16話:世界征服目前?
翌朝…
俺は目を覚ました。だが、布団から出るにはまだ勇気がいるくらいに寒むく暖かい布団で目覚めの余韻に浸っていたが、俺の膀胱は既に決壊寸前のダムの様に限界だった。この世界でも、唯一、俺を暖かく包み込んでくれる布団さんに泣く泣く別れを告げ、急ぎトイレに向かう為に部屋の扉の丸いドアノブを強く握り締めた…
すると『バキッ』っと、大きな音を立てて木製のドアノブが砕けて飛び散った。
その音に俺はビックリして決壊寸前だった膀胱から少しだけ、僅かに、ほんの少しだけ、ズボンを濡らした。36歳にもなってお漏らしってどんなプレイだよ……。
俺の息子が書いたタイトル「島の地図」から「世界地図」にテーマが変更される前にトイレに行きたいが……俺の膀胱はもはや限界で、水をコップに並々と入れた状態とほぼ同じだ。急げば急ぐほどに漏れだすだろう……なので一歩一歩、慎重にトイレに向かった。
「ふーーーー」
何とか世界地図が完成する前に若干だが、やんちゃな息子が領土拡張したものの事なきを得た。認めたくないものだな。ズボンのシミが、若さ故の過ちだと……
まー漏らしたズボンなど履き替えれば、どうという事とはない。これが大人の階段を下る、ダメな大人の発言だ。
でも何故、木製のドアノブが突然、砕け散ったのか……?
砕けたのが幸いにも木製の取っての役目だけのドアノブだけだったので弁償代は銀貨2枚だけで済んだのが運が良いのか?悪いのか?そんな事を考えながら俺は一階にある食堂で朝食のいつもの味が薄い野菜のスープと硬いパンを食べ終えてまったりしていた。
『ベル何のんびりしてるの?早く特訓行くよ』
『ベルさん早く特訓しないと昼の試験に間に合いませんよ』
俺を見つけルーシーとフェルが当たり前の様に言い放った。
「えっ?シケン、キョウデスカ?」
『そうですけど、ベルさん何故カタコト?』
今日、昇格試験が有るのが当たり前の様に笑顔でフェルに突っ込まれた。
「え~~聞いてない……………いや辞めて置こう、このネタは今は亡きエミュー倶楽部の3人に悪いから」
(((死んでない~~よ)))
『ベルなに遊んでるのよ。ほら、さっさと行くわよ』
俺はルーシーとフェルに手を引かれ……いや敢えて言おう、強制連行されたのだと……
「オモッテタノトチガウ……」