罪を統一する者アビゲイル②
そしてついにこの日がやってきた。俺とアリスは真夜中に黒ずくめでアルデバランの自宅を見渡す。
「始めますよアカツキさん」
「ああそうだな」
作戦はこうだった。
まずアリスがアルデバランの地下牢から囚われている奴隷達を救出。その後アルデバランが騒動に気づき外に出た瞬間俺が殺す、と言うシンプルな作戦だ。
「準備はできてますかアカツキさん」
「こちらは問題ない、もう構えている」
「わかりました、では今から救出してきますのでアイズがあったら頼みましす」
「了解」
俺は地面に手を触れて銃を仕込んでいく。
「銃撃戦闘術第54式、奇襲.....」
触れている場所に魔法陣が現れそしてレーザーが発射される。それをあたりに二十個程設置し逃げ道を塞ぐ。
そうして最後の魔法陣をセットし終わるとアリスがランプを上にあげアイズを出した。その知らせは奴隷達を全て避難させたと言うことだった。
そしてこれからは俺の時間だ。
「銃撃戦闘術第44式、閃光」
見た目はただのハンドガンが召喚されたが上に向けて撃つと弾が輝き激しい光を放つ仕組みだ。
それに気づいたアルデバランが窓を開け俺の姿を伺う。
「な、何者だ貴様!ここが我がアルデバラン家だと知っての行いか!」
「黙れ......」
バーン!!!
真夜中の静かな街に銃声が大いに鳴り響く。
驚いたアルデバランはカンカンに怒り出しまんまと俺のいる外まで降りてくる。降りたら最後死ぬのも知らずにだ。
「この無礼も......」
「あんたも終わりだ。死んで償え罪を!!!」
魔法陣が発動し銃が召喚され、アルデバランに向けられる。
そしてなんの躊躇もなく銃弾がアルデバランの体に撃ち込まれる。
今回の銃はSMGのuziだ。
ミニ・ウージー
全長470/640mm
銃身長264mm
重量3500g
作動方式オープンボルト
口径9mm×19
装弾数32発
性能はSMGの中でも連射速度が非常に高く反動が大きすぎるためもやしみたいな俺が使えばかなり不便だが俺の魔法陣には反動と言う概念はない。そのためほぼこの技は固定砲台のようなものだ。
そして撃ち終えるとそこには肉片しか残らず死んでいるアルデバランの姿があった。
「終わったぞアリス。直ぐにここを離れよう」
「はい......」
全てが終わった後奴隷達は魔王軍に保護され俺とアリスは孤児園に向かっていた。
しかしお互い会話がなく少し気まずい雰囲気が流れていた。
「あの、アカツキさん。一つ聞いてもいいですか?」
「別に構わない」
「人を殺して何か思いますか?」
「何もないな。仕事だしな」
「私は怖いです......殺した人達が夢に出てきて死に顔を見せに来るんです」
「そうなのか?俺は自業自得だと思うが」
「やっぱりそう言うと思いましたよアカツキさんなら」
「鋭いな....うん?今日は満月なのか」
「綺麗ですね」
すると段々月の色が真っ赤に変貌する。
「いやあああああああああああああああぁぁぁ!!!!!!!」
耳がキーンとなり俺とアリスは耳を押さえる。しかしその声は聞きなれた声だった。
「な、なんだ!?」
「痛い....」
やっと耳の痛みが取れたころだった。街はまるで先程の姿とは思えないかった。それは家という家が崩れ落ち崩壊寸前だったのだ。
「何が起こったんだ!?」
「アカツキさん!あれ!」
俺はアリスの指さす方に目をやる。しかしその目に写ったのは驚きを隠せなかった。
「巨大な手?」
「違います!その上です!」
「上......あれって!?」
それは髪の色が黒色に染まったアビゲイルにそっくりだった。
しかしアビゲイルとはまるで違う覇気を放ち魔王様以上の魔力を感じた。
流石の俺でも勝てない。
それが率直な感想だった。
「どこにいるのお兄ちゃん?今直ぐに出てこないと.......殺しちゃうよ?」
その声は耳から聞こえるものではなく心に直接聞こえた。
「アリス戻って子ども達の安全を確保してくれ」
「そんな!アカツキさんは?」
「俺は取り敢えずあいつと対話して止めてくる」
「そんな無茶ですよ!魔王様が本気出しても勝てない程の魔力ですよ!」
「知ってる!でもあいつは俺を呼んでいた」
「あっ!待ってください!!」
俺はその声を無視し、そのまま走り去る。
しかし足がとても重かった。
「俺が........怖がってる?」
あいつに見つかれば殺される、そんなことばかり頭に浮かんだ。
「アリスだけでも逃がさなきゃいけないんだよ!!」
そして俺は大きく息を吸って、大声で叫んだ。
「スー........俺はここだああああああああぁぁぁ!!!!!」
すると巨大な手の動きが止まり俺の方向を向く。
そして上に乗っていたアビゲイルは俺を見つけると笑顔になり腕を伸ばす。
「なんだ、なんだ!?」
地面がガタガタと揺れると土が割れそこから大量の手が飛び出す。
そして俺を宙へと運んでいく。
「見つけた!見つけたよお兄ちゃん!」
「アビゲイル.....なんだろ?」
「そうだよ。でも私じゃないわ、フフフ」
その笑い声は心を燻るような感覚に襲われる。
「なんでこんなことを」
「それはね.......」
アビゲイルが黙った途端、満面の笑みで目を見開きこう言った。
「あなたを殺すためだよお兄ちゃん!!」
こんにちはこんばんは皆さんどうも永久光です!!今回はどうだったですか?良かったら評価と感想を貰えたら嬉しいです。
今回も読んでいただきありがとうございます!!