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19話:変態紳士


余りにも一瞬の出来事で俺の【全てを学ぶ者】の理解が追い付くよりも早く、マックスと名乗りを上げた、男の手に持たれた蒼白く光り輝く剣があっさりと勝負を決めた…



マックスの剣は、右上段から左下段にかけて袈裟斬りに「サック」とまるで焼きたてのトーストを切るかの様に軽い音を立てて、俺の持つ本来なら破壊不可能な木の棒を容易く切り落とし、マックスの剣はそのまま止まる事なく左から右かけて水平切りで俺の首を目掛け向かって、マックスの剣は俺の首に当たる僅か手前で止めれた。


『そんな、ベルがあんな変態紳士に負けるなんて』


『オイオイ!お嬢ちゃん、俺ちゃんは確かに変態だが、決して紳士じゃない。そこだけは間違えないでくれ』

ルーシーの言葉に眉間にシワを寄せてマックスが答えたのだかお前の扱い、それで良いのか?


『これで決まりだな。これからヨロシクなパパ』

マックスは俺に向けて満面の笑み浮かべた。


「オイ、チョット待てパパじゃないからな、それに手に持ってるそれは何だ?」


『あ〜これの事?』


そう言ってマックスは口元をさらに緩ませ胸をはって、蒼白く光り輝く剣を軽く振って見せた。


『これはな、俺ちゃんの家に代々伝わるソウルエッジって言う武技でな、長所と短所どっちから聴きたい』


「武技?」


マックスの言葉に俺は首を傾げた。


『そこからか?武技って言うのは、スキルと違って武術の技術を鍛練する事で身につける事が出来る必殺技みたいなもんだ。だが、ソウルエッジは俺ちゃんの家系のみしか使えない隠し武技でな本来なら、どんなモンスターや全てのモノを切り裂く事が出来る例え、それが神であろうとも。だが、不思議な事に俺ちゃんのソウルエッジだけ切れないモノが1つだけあるだよ』


「切れないモノとは?」


『人』


「致命的な短所じゃねーか」


『オイオイ、何を言ってる?今のは長所だぜパパ』

マックスは顔の横で両方の手の平を空に向け、胡散臭い外人のように首を左右に振った。


「気色悪いからパパは、やめてくれないか?」


『OK パパ』

マックスは俺に向けて笑顔で親指を、()っ立てたやがった。頭痛が痛い…


「それで、短所は?」


『短所はソウルエッジは全ての物を切り裂く代償に、使用者の魂を消費する。命を燃やし尽くせば当然…ガハッ…』


突然、マックスは地面に膝を付き血を吐き出し、短剣の周りを覆ってた蒼白い光りは消え去った。「オイ、大丈夫か?」


『大丈夫、チョット調子に乗って使いすぎた、だけだから。ソウルエッジを使えばいつもこうなるから心配いらね〜よ』


「他の武器は無いのか?スライムやゴブリンを相手に、その武器を使ってたんじゃ身が持たないだろう?」


『それがよ〜ギャンブ‥ル…じゃ無くて川に芝刈りに行って、ドンブラコドンブラコっと流したの??それで、武器を買う金も無いから真面目に薬草採取をサボって気持ち良く昼寝してたら、この有り様だよ』


オイ、チョット待て、芝刈りは山に行け、なぜ回想で珍文が渋滞して疑問文なんだよ。それにお前に金が無いのと俺が騒がして起こしたのは関係なくない?っと思ったのだが…俺には試したい事があった。


【空間支配の腕輪】の効果で俺を中心に半径50メートルの範囲全ての植物やアイテムに【全てを学ぶ者】を使い、役に立ちそうな薬草・香辛料・アイテムを調べ、それら全てを【アイテムコレクター】で手元に集めていった。時間をかけて一つ、一つ【アイテム鑑定】をして集めていた頃がバカみたいに思える程、大量のアイテムが集まったので【四次元収納】に収めていった…‥。


『べ、ベル、い、今の何?』

ルーシーが恐る恐る聴いてきた。


「周辺の薬草やナポリさんに頼まれた香辛料を集めてみた。まさか、こんなに簡単にいっぱい集まるとは思わなかったけど…」


ルーシー、フェル、マックスの3人は口を大きく開けたまま固まって口々に『あり得ない』って呟いてた。俺も自分のスキルやステータスが怖くなってきた…街へ帰る際にでも全てを話して相談してみよう。隠れてコソコソしてバレて信頼を失うより話してスッキリした方が良い。


『不味い、ヤバイ…』


突然、マックスが顔を青くして額には、油汗を滲ませながら呟いた。

「ん?どうした?」


『俺ちゃんのベイビー達がアナルと言う名の禁断の大人の扉を内側から激しくノックしてるんだが、どうしたら良いと思う??』


『「『黙ってトイレに行け!』」』


マックスの言葉に俺達3人は綺麗にハモった。


『絶対、置いてかない?大きな音がしても皆には秘密にしててくれる?」


『「『良いから行け!』」』


又しても俺達3人は、これ以上ないくらいに、ハモった。


『行って来るけど、絶対に置いて行かないでね。テヘ☆ぺろっ』

マックスは、笑顔で手を振りながら森へと姿を消して行った。


『ね〜ベル完全犯罪のやり方、知ってたら教えてくれない?』


「悪いルーシー、知っていたらもうやってる」俺達3人は苦笑い浮かべながら、盛大に溜息を吐いた…





『な〜マリア、あの3人なら付いて行っても大丈夫だよな?』

マックスは、ほんの僅か淋しそうに微笑みながら、短く折れた短剣に話しかけた……


ブリッブリリリリリリリリリリ


『「『クサッ』」』

本日、3回目のハモりである。


今夜もう1話配信予定です。気軽に読んで頂ければ幸いです

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