4話:かつて最も愛された天使達
雲の上の天界にある、とある豪華な城の一室で……
『あなた、この子の名前を考えてくれた?』
寝室のベッドに腰掛け一人の女性が、優しく大きなお腹を優しく撫でながら、ベッドの横に立っていた男性の手を握り尋ねた。
『私達の初めての子供だ大事に、考えたさ。名をルシフェルと名付ける』
『あなた、ありがとう。良い名前ね』お礼を言い終わると女性と男性は優しくお腹を撫でながら話し掛けた。『私達の最愛の子、ルシフェル早く産まれて来てちょうだい』
数時間後…
……突然、女性がお腹を押さえ苦しみ始めた。
『あなた…私達の…ルシフェルが…う…産まれそう…』
『お、おい、だだ誰か早く来てくれ』
それを聞いた男性は、慌て人を呼びに走った…
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
『『オギャアァァァオギャアァァァァ』』
『バカな、私の子供が双子だと、あり得ない、断じてあっては、ならない』 その言葉を自分に言い聞かす様に、男性は双子の子供達を睨み付けるた…
何故なら、スキル・能力・翼が2つに分かれる一卵性の双子は天界では呪われた子として、嫌われ誕生と共に処分される決まりが天界にはあった。
『この子達は悪くなの、悪いのは全てこの私。子供達は何も悪くないの。全ての罪はこの私に、私一人だけの責任です』
女性は、涙ながらに男性に訴えかけるが……男性は首を縦には振ろうとせずに、静かに考え込んだ……女性は男性の答えを待てずに必死の想いで男性にしがみついた……
『お願いあなた、この子達を生かして。お願い』男性は、悩み困惑するばかりで、答えを出せずにいた。
『あなたに、この子達の成長を一緒に見守れない母の気持ちが分かる?どんなに、子供達に愛情を注いでも伝える事さえ、出来ない苦しみが、主である、あなたに分かりますか?』
『何故お前は、この双子を変わらずに愛せるのだ?』
男性の言葉に女性は、何を言ってるのか全く理解が出来ず、ただ呆れた……
『ホントに分からないの?母親や父親は、自分一人の意志で成れるモノじゃないのよ。子供を産んだ事の無い母親など存在しないように。この子達が産まれて始めて、私とあなたを、親にしてくれたのよ。親が我が子を愛すのに何か、特別な理由が必要なの?』
『だが、しかし……私がそれを許せば天界の全てを変えてしまう』
『主よ。せめてこの子達が成人するまでの間でいいので、誰も愛してくれとは言いませ。ただ、誰にも見つからない様にただ、生かして置いてくれるだけでいい。それ以上、何も望みませんから』
その必死の祈りに男性は何も言わず、ただ頷いた。
『主よ。ありがとう。』
女性は安心し、双子に母乳を分け与え。次第にやつれて行った……
『『オギャアァァァオギャアァァァァ』』
『この子達の泣き声は私には、どんな立派な教会の鐘の音よりも、私の心に福音をもたらしてくれる…』
元々、身体が弱かったのに普通の2倍の負担が女性の命を…だが…女性はルーシーとフェルの2人分の母乳を惜しみ無く差し出し…… 双子の泣き声を聞きながら女性は飾ることなく、大粒の涙をボロボロとこぼしながら母親の顔で囁いた…
『例え、この子達がどこで何をしてても、どんな事があろうとも、この子達が笑顔で笑い続けれるのなら、私はこの身の破滅さえ喜んで受け入れよう。例え、どんなに汚され醜く朽ち果てようとも、後の因果を全て失ったとしても…』その言葉を最後に、女性の全身と羽根を闇が黒く染め、やがてその全身はヒビ割れ崩れ落ち……て…いっ…た
だが、女性は最後まで双子に笑顔で微笑んでいた、息を引き取る、その最後の瞬間まで。ずっと絶やすこと無く……ずっと…
女性の葬式に来ていた母の友人の女性と父は、舌の根の乾かぬうちに再婚しその後、妹のミカエルが生まれたと……のちに、私達を育ててくれた乳母から、そう聞かされた…
天界の常識は神の判断が。間違う筈がない(ふざけた事を言うな)
ー☆ー ー☆ー ー☆ー ー☆ー ー☆ー
私とフェルは15年間、城の地下にある牢屋で生活させられた。私達の存在を知っている者は天界でも10人にも満たないだろう…
育ての乳母から最低限の教育と戦闘技術を学び…
そして、私達が産まれて15年、私達は天界を追放去れる事となった……
罪を犯し天界を追放される天使は全て、堕天使の呪いを受けて翼を黒染められ、二度と天界の門を通れなくなる。
『お父様…翼が1枚の私達は一人では空を飛ぶ事さえ出来ません。だから堕天使の呪いは、私だけが受ければ十分です。』
『えっ?何で?お姉ちゃん、呪いは私も受けるから』
双子の天使が、神である父親の前で言い争っていた…
『フェル何を勘違いしてるの?黒が似合うのは姉の私だけよ。フェルには絶対に似合わないんだから、あんたの為じゃないのよ、ただの私のワガママで言ってるんだから!』
父親は、そのやり取りを長い間見せられて面倒臭くなったのか、ルーシーにだけ呪いを掛けて天界を追放した。
天界を追い出された私達は数時間、行く宛もなくひたすら飛び回った。
『クン、クン。フェル向こうから肉の焼ける、良い匂いがするから行くよ』
……朝から何も食べてない私達のお腹は……
『『グルルル~グルグル~キュルルル~』』
爆音を鳴らし墜落した……
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次回予告、未定