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3話:片翼の……


翌朝……


 俺は宿で朝食を食べた。昨日と同じ固いパンと、薄い塩味の野菜のスープだった。昨日から薄い塩味のスープしか出てない事に気が付いた俺は、片付けをしていた従業員の女性に話を聞いてみた。


「あの…すみません。この町で【塩】は作られてますか?」


『えっ?ハイ…作られてまが……戦争が近いため持ち運びがしやすい【塩】の値段が上がってて……私たちじゃ……今日のスープは海水で野菜を煮込んだ、だけなんです。お口に合いませんでしたかぁ……』

 

 そう言って従業員の女性は俺に深々と頭お下げた。


「いえいえ美味しいですよ!!」


 俺は慌てて誤魔化して!朝食を食べ宿屋を後にした…


 俺は、あることに気付いた俺は急いで砂浜に向かった。海水はアイテムのカテゴリーに含まれるのか?【水】がアイテムだから可能性としたらかなり高いが、この世界の人たちはそれを知らないのだろうか?もしも海水がアイテムなら……


 木のバケツに海水を汲み右手を付けて左手に【塩】を取り出すイメージで【分解】……すると海水に付けた右手がうっすら光り、左手の掌には小さな【塩】山ができた。

 俺の予想は当たった。これを売りに行けばいくらでも儲かる。しかもタダで!!


 服を買った際に貰った袋に【塩】を大量に【分解】して入れてた。そして、その袋ごと【異世界収納】に納めた。だがこのポルテットで売って王様に目をつけられるのは、まずいから次の街で売ろう。


 俺は馬車停留所に向かい。ここから北西にある街、ダンジョン都市アベネ行きの定期便は、馬車で2日かかる運賃は金貨一枚だったのでそのまま乗せてもらった。


 貿易都市ポルテットを出て4時間馬車に揺られた『バキッ』突如、俺が乗っいた方の車輪が『ガタン』と音を立て外れた……何とか修理してもらい出発したが……また4時間後、今度は反対側に乗った俺の方がまた外れた……こんなことは普段ないらしいが、たぶん不幸な俺のせいだと思う。いや多分、間違いないだろう。


他の人に止められたが、街道を真っ直ぐ歩けば魔物も滅多に、出ずアベネに着くらしいので俺は一人で歩く事にした。


 暗闇が空を支配し初めた頃、野宿できる場所を探して【異世界収納】から出来たての熱々ホカホカの豚串・牛串を一本ずつとパンを取り出した。焼き立ての串焼のいい香りが辺りを包んだ。熱々で味付けはシンプルに薄塩だけだが、それがの肉、本来の甘味と旨味をよりいっそう引き立てていて、こぼれ落ちるほどのジュウシイな肉汁としつこくない油が合わさり、とても美味しい。キンキンに冷えたビールが有れば、間違いなく良く合うだろう……が……「チッ!」


『『グルルル~グルグル~キュルルル~』』


 突然、爆音が鳴り響き、空高くからから()()()()の影が舞い降りた。一塊の影は俺の目の前で二つに分かれ、1つは、左手に盾、右手に槍を持ち黒髪で右サイドテールの黒い羽根で右側、片翼で残念な胸…… もう片方は、左手に弓を持ち白髪で左にサイドテールの白い羽根で左側、片翼で大きな胸…… 2つの影は白いワンピースを身に付け、翼が一枚ずつの片翼の双子の天使が突如、俺の前に現れた。


『オイ。そこの人間、今なら天使である、このルーシー様が特別に味見してあげるから、さっさとそれをよこしなさい』


『えっえー?お姉ちゃん言い過ぎだよ。私は妹のフェルです。食べ物を少しでも分けてもらえませんか?』


 勿論、俺は白髪で巨乳のフェルを名乗る子だけに、出来たての豚串1本を手渡した。


『えっ?あ、すみません。ありがとうございます。……えっ!なにこれ軟らかくて美味しいぃ。下界の食べ物がこんなに美味しいだなんて…』


フェルは姉の事など一切気にせず、すぐさま渡した豚串を夢中で口に含んだ。


『あぁぁぁぁー。ズルイ、フェルだけズルイ、ズルイ』


 手をバタバタと動かして駄々をこねてるので、俺は無視して最後の牛串の肉を口に入れた。


『……グスッン……グスッン……』


 残念な胸の少女は、目に涙を溜め今にも……流石の俺もやり過ぎたと思い【異世界収納】から牛串と豚串を1本ずつ取り出した。 残念な胸のルーシーの前に串を出して左右上上下下に動かすたびにヨダレを垂らしながら面白いように視線を釘付けさせた。


『グルルル~グルグル~キュルルル~』


『ちち、ちがうの、今の()……じゃなくて今の()フェルのお腹の音だからね、絶対、絶対、私じゃないからね…勘違いしないでよ。』


 フェルは禍々しいオーラを放ち、鬼の形相(ぎょうそう)で姉を睨み付けてる………


「もしもし~あの~フェルさん?初対面で、何ですけど取り敢えず。双子のお姉さんにその目は止めてあげようか……皆、分かってるからね」


『えへへ…分かってくれて、ありがとうございます。ホント助かります。』


 美少女の可愛らし笑顔は、どこの世界でも反則ですよね。かわいいは正義です。


『いいから、それを早くよこしな――――あっ…えっし、しまわないで……ごめんごめん……なさい。私にも熱々のそれを…下さい。お願いしますから……』


 恥ずかしいのか?真っ赤な顔でモジモジと体をくねらせて「う~ん」これはこれで可愛いいから、豚串と牛串をルーシェに渡したら…… 右手に牛串を左手に豚串を装備して、そのまま勢いよく、かぶり付いてリスみたいに、口いっぱいパンパンに肉を積めこんで食べ始めた。〘※野良天使に餌を上げて餌付けしないで下さい。〙



『ナヒホレ?フ~マ、イヤ……マ~マ~ネ。ソレ…♢☆ド…ホ★△ヒ◇ウ▷○』

(はーい。何言ってるか分かりませーん。全ての言語を理解できても無理なものは無理。)


【異世界収納】から大量の【海水】を【分解】した際に出た【水】と大量に買った【コップ】出して注いでやった。


『ゴックンゴックン……ぷはぁ―――。人間の分際でなかなか気が―――ごめん……なさ…い…謝るから取らないで……くだい……』


口の周りを肉汁でベトベトにしながらも、ルーシーは必死で肉を死守した。


「人間、人間って俺は……べ、ベル・ウッドスカイだから……」


 俺は、咄嗟に名前(鈴木 空)を外国風にして名乗りコップに【水】を入れて豚串と牛串を俺とフェルの分と【パン】を出した。


『じゃ~ベルは、こんな所で何してるの?』


「アベネに向かう途中だよ」


『ねね、じゃさ~魔物もでるから特別に途中まで護衛してあげる』


『お姉ちゃん』(お姉ちゃんナイス!これで3食、美味しいご飯が食べる。イヒヒヒヒィ)


「いえ結構です。」


『『何で!』』


二人に迷惑かけそうだし、これが間違いなく女難の相だと思うから………それに……


「双子の天使ってのは分かるけど、何で羽が黒くて片方ずつなの?」


『『えっ!』』


『はあ~?あんた、よくそんなテレパシーの無いことをよく聞けたわね。これだから人間は……』


「普通、テレパシーなんて超能力、俺には、筈が無いが」


『お姉ちゃんシ、シシンパシーだよシンパシー』


「誰がチンパンジーやねん!フェルータスお前もか、?そのツッコミには共感できない。デリカシーが正解だから」



『『そそ、そうよし、しってたし、デデデリカ(ポッ)カシーよ』』


「何故そこで、共鳴してデレタ………?」



『いい、ベルよく聞きなさい。私達は双子なのよ!』

 ルーシーは腕を組、自信満々に残念な胸を張って、口の周りに肉汁をベッタリとつけたまま語り始めた……


「うん、初めから知ってた。言われなくても、見れば分かるから……」


『だ・か・ら…私達はよく似た双子なのよ』

『すみません。ベルウッドさん通訳しますと『二卵性なら良かったの、でも私達は一卵性の双子なのよ』っ言ってます』


「えっ?だ・か・らにそんな意味あったけえ??要するにまとめると、()()()()()()()()()()()して、顔・性格・性別・DNA、が違う別々の兄妹が二卵性で、()()()()()()()2つ以上に()()して、顔・性格・性別・DNA 、がほぼ同じなのが一卵性ってことで合ってる?」(世界に、二卵性の6つ子はいるが、1つの受精卵が6個に分裂する一卵性()()()6つ(ニート)は現実では、もの凄い低い確率で今のところ存在してないらしい)


『DNA?ってのはよく分からないのですが、ベルさん凄いです。よく分かりましたね』


「昔、高校時代の友達に一卵性の双子が居たから何となく覚えてた。フェルそれがどう関係があるの?」


『………ベル、普通の天使はね、2枚の翼で基本6属性が使えるのが当たり前なのよ。でも私とフェルは翼と属性を分け合ったのよ。だから、()からの使()者の筈なのに二人で一緒に力を合わせないと(そら)も飛べない、そんな足手まといは天界に必要ないの。あんた達、初めから翼のない人間には分からないでしょうけどね!』


『天界では一卵性の双子は呪われた子として、嫌われ産まれてすぐ処分されるか、15歳の成人の誕生日に白い翼を、黒い堕天使の翼にされて天界を追放され、堕天使の翼ではどれだけ飛んでも天界には戻れないのです。私がお姉ちゃんの翼と属性を半分奪ったの悪いのは全部、私なの…』


『フェルが悪いんじゃないよ!悪いのは全て天界の奴らよ』

 肉を食べる手を止め、ルーシーは握り拳を握りしめ怒りをあらわにし、フェルは肩を震わせ今にも泣き崩れそうだ……我ながら知らなかったとは言え、デリカシーのないことを聞いてしまった。

羽ばたく(慰める)事を知らない俺ができもしないのに、下手に同情すれば余計に傷つけしまうだろ、童貞の俺ができる最終手段は……この世界に来た際にポケットに入っていた残り2つの飴玉だった。


『なにそれ………?』

『何ですかそれは?』


「いいから食べて見ろ!」


『『なにこれ~~スッゴク甘い~~』』


(えっ?甘味がほとんどない異世界で、甘いもので釣るのは反則だと?誰が決めたそんな事?卑怯?それは俺にとって誉め言葉ですが、何か?)


『ベルあんた……ホント最低……』

『デリカシー無さすぎです』


「ええっ、なんで……?」



『『ベル(さん)のバカ!何でお肉の途中に甘いもの出すのよ!』』



「怒るとこ、そこかよ!」




次回予告、4話は夜に配信します。見て下さい。

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