ゆいこのトライアングルレッスンB〜俺のシンデレラ〜
トライアングルレッスンウィーク!
毎日、投稿中。
ホント、ついてない。
よりによって、こんな日に残業!
「たくみに遅くなるって連絡しなきゃ……」
すると、たくみからタイミング良く電話がかかって来た。
「もしもし、たくみ?」
「ゆいこ、ごめん! 会社の付き合いで飲みに行くことになった!」
「へっ? あ、そうなんだ」
「埋め合わせは必ずする!」
「う、うん。大丈夫。わたしも残業になりそうだし、ちょうどよかったかも……」
「ホントごめんな! 誕生日おめでとう!」
「ありがとう」
電話を切ると、わたしは大きなため息をつき、仕事を続けた。
仕事を終え、わたしは夜の公園で、ブランコに腰かけた。
「ハッピーバースデー、わたし……」
子供の頃は、ひろしとたくみが、いつも誕生日を祝ってくれた。
けれど、大人になると、いろいろなことが変わってしまう。
仕事とわたし、どっちが大事なの?なんてね……。
ふと、暗闇を誰かがこちらに向かって走って来ているのが分かった。
「まさか、たくみ……?」
「ゆいこ!」
「ひ、ひろし!?」
息を切らした、ひろしがわたしの前に現れた。
「どうしたの!? 今日って、出張だったんじゃ?」
「新幹線、飛ばしてきた」
「えぇ!? なんで!」
「だって、今日はゆいこの誕生日だろ?」
「そうだけど……」
「よかった、まだ今日だ」
ひろしは腕時計に目をやり、時間を確認すると、わたしの顔を見て微笑んだ。
「ゆいこ、誕生日おめでとう」
「ありがとう」
「ゆいこの顔見たら、疲れも吹っ飛んだよ」
「ねぇ、どうして、わたしがここにいるって分かったの?」
「何年一緒にいると思ってんだ? ゆいこが行きそうなところくらい分かるよ」
「さすがは、ひろしね」
「あれ? たくみは?」
「飲み会? ま、仕事みたいだけど……」
「なら、今夜は俺がゆいこを独り占めだな」
「えっ……!?」
「これ、プレゼント。この靴、店頭のウインドウに飾られてたんだ。ゆいこに似合うと思って」
「わー! 素敵! ありがとう!」
「ゆいこは、俺にとってガラス越しなんだよな」
「ガラス越し?」
「いつもそこにいるのに、手を伸ばしても届かない。そんな存在……」
「え……そんなわけ……!」
「なら、俺のシンデレラになってくれるか?」
「へっ……」
「たくみにナメられたもんだよな。言っとくけど、俺、そんなお人好しじゃないから……」
ひろしはひざまずき、わたしの足に靴を履かせた。
「わ、ピッタリ!」
「俺は、ゆいこに悲しい思いはさせない。新しい靴で、歩き出さないか?」
「ひろし……」
わたしは、12時の鐘が鳴っても、魔法が解けないことを願ってしまった。
大人の3人はいかがでしたか?
明日は、ドキドキはディナーのあとで!
三角関係のバトル?をお楽しみに。