転生前
俺は朝7時頃に目をさます。
そのまま近くにあるスマホを取りブラウザで小説を読もうぜというサイトを開き、就寝前まで読んでいたWEB小説を読み進める。
読み進めること時間にして一時間。
『ガチャ ガチャ ガタン ガチャガチャ
ブルルル ブルルル ブルルルルン ぶううううぅぅぅん』
父が職場に向かったのだろう。
いつの間に目が覚めたのか枕の横で寝ていたペットの猫が起きた。
「ニャァァオ」
こいつの名前はチョコ。2代目チョコだ。初代チョコにそっくりなのでチョコと名付けた。
「おはよ、チョコ」
俺はチョコを撫でながら声をかける。
しばらく撫でていると弟が扉を開けて隙間から顔だけ出す。
「あ、起きてたんだ。おはよう、兄ちゃん」
「おはよう、ついさっき起きた。どした?」
一時間はついさっきなのかわからないが取り敢えず返す。
「いや別にぃ。暇だなーって」
「どうせ寝てないんだろ。眠くないのかよ」
「眠いっちゃ眠いんだけどね、もうちょっとしたら寝るよ」
しばらく弟と話していると弟が
「そろそろ寝るよ。おやすみ」
と言うので
「あぁおやすみ」
と言ってまた小説を読み始める。
俺はファンタジー小説を好んで読む。ていうかそれしか読まない。
読み始めてから1年ほど経つが、いいなと思ったものは粗方読んでしまったのでブックマークに登録してあるものを読み見直したりしている。
しばらくしてチラッと時計を見ると時計の針が正午12時を回っていた。そろそろ飯食うかと思い起き上がる。俺の部屋は2階にあり、1階に降りなければ食料は無い。階段を降りる前に弟の部屋を覗くと弟は既に寝ていた。
「寝たか」
扉を閉め階段を降りていく。
何か無いかと色々探すが冷蔵庫の中には飲み物と納豆、あとは非常用の冷凍ハンバーグくらいしか無い。いつも戸棚の中にカップ麺やパンがあるのだが生憎と無い。
「………はぁぁ」
思わず溜息をついてしまう。
他には何か無いかと探していると炊飯器の保温ランプが点いているのが目に入った。これはもしやと思い開けてみると中にはまだ白米が残っていた。しかも御釜一杯に。昨日は麺類だったのだろうがいつもの癖で作ってしまったのだろう。
白米だけでは味気ないので振りかけでも無いかと探すと振りかけは見つかった。
本当はコンビニのオニギリやパンがいいのだが買いに行くのも嫌なので我慢する。茶碗で持って行くのも嫌なのでキッチンからボウルとしゃもじを持って行く。ボウルに白米を丼1杯半ほど盛って振りかけを目一杯掛けて混ぜる。
次はラップを敷いて丸めるだけなのだが此処でラップを持ってきていないことに気づく。
「……メンド」
面倒くさいがラップを持ってきてラップを敷きその上に混ぜ込みご飯を全部乗っけて、ラップで包んで丸める。熱いが時折耳朶に触れて我慢する。
丸まってきたら後片付けをし、冷蔵庫から500mlペットボトルに入ったコーラ取り出し、オニギリを持って部屋に戻る。
戻ったら小説を読みながらオニギリをできるだけ時間をかけて食べる。何故時間をかけて食べるのか? それは直ぐにお腹が空かないようにだよ。効果があるのかわかんないけどまたは階段降りるのメイドいからね。
食べ終わったらラップを丸めてゴミ箱に投げる。外しても拾いに行かない。そもそもハズレないんだけど。
あとは午後7時くらいまでずっと小説を読む。そして夕ご飯も食べずに寝る。
これを毎日繰り返す。昼飯は毎日作っているわけじゃ無いけどこんな感じ。
休日、祝日はもちろん、平日でもこんな感じ。
俺は中3で弟は中1なんだけど学校には行ってない。もうかれこれ3、4ヶ月ほど行ってない。行かない理由? そんなの行きたく無いからじゃん。弟もそう。
行きたく無い理由? 人間関係がギクシャクしてるから。
ここで俺の過去について。
俺は元々、努力とか嫌いで宿題をやっても一週間くらいするとサボるんだ。直ぐ飽きる。その上、人見知りなんだ。近所の同年代のガキンチョ達とは普通に話したり遊んだりできるんだけど、学校の奴らとかとはあんまり会話とかできないんだ。
休み時間にクラスの奴らがサッカーやろうぜって誘ってくるから一緒にやったりしてたら小学校高学年くらいにはもう人見知りじゃなくなったんだ。
5年生に上がるときにクラス替えがあってそのクラスでいじめに遭った。そこで不登校になった。それでいじめっ子達とか先生と懇談会したりして解決したんだけど5年生の秋にクラスの奴にまたいじめられて、不登校になった。
前とは別のやつで相手は1人なんだけどやることが、俺が背が低くて軽いから俺を待ちあげてそのまま教室にあるゴミ箱に入れて蓋を閉めて閉じ込めてゴミ箱を目立たない体育館の裏に置かれてそのままにされたり、休み時間に校庭でサッカーをやってると態とボールを俺に当てたり、ドリブルしてると俺を突き飛ばしたり、いろんなことをしてくる。
もう嫌になってそれから6年生の夏までずっと不登校だった。
七月頃に先生に
「学校に行けない子達が行ける支援センターに行かない?」
って言われて俺は行くことにした。そこは小学生はいなくてみんな中学生だった。そこには弟も行くことになってたから一緒に通った。
それで夏休みの三日前に隣の市の小学校に転校したんだ。いじめに遭ったからなのか、人見知りが戻っててあまりできなかった。
そのまま卒業して隣の市の中学校に入学した。一年の頃は提出物とか全然出さなくて叱られて休みがちだったんだけど、2年の頃にクラス担任は一緒なんだけど理科の教科担任が変わって提出物とか出せなくてかなり叱られてまた不登校になった。
両親に心配されて何故か精神科に行くことになった。そこでの診断結果は『不安障害』。最高レベルの不安障害だとさ。色々深く考えすぎるんだって。確かにそんな気がしないことも無い。
何か考えるとずーっとそのことを考える。
それから夏休みを過ぎてお正月休み前。担任の先生との三者面談があってそこで
「小学生の頃、支援センターに行ってたんだって?
君が行ってた場所は今は無いけど近くに似たようなところがあるから行かないか?」
って言われたから行った。そこへは俺1人で通ってたんだ。送迎は母親にしてもらてたけど。そこで俺は友達とかは作れなかった。そこで俺は人間不信になったって思った。
唯一信じれたのが弟だ。何があっても弟は信じれた。母親や父親も信じれないことは無いけど弟ほどじゃ無い。弟が好きとかじゃ無い。でも信じれた。担任の先生が偶に顔を出したりしてたけど信じれなかった。
支援センターは長くは続かなかった。センターにすら行かず俺はずーっと暇を持て余してた。アニメとかも見てみたけどあまり続かなかった。
季節が変わって春。久々にアニメでも見ようかと思ってみたのが主人公がファンタジーの世界に転移したっていうアニメだった。これがすんごい好きになって全話見たんだ。
そこで
「原作読んでみたいな」
って思ってネットで探したんだ。そこで見つけたのが小説を読もうぜっていうサイトなんだ。俺はハマった。飽き性の俺でもハマった。別にハマったのは小説だけじゃなくてゲームとかもあったんだけど中2の冬に
「受験生になったらゲームは禁止な」
って言われて中3になった頃にハードを売った。
それで小説にハマったんだ。
中3になって担任の先生に言い包められて学校に行くことになったんだ。担任の先生が俺のクラスの教科担任になんか言ったのかわからないが提出物とか全然出せなくても叱られなかったんだ。
休みがちになりながらなんとか通ってたんだけど数学の先生がメチャ恐いって噂で数学の授業がある日は絶対に休んでたんだ。ある日、ドジ踏んで数学の授業がある日に登校しちゃったんだ。連絡黒板に数学の授業が入ってた時は絶望したのを覚えてるよ。
なす術もなく数学の授業が始まった。授業開始早々に何故か名前を呼ばれたんだ。
「今日は山田の奴いるかぁ?」
「あっ! は、はは、はい!! 自分です!」
テンパってメチャ噛んじゃった。
「そうか、お前が山田かぁ。お前、今日宿題出てないけど、どした?」
あれ担任の先生から聞いてないのか?一応学年で休んだ次の日は宿題出さなくていいってなってるからその通り言った。
「あ、はは、はい! 自分、昨日休んでいたので今日は持ってきて無いっす!」
「具合悪くて休んでたんだろ?」
「は、はい! そうっす!」
『っ』の部分は一応『で』って言ってるつもりだからな。
「休んでたっていうことは一日中寝てたんだな?
寝てる時間があるんなら宿題できたよな?
やりゃあいいじゃねぇか!」
って言われたよ。中坊にそこまで求めるのか?って思ったわ。で馬鹿正直にそういうわけにはいかないから俺は取り敢えず謝罪しといた。
「す、すすすす、すみません! そこまで頭が回りませんでした!」
「そーか。俺の授業ではな?
宿題忘れたやつは後ろのカウンターで立って授業受けてもらうことになってんだ。
知ってたか?」
ほぇ?
「す、すみません! 知りませんでした!」
「そうか。
ホントは廊下で立ってろと言いたいとこなんだがな?
今のご時世廊下に立たせるだけで体罰になるらしぃんだ。
教師も一緒に廊下に行けば体罰じゃ無いらしいんだが、それじゃ授業にならんだろう?
だからな、授業を受けるなとは言わん。
だが立って受けてくれ。
丁度いいことに教室の後ろにカウンターがあるじゃねぇか」
取り敢えずカウンターに行けってことか? だけど行こうとすると止められた。
「あぁ、待て待て。
知らなかったみたいだからな、今回はいかなくていいぞ?
だが次、宿題に限らず忘れ物があった場合は後ろのカウンターに行け。
特等席じゃねぇか
前に高いものが無いからな!」
それは俺に『チビ』って言いたいのか?確かに背は低いけど。142cmくらいしか無いしクラスで一番低いけどさ。人の体格バカにしちゃあかんでしょうに。
俺がそんなを考えていると教科担任が
「ところで山田。
お前宿題とか出せない方なのかぁ?」
「へ? ま、まぁまぁだと思いますけど……?」
「まぁまぁってどんくらいだ?
90%くらいかぁ?」
九割!? そんな出せねぇよ!
「い、いえ! 15%くらいだと思います!!」
「はぁ? 全然出せねぇじゃねぇか!
せめて週明けの月曜日くらいはだせよ?
わかったら座れ!」
「は、はい!!」
絶対に無理だわ。
こんなことがあってこの次の日から学校にはいかなくなった。俺の過去はこんな感じだ。
今思えば全部、全部全部全部、俺が悪いんだよな。
1回目、いじめられた時。助けてって言えばよかった。相手は複数だけど叫べば先生が来てくれたり、誰か助けてくれたかもしれない。いじめる方も悪いと思う。だけどそれと同じくらい、すぐ周りに助けを求めなかった俺が悪いんだ。
2回目、今回の相手は1人。前回と相手は違うけど1人だ。抗えば喧嘩で済む。喧嘩もダメだけどそのままにしておけば更に悪化する。抗ってもダメなら助けを求めればいい。ゴミ箱に閉じ込められた時、ゴミ箱を壊してでも暴れれば誰か助けてくれたんじゃ無いか。もっと言うなら閉じ込められる前に大きな声で「やめてっ!!!」って言えばいい。周りの奴らが助けてくれたんじゃないのか? 結局俺が悪い。助けを求めなかった俺が、大きく反抗しなかった俺が、俺が悪い。
3回目、提出物を出さなかった俺が悪い。小学生の頃から習慣をつけなかった俺が悪い。改善する機会はいつでもあった。一番最初に宿題が始まってから一週間で出せなくなった時。先生に叱られてそこで直さなかった。あの時に改善してれば、今頃青春を謳歌してたんじゃないのか? これは全部俺が悪い。癖をつけなかった俺が、直さなかった俺が、全部俺が悪い。
4回目、3回目と同じだ。時間は幾らでもあったんだ。センターに行く前。夏休みがあったじゃないか。夏休みの期間は四週間程。これだけあったんだ。反省は何度もした。だけど反省で終わり。反省をいかして出そうって実行しなかった俺が悪い。やってみてダメだったら堂々とカウンター席に行けばよかった。最初から無理って決めつけてやろうとしなかった俺が悪い。先生が言ってたじゃないか。せめて月曜日は出せって。月曜日だけでも出して火曜日はサボればいい。月曜日は出したんだからカウンター席にいかなくてよかったかもしれない。結局、俺が悪い。やろうとしなかった俺が悪い。
今頃こんなこと思ったって遅いのにな。高校にはもう行けないだろう。欠席が多過ぎる。テストはなんとかなるだろう。努力すれば。だが如何せん欠席が多い。
就職してもダメだろう。身長155cm、体重43kg、お腹は出てる。こんなチビで軽いやつはどこの建設会社も要らないだろう。だが努力すればなんとかなるだろう。体を鍛えればいい。筋肉マッチョになって、スタミナつけて、身長伸ばして、体重増やして…………努力すればいい。
建設会社とかじゃなければ事務仕事だってある。パソコンに向かってキーボードを叩いて書類を作ったりすればいい。そのためにはまず、スキルを身につけねばならないだろう。業務をこなしていくうちに理解していくんだろうが万が一もある。スキルを身につけるには何をするのか? 勉強する。そして努力する。俺が苦手な努力。
事務関係じゃなくてもIT関係があるどんなことするのか知らないがこれもやはり努力しなければならないだろう。知識をつけなければならないだろう。しかしここらにそんな会社はない。ここを出て行けばあるだろう。幾らでも。だが世間知らずな俺に何ができる。出て行くとなれば1人暮らしをしなければならないだろう。1人暮らしといえば節約だろう。こんな中坊の給金などたかが知れてる。生きていくためには金が必要だ。家賃、光熱費、食費、貯金。いくらでも思いつく。最悪、貯金はしなくてもいいだろう。借金などしてたまるか。
まただ。またすぐに諦める。さっき反省したばっかじゃないか。やってみないとわからないじゃないか。考えることはいくらでもできる。動くことはしない。考えるだけ。死んだらどうなるんだろうな。天国と地獄があるのかな? あるにはあるが自分で選べないとか? 裁判するとか? だとしたら俺は地獄行きだろうな。親不孝だし、努力しようとしない。考えるだけ。タダ飯喰らいの俺が天国なんて行けるわけないだろう。
もし、転生できるなら俺は表には出ない。裏で暮らしてく。俺に表は向いてない。裏でひっそり死ぬんだ。誰にも気付かれずに。だができることなら力が欲しい生きていく為に。裏で暮らすんだ。それ位はくれたっていいんじゃないか? 神様よ。無神論者の俺が神頼みなんてらしくないが、頼むよ。力をくれ。生きていくための力を。
これでもし努力すればなんでもできるみたいな力だったら笑えるな。努力が大嫌いで大の苦手の俺が努力すればなんて力を手に入れるなんて。
イイぜ上等だ。
使えるもんは全部使ってやるよ。
俺が生きていくためならなんだって使ってやるよ。
剣だって
刀だって
盾だって
薬だって
毒だって
火だって
水だって
土だって
風だって
雷だって
氷だって
木だって
自然でも
他人の善意だって
他人の死だって
なんでも使うさ。
でもさ、俺だけじゃ寂しいじゃねぇか。大切なものは一つくらいあってもイイじゃないんか。
だからさ
一つくらいくれよ。