表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/4

第三章

「ばーか」

 誰に言っているのかは正面の審問官も理解しているはず。

「侮蔑と愛着、同時に表現していると考えていいですか」

「この場合は侮蔑だけなの!」

「なるほど……難しい判断で思考融合体も検討中です。いえ、難しいですね。あなたは謎を投げかける? 強いる?」

「どっちでも同じよ。謎から先の文章が既に難易度が高いでしょ」

「不機嫌にしたのなら謝罪します」

「それかなり難しい表現よね。……始めましょ。あのバカが減点されるなら私が加点するから」

「地球を再興したいですか?」

 当たり前過ぎる。ひっかけの質問だろうか。

「その為にここに居る。それは共通理解だと思ってたんだけど?」

「再確認です」

 待って。いま調査されているのは私だけじゃない。

「ねえあのバカ、もう地球なんかどうでもいいと思ってない?」

「ハクトくんですね? 蔑称と愛称が同じ。興味深いですね」

 これは私を試しに来ている。

「ねえどうなの? あいつは地球なんかどうでもいいの?」

「現状では。寝ている以上顕在意識は読めませんよ」

「曖昧な言い方を覚えたのね」

「解析は進んでいます。あなたには曖昧な表現を慎んだ方が良さそうですね」

「そうしてくれると助かるわ」

 審問官の精悍な顔は笑顔のままだ。

「直截に質問します。地球がどの状態であれば再建されたと見做しますか?」

「やっぱり曖昧じゃないの。ゲームをしてるんじゃないのよ? その答えは、」

「初めから決まっていますね。生化学的汚染――バイオハザードが除去された状態。それで完全ですか? 他の可能性は?」

「……今日は挑戦的なのね。ねえ、協力したいのよ? それは考えたら無数の解があるでしょ? ユートピアを作り出して、なんてお願いしてないの。不安もなく朝が来るだけで……それでいいのかっていう話ね。何でも出来る。だから……そうね」

「試している訳ではないという事を理解して欲しい」

「どうしたの。喋り方を変えたわね」

「同等、あるいはそれ以上の存在には互いに威厳? 敬意? 正しく接するべきだと思考融合体が仮提案を提出している。単に男性性がある以上男性のように喋るべきだという意見も汲んだ上での対応だ」

「何の話だか分からなくなったけど、いいの?」

「それも含めてあなたの能力だ。提案がある。洗脳? 教育? 識別は困難だが、」

「これが私よ。刷り込まれた物を歓迎はしていない。でも段階を踏んで助ける事は可能でしょう? まずバイオハザードを除去する。壊滅に近い人類を増やす。自治が出来るまで観察する。必要なら自治政府に介入してもいいの。これは私の意見だけれど」

「まさにその通りの解が君たちの船から発見されている。肯定するかな」

「肯定するわ」

 洗脳されていたとしても。肯定する。

「君の意見は多数に支持されている訳ではないようだ。貴重な? 意見をありがとう」

「嘘でしょ? 嘘まで吐くように成ったの?」

「必要ならば嘘を吐く。そこまで我々は到達した。今は違う。自治政府への介入は許されない、というのが多数だ」

「暫定で集まっただけの、言い方は悪いけど集団でしょ?」

 正直で温厚なだけのデルガ、じゃないのね。もう。

「そう思えるのなら謝罪する。問題は暫定の集団だ。もう一度繰り返す。どうなれば復元したと見做すかな?」

「私に決められることじゃない! 悪質なクイズよ」

「君なら出来るさ。解ける。それに従いたいとさえ我々は思っている」

「……ハクトは? 寝てるわよね」

「彼は信仰? 信条? を持っている。「生めよ、ふえよ、地に満ちよ」ということだ」

 単純でいいわね。

 穀物が全滅。

 家畜も全滅。

 複合汚染。

「一緒に? 解決しよう。その為にここにいる」

「分って来たわ。悩んでくれてるのね。誤解してたのは私よ」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ