四字熟語調べるの疲れました。はい。
タイトルは毎回話の内容にあった四字熟語を選んでこようと思いましたが、もう疲れました。これからはフリーダムになりそうです
オレは閉じたカーテンの隙間からさす日差しに背を向けながら布団に包まっている。
チュンチュンと小鳥のさえずりは、自分にとってはただの音になり、うるさくおもえる。
朦朧とした思考の中、オレは前に行った作戦について考えた。
あの作戦というのは、俺が通っている高校のクラスメイトであり、二人の先輩の恋路を手助けしようというものである。
その作戦は成功したのか、それとも失敗したのかが分からないままである。
何故かと言うと、最後の作戦であるオーロラが出現した瞬間、会社の人達がまるでオレ達を捕まえるために屋上に上ってきて、無理矢理外に出したのだ。
オーロラが出現したところで、発生原因、発生場所なんて会社の人には分かるはずも無いのに。
そうだ、何故あんなところにオーロラが出現したかというと、簡単に言えばオーロラというものは看板や蛍光灯で光っているあれだ。蛍光灯とかは手助けしてくれる物体があるから光るが、本物のオーロラはほとんど手助けなしで光らないといけないので、オレ達はボールの中に仕込んだ液体と、先生は時間が来ると『隔離』していた物体を出現させるようにセットしといて、壊れやすいようになっていた野球ボールとあらゆる金属が化学変化を起こして、空に無理矢理オーロラの手助けとなるものを作ったのだと、昨日聞かされた。
オレ達が知らなくても由美先輩は知っていると思い、別行動をしていた由美先輩に聞いたところ、双眼鏡で遠くから覗いていたらカラスが突然双眼鏡を奪って、どこかへと飛び去ってしまい、そのあとも重なる不幸により、見ることを阻害されたらしい。
ならば本人に!ということで聞いてみたのだが、黙秘権を連先輩と千春先輩が使ってきた。千春先輩ならまだ分かるかもしれないが、思ったことをすぐ口に出してしまうあの中二病の連先輩も使ってきたのだ。
由美先輩曰く、デートのことについてはいままで一回も話してこなかったらしい。しかもテンションの測り方を熟知している由美先輩ですら、どうなったのかが分からないという。
もしかしたら!と藁にもすがる思いで聞いてみた先生も撃沈であった。
しかし、先生からはいい事を聞いたのだ。それは何故オレ達全員が作戦の結末を見れなかったかというと、千春先輩が能力を使って見れないようにしたという。
何故能力を使ったと分かる?とつっこんで見たものの、「実はオレも気になってたんだよね」と少し笑いながら言ったが、上手い具合に誤魔化されているような感覚である。
そして探りを入れて三日、未だ分からない。
今日は土曜日ということで、普通の高校と同じく今日は休日である。
つまり、一日中寝ていられるというわけだ。
もう一度寝なおそうと目を閉じようとした瞬間
「お兄ちゃん、起きる時間だよ!」
妹である椎名に布団を引っぺがされ、布団の中にある暖かい空気が部屋に霧散して、残るのは冷たい空気である。
それにしても一体なんなんだ。四月の中旬でもう春だぞ?なのになんで空気が冷たいんだ。
春の期間は三月から五月で、今は春真っ盛りのはずだ。絵本で春といったらぽかぽかで、色とりどりの花が土の中からこんにちはだぞ。
そんなことを考えていると、暖かかったベッドも冷たくなってくる。
身震いをして、出来るだけ暖かくなるように体を丸くした。隣では歯をカチカチと音を出しながら震えているミチがいる。
「椎名、ミチぐらいには掛けてやれよ」
この寒さは子供にとって悶絶するレベルかもしれない。
「だめだよ。だって今日は遊園地に行くんだから!」
オレはゆっくりと隣にいるミチを見てみると、目を輝かせながら震えていた。うれしくても、寒いものは寒いよな。
だが、ミチは起き上がり、オレの体をゆすってくる。
「いこう?」
くそ、せっかくオレが死にかけながら、『遊園地』というワードをミチの記憶から抹消したはずなのに。
つうか、なんでそんなにミチは遊園地に行きたがるんだ?
子供の精神年齢であるミチにとっては、たぶんあれは派手な機械という認識で、面白そうではないはずだ。
「何故オレも行かないといけない。いつか言ってた友達とやらを呼べよ」
前にミチと出会った時に椎名から、初めて友達が出来たという報告を受けたはずだ。
ミチの方は子供だから何とか誤魔化せるはずだ。せかっくの休日、オレは寝ていたい。
「その友達にお兄ちゃんを紹介するんだよ」
「どういうことだ」
「私が双子って言って、お兄ちゃんについて話したら見てみたいって」
「……それなら、今お前の携帯でオレの事を写真に撮って、その友達に見せろよ」
「それはもうやった」
「なんでオレの写真持ってんだよ」
「妹だったらお兄ちゃんの写真を持ってるって、当然の事だよ?」
そうだったのか。兄妹ってそんなのが当然なのか。知らなかった。
「実物を見たいらしいよ」
くそ、せっかくの土曜日。寝ていたいのだが、妹が背中に手を回しながら、後ろから見えるお手製のダガーがキラキラ光ってるし、ミチも我慢できないのか、オレの腹に蹴りを入れてくる。結構痛い。子供を侮っていた。
このままでは…
「それじゃあさ、お兄ちゃん。遊園地に行く事をお願いするよ」
「……?何を言ってるんだ」
さっきまでお願いしてたのに、改まって。
「あれだよ、お兄ちゃんが時計を進ませて、バス停まで走った日に約束したじゃん」
確かに椎名とバス停まで走った記憶はあるが、約束なんてなにもしてないはずだ。
「忘れたは無しだよ?」
笑顔のまま怒っている椎名が、背中に隠し持っていたダガーを前に出して構えてきた。
ミチはこれまでで学習をしてきたのか、オレから離れる。
数日前にはオレから離れるとすぐに泣き出してしまう奴だったのに、学習をして、椎名が怒ってるときは逃げるということが最善だと結論に至りやがった。
このままでは殺される。
脳みそをフル回転させて思い出さなければ。
全然思い出せない!
「お兄ちゃん、そろそろハッキリしようか?」
迫ってくる椎名とは逆に、オレは遠ざかろうとするが腰が抜けて立ち上がれないので、座ったまま後ろに下がったが、すぐ背中に壁が当たってしまう。
椎名の影がオレを覆いかぶさった。
そうだ、前にもこんな状況で……。
「分かった!オレはお前の願い事を何でも一つ叶えると言った!」
背中に冷や汗が滝のように流れながら椎名の顔を見ていると、数秒後、黒い笑顔から、いつもの明るい笑顔になった。
「良かった。覚えててくれたんだ」
「あ、あぁ!もちろん」
椎名がピョンとベッドから降りて、ミチのもとへと行き頭を撫でながら「今日は遊園地に行こうね」と言っていた。
今回ミチは寒さではなく、恐怖で震えていた。
「お兄ちゃん、次からはしっかりと自分の発した言葉には責任を持って、しっかりと覚えて、すぐに思い出さなきゃだめだよ?」
いつもの明るい笑顔のはずなのに、体が硬直してしまう。
「分かった」
もしかしたらオレもミチと同じく震えていたかもしれない。
そして、オレとミチと椎名と椎名の友達で遊園地で遊ぶことになった。
「おかあさん、もうすこしで会えるね」
遊園地に向かうため準備をしている最中、ミチはそう呟いた。