喧嘩をしたらきちんと謝りましょう
頬を押さえながら涙を流す女神。
俺は少し罪悪感が芽生えていた。自分が今女があることと相手も同じ女であること。カッとなるとつい忘れてしまう。そして継人がいると甘えてしまう。情けない…。
自分に苛つく。
「ごめん…。やり過ぎた。本当にごめん」
女神に頭を下げる。
彼女の表情は見えないが、鼻をすする音がは聞こえた。
「ゆ、許したくはない…。でも、許すよ…。後いくらなんでも殴ることないじゃないぃぃぃ!」
許すと言った瞬間に泣き叫ぶ女神。
止まらない。涙と叫び声が止まらない。
壊れたラジオみたいだなあと思っていると、継人が女神の背中を撫でていた。
あやすように撫でていた。
は? なんで? なんで撫でている? そこにいるのは私でしょう? 人のことを知らないくせに俺女とか言ったそいつが悪いんじゃないの? 私も悪いかも知れないけれど、見せ付けるみたいに撫でなくても良いでしょう? なんで? 妻じゃない奴なんかを撫でんの? あの女絶対に許さない。
女を睨みながら呪っていると、何かに気づいたのか、振り向いた継人と目が合う。
一瞬、継人の表情が強張った気がした。
それからすぐに女に何かを渡した後、私に歩み寄り抱きしめてくれた。