34話:親友がチート過ぎた件⑤
『オカシイ アリエナイ ワカラナイ』
『ニゲロ』『ニゲロ』『ニゲロ』『ニゲロ』
鳩が豆バズーカを食らったような顔で、ひなたと美月を見たゴブリンが口々に騒ぎ出し逃げていた。だが1人だけ【異世界言語】のスキルでゴブリンの言葉が分かる事に若干の戸惑いを見せたが、このダンジョンで1人だけ平凡の山田はゴブリンに深く賛同しウン、ウン、頷いた。
ゴブリン1匹の戦闘力は成人の男性よりも弱く1対1の戦闘なら勝つ事が出来るが、常に数匹で行動するゴブリン達の数の多さに初心者の冒険者1人では太刀打ちするのは難しく、平地のゴブリン集落なら範囲攻撃魔法が使える魔法使いがいれば意外に簡単に討伐が出来るのだが、遺跡や石造りで出来た通路の大きなダンジョンに有るゴブリンの巣を制圧するには中級冒険者の5人パーティー1組だけでは難しく、討伐するには複数のパーティーが時間をかけて討伐していくか上級冒険者のパーティーが討伐するかだが、上級の冒険者でゴブリンを討伐したがるものなどいない、何故ならとても効率が悪いからからで有る。数百匹以上のゴブリンを相手にするよりも大型のモンスターを1匹相手にする方が、討伐にかかる時間、クエストの成功報酬、モンスターにかけられた懸賞金、モンスターから剥ぎ取れる素材報酬、武器やアイテムの消費、などなどの差が有りゴブリンの巣討伐クエストを受ける中級・上級の冒険者の数が少なく何よりも狭い洞窟ダンジョンでのゴブリン討伐クエストはゴブリン討伐クエストの中でも1番難易度が高いクエストに認定されている。
その為このダンジョンだけでもゴブリンはその数をドンドンと繁殖させて500匹以上のゴブリンが待ち構えているのだが、今、現在ゴブリンは大混乱していた、小規模なダンジョンとはいえ地下5回の、洞窟型でアリの巣のように入り組んだ地形に加えて、天井の低い洞窟ダンジョンは小柄なゴブリン達にとって格好の住処で、ひなたと美月の訪問はゴブリンからして見れば、『鴨がネギを背負って来る』ようなものいや、ゴブリンの例えで言えば『美少女が勝負下着を付けて来る』ようなものなのだが……
アリの巣のように入り組んだ地形はゴブリン達が、罠、待ち伏せ、挟み討ちを仕掛けやすく何よりも、洞窟の天井や通路が狭い為に小柄なゴブリンなら武器を振るのに問題ないが、人間が武器を振れば壁に当たり武器を落とすのが普通なのだが……
残念な事にひなたと美月には、ゴブリンの常識も人間の常識も通用せず壁や天井ごとゴブリンを切りつけ壁ごと破壊していたのだ……
『オカシイ アリエナイ ワカラナイ』
『ニゲロ』『ニゲロ』『ニゲロ』『ニゲロ』
ひなたと美月は、逃げるゴブリンを追いかけるうち最下層の最後の部屋までたどり着き大きな扉を開けた。
ギィーーー
軋む扉が開くと糞尿と肉が腐ったような死臭がひなたと美月の鼻を刺激した。扉の向こうはドーム型の大きな部屋で、逃げられないように両手を縛付け足の骨を折らて所々に切り傷や打撲痕を付けられた、お腹を膨らませた女性達に武器を突きつけている300匹以上のゴブリンの群れが待ち構えていた。
『ハヤク ブキ ステル』
『分かった。今捨てるから』
ひなたの言葉に勝利を確信したのか、武器を捨てようとするひなたに数百のゴブリンが襲い掛かろうとしいたが、『お願い、殺して』『殺し、て下、さい』女性達からは誰も救いを求める者はおらず、魂の解放を願う声に美月はゴブリンとひなたの間に割って入った。
「ひなちゃんお願い、少しだけ目を閉じてて」
『……うん』
美月は左手を逆手にして、ひなたの目を軽く押さえ正面の女性達とゴブリンに向けて右手を横一文字に振るい唱えた。「ウインドカッター」美月の右手から放たれた風属性の範囲魔法が女性達とゴブリンを横一文字に切り裂いていった。『あり がと う……』切り裂かれ地面に倒れた女性達は感謝の言葉を口にして汚れた肉体から魂を解放させた。
「汚れ役は私の仕事、笑顔で私を照らすのがひなちゃんの仕事だから」
『ミーちゃんにだけ嫌な事ばかり押し付けたくないょ』
「違うのよ、これは太陽を汚したくない月のワガママなの」
ひなたは口を膨らませたが、こうなった美月がテコでも折れない事はひなたも知っていた。
最後の切り札だった女性の人質を無くし行き止まりで逃げ場もない300匹以上のゴブリン達が一斉に襲いかかってきたが、今まで手加減をしていたひなたと美月が全力で相手をすれば300匹程度のゴブリンでは10分もかからず全滅させられた。
1匹のゴブリンも倒してない山田だが、500匹以上のゴブリンの経験値とひなたのスキル【カリスマ】 (パーティーの各種ステータスを上げる・経験値2倍)の効果で何の苦労もなく自動的にレベルアップしていた。
【名 前】ヤマダ・タロウ (18歳)
【種 族】人間 (男)
【職 業】異世界からきた盗賊
【レベル】1 →21
【H P】51/51 →97/97
【M P】8/8 →74/74
【攻撃力】25 →58
【防御力】12 →39
【魔 力】13 →32
【素早さ】31 →74
【 運 】16→16
【魔 法】火属性・水属性・闇属性
【耐 性】火耐性・水耐性・闇耐性
【スキル】
《SSR》
◾【異世界言語】
◾【異世界収納】
◾【奪 う 者】(手にした物を自分に集める)
◾【目 利 き】(手にした物の鑑定)
◾【周囲警戒心】(周囲のマップを見れて、宝箱・敵・罠の位置が分かる)
《R》
◾【逃 げ 足】(逃げる速度が2倍)
◾【短 剣 術】(短剣を使う事が出来る)
普通なステータスの上がり方をしていたがこれが普通で親友コンビが異常なだけである。
【名 前】ウエスギ・ミヅキ (18歳)
【種 族】人間 (女)
【職 業】異世界から来た大賢者
【レベル】1 →33
【H P】72/72 →238/238
【M P】65/65 →357/543
【攻撃力】25 →104
【防御力】31 →107
【魔 力】55 →238
【素早さ】28 →84
【 運 】23 →76
【魔 法】12属性魔法
【耐 性】12属性耐性
【スキル】
《SSS》
◾【大 賢 者】(12属性魔法・耐性が使用可能)
◾【知識有る者】(見た物を鑑定する)
《SSR》
◾【異世界言語】
◾【異世界収納】
◾【無 詠 唱】
《SR》
◾【MP自動回復】
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
【名 前】タケダ・ヒナタ(18歳)
【種 族】人間(女)
【職 業】異世界から来た勇者
【レベル】1 →33
【H P】108/108 →683/683
【M P】35/35 →138/346
【攻撃力】53 →383
【防御力】48 →296
【魔 力】23 →92
【素早さ】38 →147
【 運 】43 →111
【魔 法】火・風・水・聖・闇・地・魔法
【耐 性】火・風・水・聖・闇・地・耐性・状態異常無効
【スキル】
《SSS》
◾【勇 者】 (絶対切断『剣装備時』・絶対防御『盾装備時』・基本6属性魔法・6耐性)
◾【カリスマ】 (パーティーの各種ステータスを上げる・経験値2倍)
《SSR》
◾【異世界言語】
◾【異世界収納】
◾【剣 聖】(剣・盾を達人級に扱う)
《SR》
◾【HP自動回復】
3人はダンジョンを後にし、馬はダンジョンに入る前に逃がしたので、歩いて城に帰る事にしのだった……




