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25話:異世界の回復魔法

読んで下さってありがとう御座います!ブックマーク・評価ありがとうございました。

励みになります。


僧侶姿をしたエルフの女性、カーミラさんは泣き叫びのたうち回るククルさんを押さえて止血をしていたのだが、恐怖と痛みで暴れ回る盗賊のククルさんを僧侶のカーミラさんが押さえられずに苦戦していた…

是非とも、カーミラさんには頑張って貰いたいのだが…


ククルさんを大人しくさせるには、寝かせるのが1番だろうと思い睡眠魔法を創造してみた。《魔法名:ベンゾジアゼピン》難なくできてしまった…

「ベンゾジアゼピン」俺は右手をククルさんに向けて魔法を唱えると、ククルさんは気を失うようにガクッと眠りに落ちた。


『えっ?あ、ありがとうございます。でも、こんなに即効性のある睡眠魔法って私、初めて見ました』


カーミラさんが手を止めて、俺を目をパチパチさせながら観ているが…今はそれどころじゃない!早く治療に専念してもらわないと!


「これで、助かりますか?」


『先程の戦闘で体力を使い果たし、さらに出血が酷く傷口が大きい為、まだわかりません!ですが冒険者としてのククルは確実に死にました』


カーミラさんはククルさんに馬乗りになり、足の傷口を紐で縛り両手を当てて回復魔法を唱えていたが、余り上手くいってないようだった。何故ならこの世界の回復魔法とは傷口に直接魔力を当てて細胞を活性化させて傷口の細胞分裂を早め傷口を塞ぐもので、失われた部分の再生は勿論、血液、体力の回復はできないし、何より急激な細胞の活性化をさせる事で弱っている怪我人の生命力を激しく消費するからである。その為、体力がない重症の怪我人に回復魔法を使えば死期を早めるかたちとなる…カーミラさんが使う最小の回復魔法から【全てを学ぶ者】で理解できたが、このままでは、先程の戦闘で体力を使い果たした ククルさんは助からないだろう…マズイ!じつにマズイ


創造魔法は使えるが、バラバラになった足の神経や血管が繋がって治るイメージなど俺には無理、確実に出来ないだろう!

だが、失った足が植物の芽のように生えて来るイメージなら出来るかも?〘魔法名:スプラウト・ ヒール〙頭に流れる無機質な声にホットしたが、このまま体力が低下しているククルさんに使うのは危険だ。俺の魔力をスタミナに変化させて渡せれば良いのだが…〘魔法名:スタテラ〙俺は、またしても頭の中に響く無機質な声に思わずガッポーズしてしまった……それを見られたカーミラさんと観客からの冷たい視線が痛い。


場の空気を悪くしてしまった俺は、素早く右手をククルさんに向けて「スタテラ」っと唱えた、するとククルさんの体がオレンジ色の暖かい光に包まれてククルさんの顔色が見る見る良くなって行く…が……それを隣で見ていたカーミラさんの顔色が、見る見る青白く染まっていく。


『な、な、なん何ですか?いったいあなたは、スタミナを回復する魔法がこの世にあるなんて…それを無詠唱で唱えるなんて…ば、馬鹿げてる』


褒められているのか?(けな)されているのか?分からないが…そのまま「スプラウト・ヒール」を唱えたら、失った足から小さな足が生え小さな足は次第に大きくなり、もう片方の足と同じ大きさに成長していった。


『ああ、あ、あり得ない!欠損部分の再生なんて大司教様クラスしか出来ないはずなのに…それを……』


これで完全に治った筈なんだけど処置をする前よりカーミラさんの顔色が真っ青で、何やらブツブツっとつぶやいてる。


『無事、治療も終わったので第3試験を再開するミミ。試験を受けるのは、又してもベル選手そしてエルフの絆からはカーミ…』


『わたくしカーミラは棄権します。完敗です』


司会進行のバニーちゃんのコールが終わるよりも早くカーミラさんは敗北宣言しブツブツっと不気味にリングを後にした……


『えっ…それでは3試合ベル選手の勝利ミミ』


俺はカーミラさんと戦わなくて良かったと、心底から思ったのだった。



次は年末年始にでも

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