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プロローグ ―とある研究施設―
やぁ、また君か。
この薬はサービスだから、まず飲んで落ち着いて欲しい。
うん、「また」なんだ。済まない。
仏の顔もって言うしね、許してもらおうとも思っていない。
でも君は、この部屋に入ったとき、きっと言葉では言い表せない「絶望」みたいなものを感じてくれたと思う。
日増しに感情が麻痺していく日々のなか、そういう気持ちを忘れないでほしい、そう思って君をまた招いたんだ。
その悲しみは、無力感は、怒りは、きっと人類にとって役立つものになると思う。胸を張ってほしい。
今日は君の友人を連れてきた。
それじゃ、君の叫びを聞こうか。