町裏の戦闘。(前)
穏やかな春日日和の今日この頃、俺が異世界に生を受けて早5年。年齢は5歳となっていた。この五年間何事もなく育ってきたよ。しかーし、ただひとつ言いたいことがある。親父・お袋、俺を人形にしないでくれ、そして女装をさせないでくれ(泣)。二つだったな訂正しよう。何回か逃げようとしたが逃げられなかったさ・・・ はぁ・・。
そんな5年間を過ごし、そして今日は俺の誕生日。1歳のときは『この世界にも誕生日はあるんだ・・・。』と感心していたが、その誕生日もかれこれ5年。ちなみに言うと俺の家は貴族ではない。しかし、一般の家庭に比べると裕福だけどな。
ちなみに、5年間で守護者の仕事はなかった。
そもそも、守護者の仕事とは、この世界に魔術があるために矛盾がある。その矛盾は世界の空間補正によって無理やり治すのだが、許容量を超えると大小さまざまな厄災をもたらす。それを直すまたは、破壊するのが守護者の役目なのだ。過去の文献から例をあげると、【南の大陸の北東にある島が忽然と消えた。】【死んだドラゴンが生き返った。】などである。
おっと、話がそれたな、最初の話に戻ってそれがどうした?と思うかもしれないが、この年齢になる誕生日の日に慣わしがあるんだよ。
前世?の世界で小説設定・魔術世界の定番、魔力測定があるんだよ。
魔力も属性も完全確定だけどな。俺の操作によって。
☆
なんだかんだのかくかくしかじかで、現在は城下町。
そうそう、まだ国のことを話してなかったな。この世界には大陸が3つある。国に関しては10しかないけどな。そしていまいる国はエクシエル王国。メルカトル図法の地図があるとしたら、真ん中の大陸で、中心にある大国だ。ちなみに、世界地図はないぜ?観測ができるほど安全な世界じゃないからな。
む、『ちなみに』の使用頻度が多くなりそうな気がするな・・・。
突然俺の親父、日延 夏威が
「宵夏、買い物が終わったら儀式をしに行くからな。それまで自由だ。念話するからな ・・解散。」
我が父ながらとてつもない放任主義だな。などと思っていると俺に金を持たせるといちゃつきながら、去っていった。
「 ・・・なにするかな。」
と呟きとりあえず移動を始める。
残念なことに俺にはほしい物がない。本→知識が全て頭の中に/金→山の中に住んでいるから関係なし/武器→錬金術(神がつけた余計なチート能力の1)があるから必要ない。/食べ物→森の食べ物はいっぱいあるしおいしい。などと全て脳内会議で拒否されるのだ。
つまり、「はぁ・・」とため息をつき、うつむいてしまう。
思考の海に入りかけたとき、叫び声が聞こえてきた(標準身体能力の約8倍余分なチート能力その2)聞こえたからにはしょうがないと重い、魔術・身体魔力付加【風】【雷】にを合成、身体魔力付加【嵐】
を纏い、声の聞こえたほうへと向かった。
そういえばこの歳で魔術、いや魔力を使えることは"ありえない"はずだったな・・・ 。親父たちにも見せてないはずだしな。まぁ、気にしちゃ負けのはずだ・・・ 。
☆
「おい、こいつは上玉だぞ!」
声を上げたのは分厚くごつい筋肉をまっとった筋骨隆々な男は私を縄で拘束、猿轡おまけに魔封じの禊と呼ばれるネックレスで魔力を封じられた。
私を捕まえた男は2人。筋肉男とひょろい男の2人だ。『なんともまぁ、凸凹コンビだな』と思ったもんですよ。
『うぅ、なんでこんなことに・・・』と思っていても注意しなかった私の原因でもある。なぜならうつむいて歩いていたら、いつの間にか町の裏側。裏路地にいたのだ。そこで男たちに見つかったが運の尽き。転移はあるのだが、魔方陣間を移動するしかできないから無理。空を飛ぶにも私は炎の魔力で、風の魔力がないから無理。
「大体、15位か?」と年齢を相談しあう声が聞こえてきた。『あぁ、そうですよ私はあ15です。正解ですよ・・。』心の中で嘆いても逃げられるわけでもなく、ましてや助けるものもいないだろう。私は滝のように落ちてくる恐怖に耐えながら、ヒスる。というより、ずっとヒスっている。つかまったときから・・・。恐怖を軽くするために。
「アジトに持っていくか・・。」と聞こえる声。私は恐怖に必死で耐える。
しかし、
「いや、その前にヤろうぜ・・ その後でも良いだろ?」絶望の声。
いやだいやだいやだ・・・ 犯されたくなんてない!!
☆
走り続けた俺は、300m先にやっと目標を見つけた。筋肉男が縛った少女に近づいていた。
「ふあんな輩がいるんだぁ」と関心しながら、一瞬にして少女と男の間に入る。
☆
筋骨隆々な男が、厭らしい顔を見せながらこっちに近づいてくる。いやだいやだいやだ!!だれか、だれか
たすけて!!
「こんなことはやめて欲しいね、バイス・ドッグの駒さん」
助かったのかな・・・ あれ?おかしいようね気がす・・・
☆
俺は、身体魔力付加【嵐】を纏い少女と男の間に割り込み男に告げる。
「こんなことはやめて欲しいね、バイス・ドッグの駒さん」
女の子より女の子らしいと親に言われ続けている真宵は5歳児の笑顔で告げた。
バイス・ドッグそれはこの町で悪事、例えば強盗、人身売買、麻薬Etc...などを行っている組織である。同業者は知らない顔もあり、間違えないためにも頭部のどこかに紋章をつけているのだ。
「なにもんだぁ?ガキ」
あっ気絶した。男の言葉を無視し、少女の快方にあたる。もちろん、男は『ガキの癖に』と気に食わなずキれる。
「ふざけんなっ!」
そう叫ぶと、少女のウェストはあろうかの太い腕で横殴りしてくる。相手は犯罪者で殺すことも戸惑わない。おまけに炎属性魔力の身体付与だ。こりゃ死んじまうな。ならば、避ける!・・・少女は抱えたままな。
横殴りしてきた炎の腕をバックステップで避ける。男の追撃が、宵夏を襲う。そして避ける。攻撃の当たらないイライラが続きやがて単調になり始める。
しかし、不意に攻撃が止む。
「チッ、もう止めだ。女ごと殺す。 我、解放つは紅の刃【焔火の刃】!!」
相当頭にきたのか少女の捕獲を止め、魔術を行使する。おまけに詠唱つきだ。
―ズドォンッ―と魔術があたる音を聞くと「はっ、死んだか」男は背を向けその場を後にしようとした。
「誰が死んだんだ?」やべ、地が出た。そんなことを思いながら。ポイっと横に何かを投げる。宵夏、少女には全く汚れが付いていなかった。
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