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豊臣ハーレム『豊臣秀吉、愛と政の合間にて──天下を取ったらハーレムがついてきた件』  作者: 《本能寺から始める信長との天下統一》の、常陸之介寛浩
第2章 『清洲の乱舞──わし、モテ期来たかもしれん』

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第三十三話『千鶴の夜伽講座──殿方とは、かく扱うもの』

台所合戦から数日──

 女たちの心のざわめきは、まだ収まっていなかった。


 その夜、清洲城の離れにある女中長屋。

 灯りを落とした部屋に、三人の女の影が浮かぶ。


 「……というわけで、正式に“恋の軍議”を執り行いたいと思います」


 静かに、扇をぱたりと閉じる千鶴。


 「千鶴、あんた本気やな……」


 「当然です。戦はすでに始まっております。

 ねね様、おしの、あなた方ふたりとも火種を投げた以上、武器の磨き方を知らねばなりません」


 「武器て……わし、米研いどっただけやのに」


 「私も、味噌汁を……」


 「その“味噌汁の中”に、感情と本音を溶かし込んだのが悪手だったのです」


 千鶴の瞳がきらりと光る。


 「本日よりあなたがたには、“夜伽講座”を授けます」


 「えっっっっ!?」


 ねねとおしの、同時に真っ赤。


 「ち、千鶴さん!? それ、名前が過激すぎるがね!!」


 「誤解なきよう、まず申し上げますが──“夜伽”とは単なる交わりを意味するのではありません。

 殿方と共に眠る前後、どのように情を深め、信を通わせ、忠を育むかという“総合戦略”です」


 「そ、総合戦略……」


 「まず、視線。

 ねね様は睨みすぎ。おしの様は見つめすぎ。

 どちらも“重い”です」


 「……ええっ」


 「次に香り。日吉丸様はまだ若い男子。

 乳香や白檀よりも、“味噌汁の出汁の香り”の方が効きます」


 「やっぱ味噌汁やん!」


 「ですが、そこに“艶”を足すのです。

 たとえば、布団の端に手を添える仕草、耳元で小さく囁く“帰ってきてね”の一言。

 そして、熱すぎない体温」


 「な、なんか高度すぎるんやけど!」


 「恋は戦。戦には兵法ありき。

 この“夜伽講座”は、勝つための学びなのです」


 おしのが、手を挙げる。


 「……千鶴様。あの、では“膝枕”はどうでしょうか?」


 「素晴らしい戦術です。ですが、膝枕から耳掃除までいくと“母性”に寄りすぎてしまう。

 ほどよく“妙齢の色気”を添えるには──あえて途中で手を止めて“また今度”と囁く」


 「うわあああああ!」


 ねね、顔を抱えて転げ回る。


 「なんでそんなナチュラルに攻め筋あるんや!? 千鶴こわい! この女こわい!!」


 千鶴はふふと微笑んだ。


 「おふたりには、これより実地訓練に移っていただきます。

 “布団会話戦術”と“浴衣合わせ攻撃”を次回授けますので、覚悟しておいてください」


 その夜。

 清洲城女中長屋には、恋と策略の火花が静かに散っていた──。


 ──そして翌朝、日吉丸はなぜか三人から同時に“膝枕”を提案され、目が死ぬほど泳ぐことになる。


 「わし、命狙われとる気ぃするんやがね……」



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