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神への儀式

 オレとミチに視線を合わせてから、女性は話し出した。

「時間が無いから細かいところは省きます。昔話で一度は聞いたことがある【ナンバー】が人間に授けられた理由がありますよね」

「老人がある村で儀式を行ったやつか?」

「その通りです。そしてその老人は神であり、貴方のご先祖様なのです。と言っても貴方だけではなく私も同様、体に0が刻まれている人は老人の血を受け継いでいるわけなんですが、貴方は異質とでも言えそうなぐらい強く血が流れてます」

「だから00ってわけか」

「理解が早くて助かります。そして貴方の先生であった人はロゴスを止めるため、私達と手を組んでいたのですが、思いもよらぬ行動にでました。ロゴスがもうすぐ起きてしまうのでしょうが、行動が理解できません。しかし、ロゴスを止めるにはあなたの力が必要です。あなたの00の能力は大神様との契約と儀式によって発動します。その大神様がミチさんです」

「そういや前に契約とやらは無理矢理やらされたような……」

「それなら話が早いです。今から儀式に移ります」

 椅子から立ち上がり、羽織っていた黒ずくめの服をテーブルの上に置いた。

「いや、でもあれが本当に契約かどうか……」

「キスをしているなら大丈夫ですよ」

「……それなら記憶にある」

「顔を赤らめないでください。大神様は見た目より数十倍は長生きしてますが、ミチさんは言動から大差は無いと思いますよ」

「いらない情報をありがとう」

「この儀式では痛みが伴いますが死にはしません。しかし儀式中に痛みなどにより貴方の精神が壊れてしまった場合、能力が発動したまま理性を無くし世界を滅ぼそうと暴走します」

 女性は優しく微笑み黒ずくめの服の裏に白く描かれていた魔法陣に手をかざすと、さっきまで隠れていた鎖骨に刻まれた0が赤く光りだした。

「今から貴方の力を引き出します。時間が無いのは分かっていると思いますが、この儀式で貴方は人間として死にます」

「何言って……」

 途端にオレの体に00と刻まれた部分が痛み始めた。

「儀式によって狼紅を神へと昇華します」

 体全体が激痛を訴え、脳が回りだし口から胃ごとでてしまいそうな吐き気が襲う。

「言い方が悪かったですね。貴方は能力を発動すれば人間とは別次元の力を手に入れることが出来ます」

「……なるほど。……そりゃあ、嬉しいな……」

「それじゃあ、駄目っすよ。狼紅君」

 霞む視界で捕らえたのは右手に首から下が無い黒ずくめの男を持った先生だった。

「に、兄さん……。う、うそだ、ありえないどうして……」

 その場に蹲り目を覆う女性を先生は気にもせず淡々と話し出した。

「邪魔だから殺したっす。君の能力で存在を無くされて探すのは大変だったが、君は神の力を消すのは出来なさそうっすね。それと……大神様、あなたはもう用済みで、脅威にならないように死んでくださいっす」

「……やめろっ!! これ以上オレの周りの奴らを傷つけるなっ!!」

「いままで何も出来てねぇ奴が言うな、っす」

 力を振り絞って立ち上がりミチを背中に隠すと、先生は心底ため息をついて、侮辱の視線を向けてきた。

「そんじゃあ、狼紅君にプレゼントっす。とても優秀で優しいから殺すのに手間取ったんすよ」

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