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星天観測

作者: 八月一日

 夜中の1時くらい。私は今幼馴染の部屋にいる、というか呼ばれた。ベッドに入って低反発の枕に頭を沈めて羽毛布団で夢心地になっていたのに……。

 その呼びだした幼馴染はというと、ベランダに出て望遠鏡をセットして空を見てる。私はその光景を視界にギリギリ収めながらゆらゆらと揺れていた。だめだ……眠い。

 ベッドに這いあがって潜り込むと私はそのまま寝付こうと――


「何寝てんだよ(ひびき)! こっち来いって!」

「いやよ……おやすみ」


 なんかベランダに呼んでるけど無視だ無視。こっちは眠いんだから……。

 低反発じゃないそば殻枕に頭を沈めて寝入ろうとしたら、腕を掴まれて引き起こされた。


「っ痛ったッ。おい、噛むなよ」

「人の安眠邪魔するからでしょ」


 今しがたかみついた冬夜(とうや)の手には歯型がついてる。そこそこの強さで咬んだしまあこのくらいかな。まだ邪魔するなら食いちぎってやる。


「よっと」

「な、ちょっと降ろしてっ」


 咬まれるのを警戒したのか冬夜は引き起こすのを諦めて、両腕の下に手を入れて抱きかかえて移動を始めた。小柄とはいえここまで簡単に移送されるのはなんかいやだ。

 無理やり連れてこられたベランダには冬夜が設置してた望遠鏡がある。なに、これ覗くの?


「いまちょうどいい感じになってっから」

「………」


 言われるがままに望遠鏡をのぞくと、そこにはきらきら光る星がいっぱいあった。多分星座とかもあるけどどれがどれかはわかんない。


「今見えてるのがオリオン座。で、その横にあるでかい三角形が冬の大三角形。そんでそのしたにあるのがおおいぬ座」

「へぇ……」


 台形がふたつくっついたみたいなのがオリオン座で、三角形がそのまま冬の大三角形、したにいるのがおおいぬ座……。


「で、すこし上にずらすとふたご座で右横がぎょしゃ座。ぎょしゃから伸びてる先におうし座がある」


 望遠鏡の位置をずらしながら冬夜が説明してる。

 無作為にしかみえなかった星粒が形をもって名前を持って、頭に入ってくる。


「また上にずらすと、北斗七星に北極星。ひしゃくみたいな奴あるだろ、あれ。右のほうにずらすと……秋の四角形」


 おー、ひしゃくの形してる。こっちは四角形だ。


「他にも、こいぬにかにだろ。それと一角獣にうみへび、ししにこじしだろ」


 その後も冬夜の星座解説は続いて、私もいつのまに眠気がさめて解説を聞きながら星を見てた。


「でな……って、響き。寝てないよな」

「起きてる。雰囲気でベッドインに流れ込もうとしてる感があるから、ちゃんと起きてる」

「……普通に星見てるだけなのにすげぇ言われようだな、おい」

「違うの?」


 実際、冬夜には雰囲気でいいように運ばれそうになったけど全部回避してる。付き合ってもないのに流されるわけにはいかない。


「でも実際さ、脈なしなわけ? 俺って」

「……?」


 冬夜が壊れた。まあいいや、星見ようっと。


「そこで無視して星見るのやめようぜ。せめてなんか反応しようぜ、おい」

「……本気で言ってたの? てっきり壊れたと思った」

「頼む、マジで俺の扱いどうにかしてくれ……」

「……そう」


 望遠鏡から冬夜に視線をかえる。ふむ、冬夜か……。


「いくら幼馴染とはいえ、こんな夜中に普通呼んでも来ないだろ?」

「家が隣なら普通行くんじゃないの?」

「普通は来ねぇよ……」

「そう?」


 来ないのか……別に家が隣なんだから行くと思うのになぁ。


「ねえ冬夜。結論としては何が言いたいの? 私眠くなってきたんだけど」

「ムードもなんもぶち壊しだな……。なあ響、俺と付き合うとしたらどうなる?」

「流星群も流れ星も流れてないけど……」

「いや、まじで言ってるんだけど」

「……」


 私と冬夜が付き合う……?

 それはー……んー……。


「別に……嫌、じゃない」

「響らしい回答だが……それは、いい方面の返事として聞いていいのか?」

「たぶん」


 冬夜と付き合って……付き合って、シちゃうのか。

 あれ、なんかいろいろ飛躍したような……。


「響?」

「眠いから寝る」


 噛み殺す気にもならない欠伸をしながらベッドに潜り込む。なんで低反発じゃないのかな、これ。そば殻枕とか……今度捨てて買い直そうかな。


「おやすみ」

 

 そう言うと、何故か冬夜はそのまま部屋から出て行こうとした。なんで?


「どこいくの?」

「下……なんだよ」


 潜り込んだベッドの開いたスペースを指差してみる。うん、シングルのベッドなのに余裕な感じでスペースが開いてる。

 じとーっと指差しながら見ていたら諦めた風にベッドに入ってきた。

 

「やらしい事したらロリコンって言いふらすから」

「いくら小さいからってロリとかねぇだろ」

「誰が145センチよ……」

「痛い痛いッ」


 ベッドに入ってきた冬夜に噛みつく。誰がチビよ、誰が……。


「ペドの方がいい?」

「それはマジでやめてくれ。それと誰も145センチなんて言ってない。そもそも145もないだろ痛い痛いっ噛むな!」

「……150あるし」

「ねぇだろ。俺168あるけどさ、明らかに30センチくらいは差があるじゃん」

「黙れペド。それは貴様の錯覚だ」

「ペド認定してんじゃねぇよ」


 食いちぎってやろうかと思ったけど、眠いからもう寝る。


「冬夜の相手メンドイ……もう寝る」

「扱い酷いだろ……」


 もぞもぞと寝る体勢を取って寝る。変な時間に起きて星見たからすごい眠い……。


*** *** ***


「お兄ちゃーん。いつまで寝て……」

「ん、おはよ」


 朝、目を覚ましてベッドから出て外を見ながらぼーっとしてたら冬夜の妹、春華(はるか)がいた。その春華を振り返ってぼーっと見ていたら、


「ひ、響ちゃんがなんでいるの!?」

「冬夜に昨日の夜呼ばれた。なんかね、告白? されたから今彼女」

「か、かの、彼女? え? 昨日の夜? あ、寝巻……」

「さすがにシてないよ? ませてるね、春華は」

「ませてない! じゃあ泊まっただけ?」

「うん、泊まっただけ」

「あー……よく寝た」

「このロリコン! ペド! 響ちゃんに手を出すなんて何考えてんの!!」

「俺が罵倒されてんのか響がバカにされてんのか、それは」


 何故か春華に抱きしめられながら無差別口撃を受けた。ねえ、冬夜と同い年なんだけど私。

 

「ねえ、なんかどうでもいいけどお腹すいた」

「え、あ……じゃあ、ご飯食べようか」

「ん」


 春華と一緒の下に降りたら冬夜のお母さんとお父さんに春華と同じ反応をされた。ロリだのペドだの、一体私はどういう扱いになってるんだろうかこの家で。

 その後は普通にお呼ばれされてような感じでご飯を食べてリビングでくつろいでる。今日は休みだし問題ない。


「なんか……うちに馴染んでるね。響ちゃん」

「そう?」

「ここの住人バリにくつろいでたらそうなるだろうな」

「でも将来的にはこういうことになるんだよね?」

「?」

「え、だって響ちゃんに手を出した責任とか取るんじゃないの?」

「ねえ春華。それって冬夜と私のどっちを罵倒してるの?」

「だって響ちゃんって将来そうなっても義姉というより義妹だし、私よりちっちゃくてかわいいし……なんでカチカチさせてるの?」

「気をつけろ、春華。そいつ噛むぞ」


 何気なく言った感のある春華を睨んでたら自然と……冬夜みたいに固くなさそうだし、噛んでみようか。


「ええっ響ちゃん噛むの!? ハムスターだね……」

「よし、春華」

「ん、何? 痛い痛いっ!」

「響、一々噛むな……」

「痛いよー……」


 春華に噛みついてせいさ……スキンシップを取って離れる。うん、いい噛みごたえだった。


「ちょっといいか」

「?」


 ソファで和んでたら何故か冬夜の父さんと……?


「なんで父さんと母さん?」




「わかった。よし、響の言い分はよくわかった、わかったからカチカチするのやめなさい」


 冬夜のお父さんが連れてきたのは私の両親。しかも深刻そうな顔してやってきた。


『昔から付き合いがあるとはいえ、うちのバカ息子が手を出してしまった事には変わりがない。この事はどう詫びていいものやら……』

『いや、冬夜に否はないさ。うちのがこんなナリだからなぁ、合法ロリとかペド―』


 うん、そこまで言わせてあげた。手とか手とか手が噛みやすかったからとりあえず食いちぎる方面で噛んでみた。

 そしてこうなった。


「しかしなー、こんなロリ娘でいいのか? 背は小っさいしすぐ噛むしよしわかった、今のはなかったことにしよう」

「威厳なさすぎでしょ、あなた……。小さくて噛み癖があっても、私似で胸は大きいんだから。あら、でもそれはそれでなんか犯罪匂いがするわね」

「……母さん?」

「冗談よ」

「ま、まあ冬夜。手を出した以上は責任とれよ? 付き合いが長いとはいえそこはちゃんとな」

「なあ、それ以前になんでこんな大ごとに発展してんだよ」

「お兄ちゃんが響ちゃんに手を出したからじゃない?」

「よし、春華」

「ん? なに痛い痛いッ」


 こいつら……人を一体なんだと思ってるんだ。


「おい響、一々噛むなって」

「150あるし」

「142しかないでしょうに、何言ってるのよ」

「まだ成長期!」

「でも響ちゃんって去年から身長伸びてないよね?」

「まっ」

「でも胸は成長してるよね。ロリ巨乳だもんね、響ちゃん」

「はるかぁっ!!」

「お兄ちゃんパス!」


 春華にもう一回噛みつこうとしたら冬夜に向かって投げられた。うん、投げられた。


「この際、冬夜でいいッ」

「おいま、痛い痛いッ」


 冬夜の首筋に噛みついて歯を食い込ませる。

 誰がチビだ。誰がロリだッ!


「幼妻ってこの事ね。いっそのことこのまま婚約させちゃいましょうか」

「響ちゃんがお姉ちゃんかぁ……妹にしか見えないなぁ」

「うちのバカ息子が相手だがよろしく頼む」

「いや、うちのロリ娘の方こそ頼む」

「バカ話してないで助けろよ!」

「うぅ~」


 バタバタ暴れる冬夜にしがみついて噛む。ちょいちょい胸に手が当たってるんだけど噛むのを手に移した方がいいのかな。


「ねえ響ちゃん、噛むのはいいけどちょっとエロイよ。今の光景」

「やらしい春華は黙ってて。このドスケベ」

「やらしくないよ! 童顔ロリ巨乳の響ちゃんのほうがエッチぃよ!」

「はるかぁッ!!」

「カチカチいやぁー!!!」

「まあ、なんだ。あんなんだけど頼むな」

「……頑張ります」

「男は甲斐性だ。まあ、頑張れ」


 躓いてこけた春華に飛びついて首筋に噛みついてると、感慨深そうになんか喋ってる。


「いたーい!」

「はぁ、響」

「何よ」


 春華にまたがってる状態で呼ばれて冬夜の方を向いたら、抱きあげられてソファに連れて行かれた。冬夜の脚の間に。

 なんだこれは。


「自由にさせたらすぐ噛みに行くからお前ここな」

「そう言ってベタベタ触る気でしょ。この手はなによ、この手は」


 お腹に手を回された状態で座らさせられてる。動かしようによってはあちこち触れる位置に手がある。


「少しはおとなしくしろよ」

「おとなしくなった所であちこち触るんでしょ、この変態」

「お前な……」


 冬夜の手を爪を立てて握って牽制する。


「まあお熱い事で。邪魔ものは消えますか」


 は?


*** *** ***


「……そして誰もいなくなった」

「いうな」


 あの後何故か春華までも引き連れてうちの両親ともどもどこかに出かけて行った。なぜだ。


「ロリコンと一緒に放置するとかないわ」

「おいロリ娘。自分がロリだって今肯定したな。散々否定しておいて肯定したな」

「冬夜の性癖を指摘しただけでも誰も肯定してない。誰がロリか!」

「被害者みたいな格好するな……」


 体を抱きしめるような格好をしてるだけでしょうが。


「それはそうと冬夜」

「ん?」

「私見て欲情とかするの?」

「ッお前はいきなり何言ってんだ!」

「まあ胸は大きいけどさ、ほら。欲情要素とか特にないでしょ」


 ちょっと胸を持ち上げて見せる。この身長でこの胸はアンバランスだと思うんだけど……。

 とか思ってたらソファに押し倒された。


「強姦で訴えてやる」

「まだなんもしてないだろ」

「じゃあこれからするんでしょ」

「はっきり言えば結構耐えてんだぞ、こっちは」

「……痛いのは嫌」

「人の話は最後まで聞け」


 ソファに押し倒され、手はひとまとめに押さえつけられてるから逃げられない。噛みつこうにもたわない……。


「人の気も知らないでベッド占領するしよ」

「床で寝ろと」

「響がベッドに入った時下に行こうとしたんだけどさ、有無を言わせない顔でこっち見てただろ」

「そんな顔してない」

「してたんだよ、あの時は。てかさ、ロリだのペドだの言ってるけどさ鏡真正面から見たことないだろ、お前。背が小さかろうが、十二分にかわいいって自覚ないだろ」

「……」

「いじる事はあっても、背なんてどうでもいい。欲情うんぬんもしないわけない」


 なんともまあ……うん。

 よくもここまで言えるな……こっちがはずかしい。


「そう。欲情はするのね……このままおいしくいただかれるわけ? 彼女になった数時間後とか……直結―」

「いうなよ。そっから先はいうなよ」

「むぅ。いただかれるならベッドがいいです?」

「なんで疑問形なんだよ……てか、いいのか?」

「んー……うん? 嫌じゃないし抵抗もないかな。ちなみに避妊具なんてものは持ってない」

「ちなみに部屋にある」

「……冬夜の女遊びの遍歴ね。何人連れ込んだわけ?」

「誰も連れ込んでねぇよ。用意周到と言え」


 ほう。つまり冬夜はこうなるのを見越して避妊具を買っていたと。はなからヤるき満々だったと。

 ほう……。


「さては貴様直結―」

「うーし、部屋いくぞー」


 抱きかかえられて部屋に連れていかれた。

 あ、うん。おいしくいただかれました。

 付き合い始めて数時間とは言っても前段階、十数年間の付き合いがあるからさほど気にもならなかったし。



「これは?」

「さっき買い物ついでに取ってきたの。保証人欄は埋めてるからさっさと書いちゃいなさい」


 おいしくいただかれたあと、のんびりまったりと過ごしていたら皆が帰ってきてリビングに呼ばれた。そして今、目の前には保証人欄を埋められた紙が置いてある。


「ふむ」

「響?」


 ペンを受け取ってさらさらと名前を記入する。


「はい」

「……ましで?」

「まじで」


 冬夜にもペンを持たせて名前を書かせた所で紙を取られ、うちの父さんがどこかに……うん、市役所に持って行った。


「ロリペドの旦那さん? 浮気したら噛み殺すから」

「ロリペドって何だよ。そもそも浮気なんてしねぇから」


 互いの両親に外堀を早々に埋め尽くされたのもあるけど、冬夜ならいいかなって気がした。

 こんな私だけど、よろしくね?


まずは幼馴染を用意します。次に望遠鏡を用意していいかんじの雰囲気に持ち込みます。ほら簡単でしょ。

はい、無理ですね。幼馴染なんて人生初期装備品そうそう持ってないです。望遠鏡なんて高いっす。

さて、響がおいしくいただかれたシーンはムーンライトにでもいつか載せようかと。

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