聞かせ、




みどりさんからの返信を、ただただ待ち続けた。

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