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第二章

楽しんで頂けたら幸いです。「これ」というターゲット、お題無しで連載しています。

ハクトは真っ白い部屋で真っ白いベッドで目覚める。

監視にはこのくらいがいいらしい。24時間監視。

部屋を見渡す。収納用の箱が増えていた。これも真っ白。

白が落ち着きます、とか言ったっけか。

好きな色ではあるけれども全面照明で白い上にデカイ部屋だと距離感が無くなる。

ベッドから降りて箱を見に行く。四段重ね。

床も光っているから足元に影もない。

箱に近づく。

「個体識別しました。ロックを解除します」

箱から可愛い系の声がする。

施設と同じだ。こういう所は懐かしさを狙っているんだろうか。

上から一段目を押す。

ゆっくりと開く。

「頭に残ってたか」

黒字にデカイ銀のスカル。骸骨。希望を失うな、とロゴが入っている。

目立たない程度にDEATHの文字が散らばる。

ジャージ。

素肌にこれだけで過ごしてたりもした。

二段目。予想通り下着とタオルとあれこれ。

三段目。人から見ればゴミ。宝物。

四段目。ドーム管理局が配ってた書類だの銃だの。俺から見るとゴミ。

いいのかよ銃持ち歩いて。どっちかって言うと自殺用なんだけどな。

『銃をロックします』

可愛い声。

余計なこと考えたか。

異種生命体だぜ実験だぜって盛り上がってるんだろ。死なれちゃ困るよな。

一晩でこれだけ再現するってデルガ人すげえわ。

スゲエ。お前ら最高。凄いよ。念じてみたけれど何も変化はない。

いや。

ハクトの周囲に街の風景が投影された。

「へえ」

夢にでも見たか。これがシェルターだ。ドームだ。

感想はどうだい? 楽しそうだろ。

地上部分はほんの僅か。後は地下に全部ある。

足元も頑張っていた。芝生みたいに見える。

公園。公共施設。日光浴してる女の子が足りない。足りない。足りないぞ。

海っぽい池と砂浜。そこに配置してくれ。水着。ビキニ。外してるやつ。

「……やるじゃん」

遠景だけれど女の子が増えた。

はしゃいでる声。

音が一気に増える。鳥の声。波の音。風が葉を揺らす音。

『落ち着きますか』

「そうだな」

心拍だの血圧だのひょっとしたら脳だの血液だののアレコレとか。

見てるんだろ?

「そうですか。それなら良かったです」

すぐ傍から声がする。

「は?」

ティシア? セクサロイドさん? 芝生に座っていた。

「投影画像です。網膜に直接投影しています。神経系への介入も限定的に行っています。だ、そうです。あ、心拍数が上がりましたね」

「お前、助かったのか? 奴らはじゃなくてデルガ様は何にも言わないけど」

投影画像に何聞いてるんだ。

いいようにしか答えないだろ。

「現在全身スキャンが終わって待機中です。助けられましたよ?」

思いっきりエロ。服装も元通りだ。

「本当か?」

空に向かってハクトは問う。

『事実です。彼女? は保護されています。あなたたちの技術の貴重なサンプルです』

「分解したりすんなよ」

『スキャンで全構造を把握しました。破壊は不要です。もう一人? も無事? です』

「そう言えばさ、今日の尋問はまだなのか? 朝食と同時に開始だろ?」

『賢人会議の暫定措置が決定されました。あなたはイリヤさんとは別の、このような状況? での聞き取りが有効だと判断されました』

「勝手に色々決めやがって。腹減った。なんかくれ」

風景に穴を開けるようにドアが音もなく開く。

部屋に入って来たのは円柱型のロボットだった。

「また懐かしいの作ったな」

掃除と雑用一般。だいたい配給用。

殺菌消毒用でもある。暴動鎮圧にも使われるがハクトは知らない。

シェルター内部での大規模な感染を予防、阻止する。と聞いているだけだ。

「オオガミ・ハクトさん、朝ごはんができましたよ?」

妙に嬉しそうな中性的な声。

生えて来たアームが器用に中から白い陶器っぽいプレートを取り出す。

「今日は肉多めです。おいしいですよ?」

手渡される。

「食欲はどうですか?」

「あるある。心配いらない」

「では今日も一日頑張りましょうね」

「おう!」

「いい声です。では私も。嬉しい! 楽しい! 希望!」

部屋から出て行く。

朝からうっとうしい。よくここまで再現したな。

『同じものが博物館? 秘密の倉庫? 資料室? に保存されていました。遭遇した生命体に情報を伝えるのが目的のようです。展示物? は、かなり破損はしていました』

「そんな話聞いたかもな。じゃ俺に聞かなくても大体分かるんじゃないか?」

『先ほどの汎用? ロボットに殺人機能が付いているのはご存知でしたか?』

「……」

『知らないようですね。他にも幾つか機能があります。私たちには意図? 全体の整合性? が理解できないものもあるのです。だからあなたたちに直接聞いているのです』

「殺人てのは本当かよ」

信じられない。殴られたような感じだった。

「衝撃が強すぎたようです。以降の質問に影響は大でしたね。謝罪します。立ち直る? まで時間を置きます」

――「ごちそうさま」

イリヤはサラダを食べ終えると、そう言った。

いつものテーブルに並べられた食器を審問官が片づけ始める。

「手伝いましょうか?」

「本来は執事? が片付けるのでしょう。今日は以前の生活を出来るだけ取り入れてみている所です。着席? していて下さい」

「じゃあ出来るだけ元通りにしてみるわね」

「協力的なのは素晴らしい? ですが自然に考えた通りに動いてください」

「……難しいわね」

「混乱させましたか。寛いで? 下さいね」

「言いたい事は分かるわ。紅茶頂ける?」

「畏まりました」

「いつもの、で」

「我々を試しますか。面白い? ですね」

「評点でも上げて頂けるかしら」

「会議の結果次第ですが、良い? 結果になりそうです」

今日から別行動。寝てばっかりいるからよ。ハクト。

誰も居なくなるとこの部屋は寂しい。

『気に成りますか。ハクトくんが』

「別に。……そう考えてたのね。反省するわ」

上質な木の壁、と思っていたものが四角く切り取られる。映像が動いた。

露出も過剰だけれど欲を掻き立てるしか用の無さそうな服の誰か、に膝枕されてハクトが寝ている。

「反省したわ」


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