14話:異世界恋愛
階段を上がってすぐに登録カウンターがあった。受付には20歳ぐらいの目鼻が整った美形で髪は金髪サラサラ腰までのロングストレート、耳が長く先が尖った、穢れのない純粋そうな女の子が座っていた。
『おはよう、ございますです。』
「も、も、しかしてエッ……エエエルフですか?」
『ハイです。正確に言えばハーフエルフですが初めてですか?ハーフエルフの平均寿命は約250歳くらいでハーフエルフは見た目年齢は3年で1歳増えるので人間の年齢基準だと私ノエルは、まだまだ60歳ぐらいで若いの。ちなみに純血なエルフの寿命は500歳ですョ。』
「えっ?ノエルさん、36歳の俺よりも歳上じゃないですか……。」
二十歳ぐらいにしか見えないのに、60歳でも若いのか?ハーフエルフに人間の年齢の常識は通じない……「本日2回目の異世界バンザイ」っと心の声が想わず口から出てしまった…
『えっ??それで、今日はどう言った用事ですの』
「……すみません間違えました。商人ギルドに登録できます?」
『ハイです。今なら、たったの銀貨3枚で誰もFランクに登録できますョ。登録が済めば商人ギルドがあなたの身分を保証します』
そう言ってノエルさんは商人ギルドの説明を分かりやすく教えてくれた…
ロリコン変態紳士しと罵られようが、自信満々に胸を張って教えてくれるノエルさんが可愛くて可愛くて仕方がない。何この生き物どこで売ってるの?この世界ではロリコンは犯罪ですか??
ノエルさんの説明を、まとめると冒険者ギルド・商人ギルド双方ともランクがS~Fに分かれてて、Fランクには誰でもなれるそうだ。ギルドカードはランクごとに色分けされて商人ギルドのそれぞれのランクで出来ることを簡単に説明すると……
S:ゴールド(国や王族を相手に商売ができる。)
A:シルバー(街や貴族を相手に商売ができる。)
B:ブロンズ(村や村長を相手に商売ができる。)
C:レッド (建物をお店として営業できる。)
D:グリーン(出店・屋台を営業できる。)
E:イエロー(商人ギルドで物を仕入れる事ができる。)
F:ブルー (身分証代わり)
冒険者ギルドでは、同じランクかそれ以下のランクの依頼を受ける事ができるらしい。金貨5枚を払えばいきなりDランクスタートでCランク以上は信頼が無いと成れないらしい…取り敢えず俺はFランクの商人ギルドに登録する事にした。
『Fランクの登録なら、この紙に名前を書いて下さい』
紙を渡された俺は名前を書いてノエルさんに渡した。【全てを学ぶ者】のお陰で文字の読み書きは問題なかった。
『ベル・ウッドスカイ様でよろしいですか?よろしければ銀貨3を支払って。最後にギルドカードに血液を垂らしたら完成です。』
銀貨を3払うとブルーカードを渡され、そのカードに血液を1滴垂らしてみたら何も変換なく血液の跡がついた……
╔═══════════╗
║ ║
║ 商人ギルド ║
║ ベル ・ ウッドスカイ ║
║ ランクF ∗ ║
║ ║
╚═══════════╝
「これで登録完成ですか?最後血液を垂らす意味が有るんですか?」
簡単に登録、出来すぎて疑問に思った俺はニコニコ笑顔のノエルさんに聞いてみた。決して少しでも話したいからじゃない…決して……
『ハイです。商人ギルドに敵対する犯罪行為があればカードが黒色になるですョ。それと本人以外が持つと文字が消えて見えなくなるですョ』
その言葉に俺はビックリしたが、何気に凄いハイテクでも危なかった……正当防衛とは言え人殺しが商人ギルドに敵対する犯罪行為じゃ無くてホント良かった。
『これで無事に商人ギルドに入会です。おめでとうございますです。ベル様』
(ノエルさんの満面のエクボスマイルは女性耐性の無い俺には致死量?いや、むしろオーバーキルです。ドキドキが止まらない、これが都市伝説の一目惚れか?まさか存在するとは思わなかった……)
「あの~ノエルさん突然ですが彼氏いますか?」
俺の質問に、純粋なノエルさんはモジモジと頬っぺたから、長い耳の先まで真っ赤にしながら……答えてくれた…
『彼氏はいないですけど…………旦那と子供が2人いますです……』
「えっ?」
……あれ?……もしも……何かおかしいぞ。言語が突然、理解できなくなった……………顔を真っ赤にする程旦那とラブラブなのか?俺の異世界、初めての恋は5秒も、もたなかったのか…
俺に人をみる目が……いや、正確に言うならハーフエルフを見る目など俺に初めからある筈が無い。
ファンタジーのバカやろぉぉぉぉ!!
《女性耐性を習得しました。》
習得すんのかいぃ!!
俺は無事にハートブレイクと商人ギルドへ登録が終わり、明日にでもルーシーとフェルも商人ギルドに登録させようと思い、ギルドを後にし俺はナポリさんの料理屋にハーブと香辛料を届けに行った。
『ベルさん、いらっしゃい』
ナポリさんの前のテーブルに異世界収納から昨日森から採取したハーブと香辛料を取り出した。
「同じ日本人のナポリさんのお願いなんです。お金はいらないので、その代わり手が空いた時間で良いので俺に料理の仕方を教えて下さい」
『それでしたら、別に構いませんが』
「マジで?良かった!」
36歳、独身男ともなれば多少は料理できるがやっぱりプロに習いたいしね。パスタの麺やパンなんて粉から混ぜて作ってるみたいだし。異世界をルーシーとフェルと旅するなら美味しい物を食べながらのんびりと自由気ままに満喫したいからね……
それに鉄製の調理器具の鍋・フライパン・包丁・その他の値段を見たら普段の10倍以上の値段だった。王国が戦争前で大量の鉄を溶かして武器を作ってるせいで鉄の価格が高すぎる、収入がない俺には調理器具は安い国で買うことにし、料理を教えてもらうついでに調理器具を借りて作って料理を皿に盛り付けて異世界収納にいれればタダだ。
独身36歳ともなれば悪知恵が働くモノだ。明日から料理を教わることにして。夕方に宿に戻ったら珍しくルーシーとフェルが俺の帰りを待っていた。
『ベルお帰り』
『ベルさんお帰りなさい』
二人の笑顔に何か嫌な予感がするな……
『ねぇベル、私とフェルは冒険者ギルドに無料登録してきたから……』
「へ~そうか、そうか冒険者ギルドに無料登録ね……えっ?む、む無料?」
異世界に来て、またしてもやられた。いったい俺は何回騙されれば気が済むのか…………?
『そうなんですよ。冒険者ギルドのFランクなら、なんと無料だったんですよ』
ルーシーに続きフェルまでも俺に追い討ちをかけてきた。
『それでねベル、あんたも登録しなさいよ……』
あれ?ルーシーなぜデレてる?
『冒険者として3人でパーティーを組めば、なんと昇格試験が受けられるんですよ。合格すれば最高でCランクに昇格できるんですよ』
フェルさん、そんなにくっくと胸が当たって……何でもやらして頂きます。
『べ、べ、別にベルとパーティー組みたいからじゃないからね』
ルーシーは真っ赤な顔で俺を見つめた。が、俺の意識は、そこには無かった。
「……分かったよ、俺も登録して試験受けるよ。でも戦闘の練習に付き合ってくれよ」
『練習につ、つ、付き合ってあげるわよ』
ルーシー真っ赤な顔で言われると誤解を招くから辞めてね。
明日の予定が増えたので、俺は早めに晩飯を食べて部屋で一人スキルの確認をすることにし。