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敗北者

「あなたを殺すためだよお兄ちゃん」


少しの間、時が止まったようにお互い動かなかった。

殺されると俺の直感が言っている。

逃げたい........。だが逃げればアリスやこの街の人達に迷惑がかかってしまうかもしれない。


「アビゲイルを返せ!!この偽物が!!!」

「アハハ、偽物?今は私がアビゲイルなんだよ?確かに私は満月の夜しか出てこれないけどね」

「黙れ!!銃撃戦闘術第100式一斉射撃!!!」


俺は手を上げ握る。すると銃弾の雨が降り注ぐ。

しかし手応えがなく全て硬いものに阻まれていた。


「そんなに焦らなくて大丈夫だよお兄ちゃん。私が殺してあげるから.......でももしお兄ちゃんが私に従うなら命までは奪わないよ?」

「ふざけるなよこの化け物め!!!」


そう俺が叫ぶとアビゲイルは俯き笑顔が消える。


「化け物.......化け物......あなたもそう言うんだね」


その表情はとても悲しそうな.......いや怒り?


「私はこんな醜い姿だから誰も愛してくれなかった......でもあなたは違うと思ったのに」

「お前......寂しいのか?」

「そうだよお兄ちゃん.....私はずっと一人。でも醜い恋でもいいから誰かに愛して欲しかった、なのに.....なのに!!!!」

「さっき言ったことは前言撤回だ。お前は化け物じゃない」

「いきなりどうしたの?殺されるのがそんなに怖くなった?」

「いや俺の方が化け物だからだよ!!」

「フフフ、やっぱりお兄ちゃんは面白い人だよ。じゃあ......死んで」


アビゲイルは爪で腕を少し切るとそこから魔法陣が浮かび上がる。


「我、世界を滅ぼす者なり。崇めよ讃えよ、(デット)(ツリー)!!!!」

「やれるもんならやってみろ!!銃撃戦闘術第1式突撃!!!」


アビゲイルの召喚した大量の黒い手が俺に向かってくる。

しかしその技とぶつかり合い俺は必死に抵抗するが数が違いすぎる。


「アハハ!!その手に少しでも触れたら終わりだよお兄ちゃん」

「くそ!数が多すぎんだよ」

「そう?じゃあこれはどうかな?死術、(ブラッド)(レイン)


俺がやっとの思いで黒い手を破壊しきると赤い雨が降ってくる。


「なんだ、これ.......やべえ.....」


その雨に触れた途端体が石化し始めたのだ。


「じゅ、銃撃護身術第4式、風車!!!!」


召喚された銃が高速で回転し敵の攻撃を防ぐ技だ。また俺の持つ護身術の中で最もガードが硬い技でもある。

しかし赤い雨は銃をも石化し俺の魔力が届かなくなる。


「これで死んでも面白くないわ......だから足だけ石化させて痛みもなく殺してあげる」


まずい状況になった。

足が石化して動けない俺に対して相手はまだ本気を出してもいない。

このままじゃ負けるのは目に見えてわかっている。

なら技を連続で繰り出して攻撃するしかない。


「銃撃広範囲戦闘術第9式、拡散弾!!!」


この技は俺の周りに拡散弾を放つ銃を召喚し至近距離の広範囲に莫大な威力を出す技だ。

俺は石化して動けないのであちらから離れてもらう他ないのだ。


「死術、(ブラッド)(バリア)

「銃撃狙撃術第7式、至近距離狙撃!!!」

「アハハ、無駄無駄。お兄ちゃんじゃ私の魔術は壊せないよ」

「ならこれをくらったらな」


7式は至近距離で狙撃を行うため威力は最強と言っても過言ではない。しかしこの技は相手にバレバレなので避けられるか防がれることが多い技でもある。


バリン!!!


赤いバリアに少し傷が入る。しかし直ぐに修復し元の姿に戻る。


「ね?言ったでしょ、あなたじゃ私は倒せない」

「銃撃戦闘術第44式、閃光!!」


普通は空に撃つものだがあえて地面に撃つことにより目くらましの効果を発揮させる。


「それだけ?お兄ちゃん」

「銃撃戦闘術第43式、黒霧」


中に黒いスモークを入れた弾丸を光が消える直線に撃つことにより姿を隠す。

その内にスキル「太陽」を使用し石化を解除させる。


「よし!今の内に.....」

「死術、漆黒の鎖」

「なに!?」


石化が解けたと思ったら次は鎖で動けなくなる。

そしてこの鎖は魔力を奪い段々と俺は手に力が入らなくなる。


「やっぱりお兄ちゃんは全部石化させるね。だって今いい考えが浮かんだから」

「どうせろくでもない考えだろ?」

「だってもうすぐ朝だから私は戻らなきゃいけない。そしたら朝の私はどんな顔をするのかしら」

「朝っていつものアビゲイルのことか?」

「いつもって言うよりあなたのことが大好きでたまらないかわいいかわいいもう一人の私........」

「石化しないのか?」

「するよ。だけど邪魔が来たみたい」


俺は気づかなかったがすぐそこまでアリスが来ていた。

そしてアリスは刀を抜くと瞬時に消え去る。


「雷刀戦闘術二番、稲妻!!!」


アリスはアビゲイルの首を落とそうと狙うが黒い手によって防がれてしまう。


「アハハ、お姉ちゃん来ちゃったんだ」

「アカツキさんを解放してください。さもなくばあなたを切る!!」

「お兄ちゃん少し待っててね。お姉ちゃんを黙らせるから」


そしてお互い睨み合うと瞬時に爆風が炸裂する。

アリスは神速で刀を振るうため少しアビゲイルが押されている。しかし大量の黒い手はそう簡単に倒しきれない。


「雷刀戦闘術五番、弱電」


アリスの体と刀に雷が集まっていきどんどん溜まっていく。

それでも足りないのかまだアリスは雷を集め出す。


「雷刀戦闘術三番、雷雨!!」

「死術、黒き魔剣」


アリスの刀から放たれた落雷の雨が大きな魔剣により消滅する。


「そろそろ終わりだよお姉ちゃん」

「それはこっちのセリフです!!雷刀戦闘術十番!!!」


アリスがそう叫ぶと集めていた雷が一気に刀へと集まっていく。

そして刀が激しい雷光を放ちまるで龍のようにうねりだす。


「雷霆万鈞!!!!」


刀がを振り下ろすと黒い手ごとアビゲイルを切り裂いた。

しかし誰もが勝ったと思っていたがアリスの刀はアビゲイルに当たると弾けて割れていたのだ。

そしてアビゲイルは未だに無傷だ、いや魔力は今まで以上に膨れ上がっていた。


「ね?言ったでしょ?お姉ちゃんは終わりだって」


そう言ってアリスの首を持ち上げるアビゲイル。

アリスは手を解こうともがいているが大半の魔力を使い果たし気絶寸前のため力が入っていない。


「さてとどうしようかな......うーん、あっ!そうだ!お兄ちゃんに決めてもらおうかな」

「ふざけるな!くそ、この鎖め!!」

「アハハ、無駄だよ。お兄ちゃんはこのお姉ちゃんのことどうしたい?」

「どうしたいって.....どういう意味だ」

「そうだね.....じゃあ二択だよ。私がお姉ちゃんをバラバラにするか火で炙るか」


まるで悪魔のような笑を浮かべ黒い炎をアリスに近づける。すると触れてもいないのに肌が黒く灰と化す。

アリスが.........死ぬ。

俺は最終手段を実行する。


「太陽よ、我が意志に応えよ!」


俺の中の魔力が溢れ強靭な肉体へと変えていく。そして能力無効の「太陽」のスキルで鎖はボロボロと落ちていく。それはまるで枯れた木が死んだかのように。


「アリスを.....死なせはしない!!!」


俺は自分にできる最大限の力を使い身体を強化する。

そして罪王としての堂々たる魔力を放つ。


「お兄ちゃん.......罪王だったんだ」

「お前を殺せないなんて思ってた俺が馬鹿だったよ」

「....」

「ごめんなアビゲイル」


そう言って俺はアビゲイルを一撃で仕留めるために渾身の一撃を放とうとする。しかしアビゲイルに俺の拳が当たる直前にそれは現れた。


「謝るのは私の方だったねお兄ちゃん」

「な、何を....ああああああああぁぁぁ」


全身が灼熱の炎に囲まれたように熱くなっていく。また驚き体を触るが逆に凍るように冷たかった。

俺は何が起きたかわからなかった。

しかしアビゲイルはまた高らかに笑っている。


「フフフ、アーッハハハ!!!!」

「ああああああああぁぁぁ。熱い熱い!!!」

「ごめんねお兄ちゃん、私の前で罪の力を使うと罰を受けるの。それは私が罪を統一する者だからだよ」


俺はもがき苦しみもはや恐怖を通り越して死を感じた。しかしアビゲイルが俺の頬をつつくと燃えるような熱さは消え地獄の苦しみから解放される。


「もう朝になっちゃうね。お姉ちゃんを殺してる暇はないわ」


太陽は見えないものの空には青緑色のような綺麗な空が浮かんでいいた。

そんな時、俺は死ぬことよりも自分の不甲斐ない姿に呆れまた心が折れそうだった。まるで虫けらのように弄ばれ相手に傷一つつけられない。そして俺が守ると誓ったアリスにまで瀕死の重体をおわせてしまった。


不甲斐ない。


ただ俺にはそれしかなかった。


「お兄ちゃんこれで永遠に私のものになれるよ。ああ、楽しみだな〜起きた時の私の顔をはやく見てみたいわ。いい顔で大泣きするのかな〜それとも私を恨むのかな〜」


そしてアビゲイルは俺に魔法を唱えた。するとじわじわと体が石化していき、時計の針が刻刻と言っているように体が重くなる。


「醜い愛は誰も愛してくれない、なら私は神でも誰であろうと殺しして石にしちゃえばいい。死術、(メデューサ)の目。フフ、アハハアハハハハハハハハハハハ!!!」

「うう、あか.....つき.......さん」


泣き崩れる俺にアリスは笑顔で手を伸ばす。

しかしそれを邪魔するようにアリスの手を切り裂く。


「触らないで私の宝物に」


血しぶきが舞って散乱する。そしてその血はアリスを真っ赤に染めていく。


「ああ、もうちょっとでお兄ちゃんは私の物に!!」


体の半分が石化し段々呼吸がしにくくなる。

俺は最後の力を振り絞りアリスに手を握る。


「ごめん、ごめん」









目を閉じる。その瞬間、俺は宙へと浮かぶような感覚へと襲われる。







「生きてください。アカツキさん」

「何を.....」


アリスは俺を宙へと放り出す。

そして街の中心を流れる川へと真っ直ぐに落ちていく。



「お前、お前ええええ!!!!」


激昂したアビゲイルはアリスに向かい大きな魔剣を振り下ろす。



やめろ....やめろぉぉぉぉぉぉ!!!!!




俺は完全に石化し意識をなくした。


こんにちはこんばんはどうも永久光です!!!今回はどうだったでしょうか?気に言ってくだざればとても嬉しいです。

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